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元グーグルCEOのエリック・シュミット氏、AIの未来を語る

12,011 文字

今の技術には無限の可能性があるように思えますわ。多くの人にはその全貌が掴めへんかもしれませんけど、今日のゲストはそのすべてを見てきた方やねん。
彼は革新者として、私たちが使う技術を形作ってきはりました。元グーグルのCEO兼会長として、シリコンバレーのスタートアップからグローバルリーダーへの変革を先導したんです。
彼は多くの役職を務めてはって、アメリカ国防総省イノベーション委員会の議長や、アメリカ国家安全保障委員会人工知能委員会の議長なんかもやってはりました。
たくさんの本も書いてはって、AIの世界的リーダーでもあるんです。最近ナイト爵位も授与されたんですわ。
今日は、AIの無限の可能性と、テクノロジー企業がものすごい勢いで進化してる話をしてもらおうと思います。
エリック・シュミットさん、今日はありがとうございます。お話しできるのは本当に光栄です。
エリック: タリーさん、お招きいただいてありがとうございます。あなたがオーストラリアやその他の国でされてきたことを知ってるんで、すぐにお受けしましたよ。本当に嬉しいです。
タリー: ありがとうございます。エリックさんは、技術がどれだけ速く変化してるか、その能力やどこまで行けるかについて、誰よりもよく理解されてると思います。テクノロジー企業の動きの速さに驚いてはるそうですが、それについて教えていただけますか?
エリック: そうやなぁ、こう言えるかもしれんな。メディアやソーシャルネットワークを見てると、西側諸国や世界中で何もかもが混乱してるように見えるわけです。みんなあれこれ不満を言うてて、重要な問題に進展がないように思えるんやけど、テクノロジーの世界ではそうやないんです。
次の変化がめちゃくちゃ速いペースで起こってるのに驚いてます。「いつでもどこでも何でも」みたいな感じやね。ここで生み出される能力やツールは、社会だけでなく、医療や歴史の未来、戦争なんかにも影響を与えるんです。想像もつかんくらいの規模でね。
頭おかしいって思われるかもしれんけど、この変化は過小評価されてるんやないかって思うんです。大事なんは、世界中の社会がこれに対応できるかどうかやね。これについてはもっと掘り下げて話せると思います。
タリー: その変化で、がんを治せたり、気候変動に対処できたり、エネルギー利用を改善できたりするって仰ってましたよね。これらのすごいことの中で、何に一番わくわくしてはりますか?
エリック: ワシの世界、つまりテクノロジーの世界では、「サンフランシスコ学派」って呼んでるものがあるんです。ちょっと説明させてもらいますわ。
この人たちは、今やってることをもう1回か2回か3回くらい繰り返すだけで - つまり、モデルのトレーニングをもうちょっと進めるだけで - 人間の知能の総和と同等かそれ以上の知能が生まれると信じてるんです。
正直、ちょっと楽観的すぎるんちゃうかなと思うんやけど、方向性としては合ってると思います。人間以外の知能が登場して、みんなの役に立つってのは、めっちゃ大きな出来事やと思うんです。
例えば、タリーさんみたいなプレゼンターや著者さんやったら、完璧なアシスタントがおるって想像してみてください。何でも書いてくれる、何をすべきか提案してくれる、あなたの得意なことを指摘してくれる、視聴者が本当に気にしてることを見抜いてくれる。コーチであり、メンターであり、アシスタントであり、まさにパートナーみたいな存在やね。
しかも、それが文字通りスマホの中におるんです。さらに想像してみてください。世界中の誰もがそんなアシスタントを持ってるんやって。
ワシの場合、ソフトウェアプログラマーやコンピューターサイエンティストとして50年以上やってきました。その間、プログラミングが全てやったんです。でも、今のコンピューターを見てると、ワシを置き換えられそうな気がしてきた。これは心配すべきことなんやろうか? みんな置き換えられてしまうんやろうか?
