「トランプはゼレンスキーを『独裁者プーチンとの取引』に追い込むやろう」| リケッツ卿
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ほな、リケッツ卿ピーター・リケッツ前国家安全保障顧問に、ドナルド・トランプの勝利が世界に与える影響についてお話を伺いたいと思います。
おはようございます。今日の世界は、より危険になったんでしょうか、それともより安全になったんでしょうか?
確実に、より不確実で懸念の多い場所になりましたな。ドナルド・トランプがNATOの同盟国やアジア太平洋地域の同盟国をどう扱うか、我々は見てきました。彼は同盟国を必要としていないと考えておりまして、今議論されていた通り、独裁者との取引を好む傾向がありますわ。ウクライナのゼレンスキー大統領の頭越しにウクライナとの取引をして、プーチンのウクライナ侵攻とそれ以降の死者を認めることになり、NATOを弱体化させることになります。
4年前に彼が大統領やった時より世界は危険になっていますが、彼は同じようなスタイルで行動するでしょう。そのため、我々全てがより不確実で危険な世界に置かれることになると思いますわ。
NATOの同盟国や加盟国に関して、彼は単に費用を支払って欲しいだけなんと違いますか?
そうですな、彼は費用を支払って欲しいと思っていて、最初の任期からNATOにそういう圧力をかけてきました。ヨーロッパの防衛費支出は増えてきていますが、それは主にプーチン大統領からの脅威によるものです。彼がそれを勝利と捉えたいなら、そうすればええんですが、NATOは単なる費用の支払い以上のものです。アメリカを含む全ての同盟国がその責務を果たすことが求められます。
最初の任期で彼が言うていた「支払った分だけの安全保障しか得られへん」というような発言は、「一人は全員のために、全員は一人のために」というNATOの根本的な協定を破壊するものです。たとえ組織から実際に離脱せんとしても、NATOに大きなダメージを与える可能性がありますわ。
彼が解決できると言うてる事についてはどうですか?後ほどウクライナの国会議員とお話ししますが、彼は24時間でウクライナ問題を解決できると言うてますし、中東に平和をもたらすことにも楽観的ですよね。
はい、数年前から覚えのある古い自慢話に戻ってきましたな。ウクライナについては、戦って死んでいるウクライナの人々の頭越しに、プーチン大統領との取引を試みるんやと思います。それはウクライナの利益に反する取引にしかならんでしょう。
その後、ゼレンスキー大統領に「この取引を受け入れへんなら、武器と経済支援を切るで」と言うて強要するんやと思います。これはウクライナをどういう立場に置くことになるんでしょうか。そして、同盟国としてのアメリカの評判はどうなるんでしょうか。
これは明らかなロシアによる隣国への侵略で、2年半もの間、多くの人々が命を落としてきました。今、彼はウクライナの人々の頭越しに、プーチンがこの戦争でより良い立場に立つような解決策を押し付けようとしています。これは、ヨーロッパの将来的な不安定さと、ロシアの境界線の他の部分、特にバルト諸国への更なる脅威を確実にするだけです。暗い2年半からの非常に悪い結果になるでしょうな。
外交政策に関して、ドナルド・トランプ大統領の任期にはメリットはありますか?戦争を終わらせることについて、また世界のリーダーたちと直接話をする方法について。
正直に申し上げて、ポジティブな面を見出すのに苦労しておりますわ。彼について最も予測可能なことは、その予測不可能性です。彼が何をするか本当にわかりません。
彼は常にアメリカが外国の戦争に関与することに反対してきました。ネタニヤフはイランの核施設への攻撃などでイランとの戦争に彼を引き込みたがってますが、トランプは非常に慎重になると思います。そのため、これ以上のアメリカの冒険主義は見られへんと思います。
中国に対しては確かに強硬な姿勢を取るでしょうが、最初の任期では、現実よりも言葉の方が激しかったです。中国に関税を課したものの、彼が大統領の時に米中貿易は実際に成長したと思います。今回も、また危険な行動よりも大げさな言動が多くなる可能性がありますな。
ただし、非常に不確実で、今朝、全ての同盟国の首都にとって不安で心配な状況であることは間違いありません。
ほな、次はウクライナについてもう少し詳しく見ていきましょう。ウクライナの国会議員アレクシー・ゴンチャレンコさんです。おはようございます。
ゼレンスキー大統領はドナルド・トランプの印象的な選挙勝利についてお祝いのメッセージを出しましたが、あなたもそれに賛同されますか?
間違いなくそうですわ。これは歴史上前例のない明確な勝利です。ホワイトハウスだけでなく、上院も下院も共和党が制することになりそうな完全な勝利です。中間選挙までの2年間、アメリカには一つのチームだけが指揮を執ることになります。
トランプは24時間でウクライナの戦争を終わらせることができると言っていますが、どのようにすると思われますか?
はい、できると思いますが、問題はその代償と、彼がどう考えているかですな。ウクライナの視点から申し上げますと、ドナルド・トランプは確かにリスクは高いですが、可能性も高いと思います。カマラ・ハリスの方が予測可能でしたが、トランプは予測不可能です。彼が何をするのか、どう終わるのか、現時点では分かりません。
良い点として、トランプは既に勝利演説で石油について言及しました。これは非常に重要です。彼が「掘削、掘削、掘削」と言うたことを思い出してほしいんですが、これはプーチンの戦費を支えている唯一のものです。もしトランプが世界の石油価格を下げれば、ウクライナ戦争やロシア政権全般に対して、他の何よりも大きな効果を持つ可能性があります。
これは一例に過ぎませんが、状況は白黒はっきりしているわけではありません。2次元でも3次元でもなく、多次元的な問題なんです。また、特にこのような大勝利の後のトランプは、敗者になりたくないと思います。バイデンが任期の始めにアフガニスタンで経験したような失敗は避けたいはずです。
ただ、仮定の話ですが、例えばトランプが「平和が必要や。そのためにウクライナはドンバスなどの領土を放棄せなあかん」と言うた場合、それは絶対に受け入れられへんことですか?
まず、私がその決定を下す立場ではありません。ただ、申し上げられることは、誰が何と言おうと、我々は占領された領土がロシアのものだということは決して受け入れません。しかし、これらの領土をどのように取り戻すか、それがどのように実現するか、それが問題です。アメリカの支援なしでは、少なくとも現時点では軍事的な方法で実現するのは非常に困難になるでしょうな。