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「羽田空港衝突事故」海保機長だけが悪者なのか…現役機長の考察1 基本情報 無料に変更出来なかったので再アップ…

酔いどれです。
 
皆さんご存知の通り1/1には能登半島で地震。翌日1/2には羽田空港で航空機同士の衝突事故が発生しました。なかなか衝撃的な映像で驚きましね。燃え上がるA350を見た時は全員は助からないのではと思いましたが奇跡的に無事でしたね。海保機の方については残念な結果となってしまいました。
 情報は早いもので事故後すぐ管制官とのやりとりがyoutubeにアップされ、事故翌日には関係者の聞き取り調査から海保機長の管制指示に対する勘違いがあったのでは?と報道がでました。

海保機長が間違えたのかー。海保機長が原因じゃん。と普通は思ってしまいますよね。


 事故調査はまだ始まったばかりです。調査を行うのは運輸安全委員会(JTSB)という組織です。何が原因だったのか、詳しく掘り下げて調べます。目的は同じ事故を繰り返さないため。結果的に悪者探しの様に見えますがそうではなく、あくまでも発生原因、防止策を追い求める組織で関連国、企業と協力し事故調査を行います。調査結果はJTSBのホームページで公表されます。
 

報道だけの情報で偏った考えは危険です。海保機長が全ての原因か?奇跡を起こしたとされるJAL機パイロットには全く責任はないのか?管制官はどうなのか?考える必要があります。

まずは航空業界の基本的な情報を知ることが大事です。

  1. 空港内、周辺での機体の動き。グラウンド、タワー

 空港内、周辺で機体を運航する時は基本的には管制官からの許可が必要になります。何となく離着陸は許可がいるのかな〜ってイメージはあるとは思いますが、着陸に向けた進入や誘導路の走行までも許可が必要です。また誘導路は好きに通って良いわけではなく厳密に指定されます。機体、気象、立地の状況に応じてパイロットがどの位置から離陸したいか要求します。羽田であれば誘導路走行は東京グラウンド、離着陸の許可は東京タワーというコールサインの部署が許可を出してくれます。どちらも管制塔にいる人たちですね。小規模空港になるとタワーだけでグラウンド業務を兼務していたり、もっと小さいと管制官は居ません。航空機の位置情報などを教えてくれる運航情報官という方が居て状況を教えてくれて助言してくれます。地上走行などはパイロット判断でやってねという空港です。コールサインはレディオです。

意外かもしれませんが定期便が就航している松本空港がその一例です。松本タワーではなく松本レディオです。


松本空港

2.管制用語

 航空管制(ATC:Air Traffic Control)では定められた用語を使いパイロットと管制官がやりとりします。youtube等で聞いてみて、なんか英語っぽいけどわからないなぁと感じるのはその為です。詳しく言うと膨大な量になる為、今回の事案に関係しそうなところだけ。まずアルファベットはそのまま読みません。フォネティックコードというものがあり、これに則ってしゃべります。理由は聞き間違い防止。たとえばC:シィーとE:イーなんとなく似てますよね。これを画像のコードに則るとC:チャーリー、E:エコー 全く違う!聞き間違えない!となるわけです。

フォネティックコード

今回の海保機はJA722Aという機体でこれは車で言うところのナンバープレートです。管制と話ときはJA722A:ジュリエット、アルファ722アルファとなります。一方JAL機にはJapanAir+便名というコールサインがあり今回だとジャパンエアー516となります。もちろんこのJAL機にもJA○△□というナンバープレートはあります。デカデカと翼に書いてます。

 ATCでは色々な機体と繋がっているため誰が呼んだかわからないので話し始める時にもルールがあります。まず話したい相手、話している人、内容。という順番です。具体的にはJA722A 東京タワー Runway34R Cleared for Takeoff.
JA722A、東京タワーです滑走路34Rからの離陸を許可します。という感じです。

 管制の基本的な交話方法はこんな感じです。続いて用語解説です。

今回の事件に関連しそうなワードをチョイスして説明します。


taxi to ○○ :○○まで地上走行せよ
holding point △△:△△上の待機位置
hold short of ××:××手前で待機せよ
R/W** line up and wait:滑走路**に進入し滑走路上で待機せよ(離陸はまだ)
R/W** cleared for take off
R/W** clearee to land :滑走路**離陸/着陸を許可します
R/W** continue approach:滑走路**への進入を継続してください(着陸許可はまだ)
Go around :着陸をやりなおせ。パイロットが宣言した場合は着陸をやり直しますという意味。
管制指示等に加えてNo1:1番目に指示通りに動いてください。No2なら2番目

上記の用語は重要な指示ですので管制官から指示がきた場合、

パイロットは必ずオウム返しのように復唱し、管制官に理解したことを伝える決まりとなっています。

ラジャーなどだけで返答すると管制官から復唱せよと指示が来ますしコックピット内でも理解しているのか?と疑義が生まれ通常、確認がなされます。

なぜ独特な表現なのか?それは人間が空を飛び航空管制が誕生し安全と思われましたが勘違いが原因の事故が多発したからです。

その為、正確に意図が伝わるように用語が時代とともに改良され、使って良いワード。ダメなワードが生まれてきました。

正確に意図が伝わらないので航空管制ではOK!は使ってはダメなことになってるんですよ(^^)

ok!というワードが原因の一つでジャンボ機同士がぶつかった事故があるくらいです。

テネリフェ空港衝突事故再現


テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故です。もう少し早く用語が改良されていれば、事故は防げたかもしれません。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%8D%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A7%E7%A9%BA%E6%B8%AF%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9C%E6%A9%9F%E8%A1%9D%E7%AA%81%E4%BA%8B%E6%95%85

意外かもしれないですが勘違いから産まれる航空事故、インシデントは昔から数多くあるのです。

これらの基本情報を元に次回はもっと掘り下げて考えます。単純な聞き間違い?空港の設計は?機長審査はどうだったのか?パイロットの見張り義務etc…次回もよろしくお願いします。🍺

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