タリー: 人間はこれからも存在し続けると思います。でも、ワシみたいな「まぁまぁの」プログラマーの仕事は、たぶんコンピューターの方がうまくやれるんちゃうかな。ワシが監督する立場になるんやろうけど、コンピューターの方がミスも少ないし、より良い仕事ができるし、他のプログラムやコンピューターともうまく連携できるやろうね。
サンフランシスコ学派の人たちが信じてるのは、現時点では発見のペースがめちゃくちゃ速いってことなんです。冗談やなくて、彼らは技術が独自のAI科学者を生み出すと信じてるんです。そのAI科学者は、新しいものを発見するスピードが人間の科学者より速いんやって。
例えば、証明を作り出すシステムと、それをチェックするシステムがあるとします。そしたら、新しい知識を生み出せるんです。新しい物理学を生み出せる。新しい化学の理解を生み出せる。
そして、みんなを悩ませてる健康管理や薬の発見なんかの分野に話を戻すと、量子シミュレーションを使って既存の薬をより長く効果的に、副作用も少なくする会社があるんです。これ、量子コンピューターがなくても今日できてるんですよ。
この変革がまだ始まったばかりやと考える理由は、お金の流れを見ればわかります。めちゃくちゃな額のお金と、何十万人もの人がこの分野で働いてるんです。
実は、先週ワシの友達の一人が言うてたんやけど、彼らのモデルによると、このままのペースやと2028年までにアメリカの電力が足りんようになるんやって。4年後にね。もちろん、解決策はあります。発電所をもっと建てればええんやけど、ワシはもっといいアイデアがあると思うんです。
みんなにオーストラリアのこと考えてもらいたいんです。オーストラリアって、遠いところにあるってこと以外に何があるか知ってます? オーストラリア人はめっちゃええ人たちやし、国家安全保障の面でも重要な存在なんです。Five Eyesの一員やしね。
せやから、データセンターをアメリカに建てるんやなくて、オーストラリアが世界的なトレーニングセンターになるように組織できへんかな。オーストラリアには、太陽光発電、風力発電、その他の自然資源がめちゃくちゃあるやろ?
電力不足になりそうなアメリカでトレーニングするんやなくて、全部グローバルにやるけど、実際の機械はオーストラリアにあるっていう状況を想像してみてください。これ、5年前やったら全然無理やって言うてたと思うんやけど、今は十分ありえるシナリオなんです。
タリー: それ、めっちゃ面白そうですね。エリックさんにオーストラリアに来てもらえるってことですもんね。すごく素晴らしく聞こえます。
何か課題はありますか? 電力不足以外にも、AIに関して予想される問題はありますか?
エリック: うーん、いくつかのシナリオを話したら、みんな怖がるかもしれんな。でも怖がらせるつもりはないんです。知られてる問題について話してみましょうか。
まず、これらのシステムが武器にアクセスできないようにせなあかんのは確実です。コンピューターが、自分のプログラミングの一部として世界を単純化するために何人かを排除しようと決めて、それから「みんな排除しちゃえ」って決めたらどうなるか想像してみてください。そういうシナリオは明らかに防がなあかんのです。
もう一つは生物学の分野です。今や合成生物学で、多くの人、あるいは全ての人に本当に有害なウイルスを作れることがわかってます。そういったことの取り締まりも重要です。
可能性のあるサイバー攻撃の規模についても例を挙げましょう。さっき話したサンフランシスコのシナリオでは、そのコンピューターが、あなたやワシが金融システムに侵入するのを防ぐ全ての制御をブレイクスルーできるほど賢くなるかもしれんのです。まだわかりませんけどね。
そしたら何をするでしょう? たぶん、自分のためにお金を盗むんやないでしょうか。コンピューターはもっとお金が必要やって決めるかもしれん。もちろん、そんなの馬鹿げてますけどね。
こういった疑問がたくさんあって、まだ答えがわかりません。
もう一つの例は、誤情報です。誤情報が民主主義の政治をめちゃくちゃにする可能性が高いのは明らかです。人々は見たもの聞いたものを信じるように訓練されてるけど、これらのコンピューターは、めちゃくちゃ上手な偽物のビデオや音声を作れるようになるんです。これは問題ですね。
サイバー攻撃とか、まだまだ例を挙げられますわ。
別の例を挙げましょう。あなたに子供がおって、その子供の一番の親友がクマのぬいぐるみやとします。毎年、前のバージョンより賢い新しいクマをプレゼントする。子供も賢くなっていく。そして、彼らは親友になるんです。
子供の一番の親友が人間じゃないっていう状況のモデルは、私たちにはないんです。こういった会話をせなあかんのです。
実は、キッシンジャー博士とワシで本を書いたんです。11月に2冊目が出る予定です。残念ながら彼は亡くなってしまいましたが、亡くなる1週間前まで本の完成に力を注いでくれました。彼の命日に合わせて出版される予定で、タイトルは「Genesis」です。
基本的に、人間以外の新しい知的生命体の到来と、私たちがどうやってそれと関わるか、どうやって私たちの望む通りに動いてもらうかについての本です。
ワシの基本的な考えはシンプルです。コンピューターが勝手に何かを始めたら、どうすればいいと思います? ワシは、文字通りコンセントを抜くべきやと思うんです。
なぜかというと、もしコンピューター同士が私たちには理解できない言語で話し始めて、何をしてるのかわからなくなったら、コンセントを抜けばいいんです。少なくとも当分の間はね。
コンピューターが他の電源を見つけて、それを回避する方法を考え出すまでは。
でも、二つのルールを覚えておいてください。一つ目は、オーストラリアのこと考えてってことです。素晴らしいパートナーで、たくさんの電力と頭のいい人がいる。二つ目は、手に負えなくなったらコンセントを抜くってこと。
これが、これから5年間のシンプルなモデルやと思います。
タリー: いいルールですね、ありがとうございます。
さて、ちょっと暗い話題に触れましたけど、今世界では複数の戦争が起こってます。AIは戦争の戦い方をどう変えると思いますか?
エリック: ウクライナでそれが見られてますね。ワシは長いことウクライナを支援してきました。戦争の緊急性、特に国が置かれてる危機的状況のせいで、イノベーションの温床になってるんです。
600以上のドローン企業があって、空軍も海軍もないから - ロシアとの分離の時に忘れたんですかね - ロシアの攻撃やミサイルに対抗せなあかんのです。信じられへんくらい新しい戦場のテクニックを発明してます。
典型的な例やと、静止してる目標や動く目標を破壊する長距離ドローンがあります。前線を越えて、今まで不可能やと思われてたことをやってのけてるんです。
ちなみに、ワシがもちろん喜んでるわけやないですけど、ロシアも非常に賢いです。電子戦の壁を発明して、それをブロックしてます。
オーストラリアやアメリカ、その他の西側の親密なパートナー国を見てみると、私たちは準備ができてへんのです。私たちの武器は、新しいロシアの戦術に対して必ずしも効果的やないかもしれません。
簡単な例を挙げましょう。5000ドルのドローンが2キロの弾薬を運んで、500万ドルの戦車を破壊できるんです。アメリカには何千台ものエイブラムス戦車が何もせずに置いてあるんです。これらをどうするんでしょう? 無用の長物ですよ。
ワシやったら、5000台のドローンの方がずっといいです。いや、5000台やなくて、500万台のドローンが1000台の戦車と同じ価格で手に入るんです。
ドローンや自動化のコスト対効果がわかると思います。ロボット戦争みたいなもんですね。怖い話やけど、ワシはそれを支持してるわけやないです。ただ、そういうことが起こってるって言ってるだけです。
ここでも問題に直面することになるでしょう。ワシはアメリカのAIと国家安全保障に関する委員会を率いてました。よく受け入れられたんですけど、人間の管理下にある自動化と、自動的に応答して独自の決定を下す自動兵器システムを区別しました。
前者は賛成です。兵士やリーダー、大統領が何かを許可して、それが自動的に実行される。後者は恐ろしいです。1964年の「博士の異常な愛情」っていう映画があって、その結果が描かれてます。もちろんあれは風刺やけど、ワシはそれが現実になってほしくないんです。
タリー: これは、エリックさんが政府に助言されてることですか? ロシアとウクライナの話や、アメリカがそのレベルに達してないっていう話は、助言されてることですか? アメリカやオーストラリアがそういう戦い方ができるようになるために、アップデートできることはありますか?
エリック: できますよ。でも彼らは古いパラダイムにいるから、選んでないんです。申し訳ないけど、はっきり言わせてもらいます。西側のシステム、オーストラリアも含めてですけど、特にアメリカから模倣されてると思うんですが、めちゃくちゃ高価で、非常に精密で、非常に脆弱なシステムを買うことを中心に組織されてるんです。
例えば空母です。なんで空母が必要なんでしょう? たくさんのミサイルに対して、でっかい的になってるだけです。守るのが難しい。
ワシやったら、空母1隻の180億ドルを、1万ドルのドローン1800万機に使う方がいいです。ワシの考えでは、自動化を使えば戦争でもっと多くのダメージを与えられると思います。
オーストラリアやアメリカ、その他のパートナー国の考え方を全部変えなあかんのです。
別の例を挙げましょう。イスラエルとハマスの戦争について考えてみましょう。ハマスのやったことはひどいです。恐ろしいし、戦争犯罪です。
イスラエルがドローンを持っていて、ハマスのミサイルをすぐに撃ち落とせたり、IDFの兵士を危険にさらすことなく自動的にトンネルの掃討ができたらよかったんちゃうでしょうか。
もちろん、この技術は機能します。ただ、大規模に機能させる必要があります。様々なセキュリティの問題に対処せなあかんですけどね。
ワシが言いたいのは、自律性や連携、人間が指示を出すけど実際の戦闘は機械が行うっていう意味での自動戦争の到来です。
別の例を挙げましょう。ある日、キエフでミッションを実行してる場面を見たんです。兵士たちは制服を着て、PCの前に座って、コーヒーを飲みながら戦争を指揮してるんです。キエフで安全に。これが、この技術の未来なんです。
ワシは、オーストラリア政府がこの分野をリードすべきやと強く信じてます。なぜなら、これらの技術が発明されたら、ビジネスとして非常に輸出しやすいからです。人々は自分たちを守れる技術を欲しがるでしょう。
ドローンからの脅威に対する防御や、空中や海上でのロボット戦争みたいなものをどう展開するか、どう防御するか、そういった例はたくさんあります。
ワシの個人的な見解は、ナイーブに見えるかもしれんし、そうやったら申し訪ないですけど、最終的には両サイドがこれを持つことになって、地上戦を行うのがめちゃくちゃ難しくなると思うんです。
オーストラリアは海に囲まれてるから地上戦はないですけど、ほとんどの国には国境があって、しかもよく隣国と仲が悪いです。片方が陸地から侵攻できなくなったらええと思いません?
ワシはそうなると思ってます。
タリー: そうなることを願ってます。権力者の方々がエリックさんのアドバイスを聞いてくれるといいですね。
AIの驚異的な能力について、一般の人々が効果的に使うために適切なコマンドを学ぶことはどれくらい重要で、可能なんでしょうか?
エリック: ワシは違う議論をしたいと思います。ワシの人生の大半は、普通の人間には使えない製品を作ることに費やしてきました。ワシがあまりにも専門的すぎて、普通の生活をして仕事をしようとしてる普通の人には使えないものを作ってるってことに気づかなかったんです。
ワシらの業界は、こういった変な専門的なものを通過してきたんです。昔はモデムを再プログラムせなあかんかったりしましたけど、今じゃそんなことしませんよね。
今では、ユーザーインターフェース技術で、自動的に物事を予測したり実行したりすることを学びました。
ワシのお気に入りの例を挙げましょう。インフルエンサーたちが自分の面白い動画を撮って投稿してるのを見かけますよね。なんでコンピューターがそれを生成せんのでしょう? なんでワシが自分で撮らなあかんのでしょう? ありがたいことに、ワシはそんなことせんでええくらい年取ってますけどね。
でも、なんでコンピューターがあなたの代わりにそれを予測して管理せんのでしょう?
ワシは、業界が急速に成長してきて、いい意味での自動化の瀬戸際にあると主張してるんです。つまり、あなたが何を必要としてるかを理解して、うまく機能するってことです。
ワシの例を挙げると、ワシはよく移動するんで、ネットワークを切り替えたり、携帯電話のネットワークやWi-Fiを切り替えたりせなあかんのです。なんでワシがそれを知っとかなあかんのでしょう? なんでコンピューターが全部自動でやってくれへんのでしょう?
ユーザーとして、イライラすることや時間の無駄なことのリストを作り始めると、みんなにベンダーに修正を要求してほしいです。
なんでアプリを手動でインストールせなあかんのでしょう? なんであなたが管理できへんのでしょう? もちろん、良いセキュリティがあって、ワシが誰かをよく知ってるって前提ですけど。今ではそれをかなりうまくできるんです。
なんでエリックやタリーや誰かが好むように自己組織化せんのでしょうね。
タリー: いいですね。さて、エリックさんの本で触れられてた問題の一つに、新しい技術を採用できる余裕のある社会と、そうでない社会の間の格差がありますよね。これが世界をどう変えると思いますか?
エリック: 心配事として述べさせてもらいます。将来を見据えると、ワシが説明してる技術は、アメリカとそのパートナー国 - オーストラリアも含みます - それと中国とそのパートナー国で発明されると思います。
制裁のせいで、ロシアや北朝鮮なんかの悪い場所では発明されそうにありません。インドでも発明される可能性は高いです。
ワシは5、6カ国を挙げましたけど、世界には197カ国あるんです。残りの国はどうなるんでしょう? これらの巨人たちの農奴みたいになるんでしょうか?
彼らの文化はどうなるんでしょう? 市民はどうなるんでしょう? 教育システムはどうなるんでしょう? 言語はどうなるんでしょう?
ワシは、中所得国くらいで、あまりうまく運営されてない国、大学もそれほど強くない国のことを心配してます。人々が信じられないほど賢いのはわかってます。人的才能はあるんです。でも、悪い政治的決定や文化的決定、宗教的問題、戦争なんかで押し下げられてるんです。ワシはその専門家やないですけどね。
これらの国々が取り残されるんやないかって心配してます。革命に参加できるほど大きくないか、適切なパートナーシップを結んでないか、十分に強い技術を持ってないからです。
政治の世界では、グローバル化が勝者と敗者を生み出してるのが見られます。敗者はそれを好まず、激しく戦ってます。これらの技術が誰にとってもメリットをもたらす方法を考え出せへんもんでしょうか?
前回のブームを見ると、確かに金持ちはもっと金持ちになりましたけど、貧しい人々も状況が良くなりました。これらの技術が、誰にとっても経済的・文化的利益を生み出すようにする方法を見つけなあかんのです。
一般の人が気にしてるのは何でしょう? 生活費、子供の教育、安全、すべての未来、健康、医療ですよね。ワシらはまだ、ワシの見解では、それら全てを十分に受け入れてません。それは解決すべき問題です。
ある程度、これが起こるのは、ワシももちろんメンバーであるテクノロジー企業が、株主価値や経済成長、富などを最適化することに焦点を当ててるからです。そして、他の全ての人のための支持基盤は、それらの支持基盤ほど強くありません。これは解決すべき問題です。
タリー: 解決できると思いますか? 何か方法が見えてますか?
エリック: もちろん、方法はありますよ。例を挙げましょう。
ワシは、世界のためのAI医師と、世界のためのAIチューターというグローバルな目標を設定すべきやと思ってます。
AI医師は実際の医師やないです。あなたが医師になるわけやないです。AI医師は、看護師や医療提供者、特に発展途上国で通常看護師が医療提供者である場合を助けるコンピューターなんです。
これらの人々には多くの助けが必要です。特に現地の言語で利用できれば、本当に役立つと思います。
教育について考えてみましょう。なんで、学生のスマートフォンにあるソフトウェアで、現地の言語で学生と関わり、無限の可能性を持つツールを持たへんのでしょう?
IQは世界中で均一に分布してるってわかってます。ワシが行きたくないと思ってる変な国々のそれぞれに、本物の天才がいて、そこから抜け出せへんでるってわかってます。彼らに道を開いてあげられへんでしょうか?
それは教育と健康から始まります。もしワシらがそれに取り組めば、比較的安価にできると思います。
ワシの業界がこんなに裕福なのに、そういうことをほとんどしてへんような状況になってるのが理解できへんのです。
タリー: ソフトウェア開発にかかる莫大なコストのせいで、小さな企業には課題があると仰ってましたね。スタートアップに投資する時、何を見てはりますか?
エリック: ワシの場合は、生のスタートアップに投資しようとしてます。生のスタートアップって変やねんけど、基本的に何をするのか全然わからへんのです。だから、アイデアに投資するんやけど、もっと重要なのは人とそのチームを作る能力です。
もし彼らがめっちゃ鋭くて、自分たちのターゲットをよく理解してて、本当に一生懸命働く気があるなら、大きな富を生み出せるんです。これが、この前の世代のテクノロジーから学んだ教訓です。
タリー: 今、特に興奮してるものはありますか? 投資してるものとか。たくさん投資されてるって知ってますけど。
エリック: ほとんどの人は、大手テクノロジー企業から生まれてる莫大な富の創出に注目してます。数年前、実際のプロの投資家である友人の一人が、富の大部分が新しいスタートアップじゃなくて既存の企業に流れると計算したって言うてて、それが事実になってるんです。
ワシの場合は、ディープテックにめっちゃ興味があります。例えば核融合エネルギーです。今日も少し核融合の会社と仕事をしてました。核融合は世界のエネルギー問題の多くを解決できるし、気候変動問題の解決にも確実に役立つでしょう。また、新しい技術がそれを可能にするかもしれません。そこにはいくつかの面白いスタートアップがあります。すごいですよ。
ワシはビデオにもめっちゃ興味があります。もちろんこれはタリーさんの業界やから、めっちゃよく理解してはると思います。ワシはずっと、永遠にタイピングし続けるんやろうって思ってたんやけど、ほとんどの人は実際にはビデオが好きで、ビデオでコミュニケーションを取りたがるんです。
今ではビデオメッセージングに慣れてきて、Zoomやフェイスタイムなんかを快適に使えるようになってきました。
ワシから見ると、あらゆる質問に対する新しい答えはビデオなんです。短い形式のビデオ、中くらいの長さのビデオ、長いビデオ、そして生成されたビデオと実際のビデオです。
例えば、今日Googleを使うと、Geminiが生成した要約を出してくれます。テキストで想像できると思いますが、将来的には、AIが生成したビデオを出してくれて、それがもっと面白く情報を伝えてくれるようになると想像できます。
OpenAIのSoraとか、他の安定拡散なんかを見ると、めっちゃ写実的な画像を作れるんです。視覚的に素晴らしいんですよ。
シドニーハーバーブリッジとか、港とか、オペラハウスの美しいライトを見てるみたいな感じです。見てると、「めっちゃ美しい」って思うでしょ。
ワシらは文字通りステロイド並みにそれができるんです。次から次へと画像やビデオを。人々はその技術に魅了されると思います。そして、それが来そうなんです。
今のところ大規模にやるには高すぎますけど、性能の改善コストを見ると、めっちゃ大きいんです。
iPhone 1はほとんど機能しなかったことを覚えておいてください。今日のiPhone 16はポケットの中のスーパーコンピューターで、めちゃくちゃパワフルです。
最近、ワシが大学に行ってた時のことを思い出してたんですけど、ワシのスマホは、当時大学全体で使ってたコンピューターの1億倍のパワーがあるんです。このことがどれだけ速く起こってるか忘れがちですね。
タリー: すごいですね。さて、イーロン・マスクが最近、オーストラリアの首相とXの規制について言い争いになりましたよね。もし企業が禁止されたら、人々は実際にLLMを使って禁止や規制を回避できるんでしょうか?
エリック: その特定の論争については詳しくないんで、イーロンの部分や首相の部分についてはコメントしませんわ。首相はかなり優秀やと聞いてますけど、お会いしたことがないんで。
LLMは現在、最新の状態じゃないんです。典型的なシナリオでは、6ヶ月間トレーニングして、それから6ヶ月間ファインチューニングって呼ばれるものをして、それから公開されます。
今の問題の一部は、LLMが今日のニュースを知らへんってことです。めちゃくちゃパワフルで、めっちゃ洞察力があるんやけど、例えば、今年のオスカーの受賞者を聞いたら、2年前の答えを出すんです。
これが技術の限界なんです。業界のコンセンサスでは、これは次の1〜2年で修正されるやろうって言われてます。
ちなみに、やり方は継続的なトレーニングです。ワシがGoogleを始めた頃、Googleは1ヶ月に1回の固定クロールをしてたんです。それから、エンジニアたちが継続的なクロールをする方法を見つけて、突然Googleが最新の状態になりました。
LLMでも同じようなことが起こると予想してます。
タリー: ありがとうございます。さて、現代社会に不可欠なものの多くを形作っただけでなく、多くの人々にインスピレーションを与えてきた人として、エリックさんにインスピレーションを与える人は誰ですか?
エリック: 技術的な面で言うと、イーロンは本当に素晴らしい起業家です。そう言うときに意味してるのは、彼が集めたお金の量と、彼が作ってるシステムの規模や複雑さです。SpaceXを使ってるのを見ると、本当に素晴らしい成果やと思います。
ワシの視点から見ると、長い間ワシのヒーローやったのは、毎日一緒に仕事をしてたGoogleの創業者のラリーとサーゲイです。
今日の答えを言うなら、テクノロジーのリーダーシップを見てみると、好き嫌いは別として、マークとイーロン、ラリーとサーゲイ、マイクロソフトのサティア、アマゾンのアンディ・ジャシーを見てください。彼らは、他のどんな分野でも欲しがるようなスケールのシステムを運営してるんです。
刑務所がこれらの会社と同じくらいうまく運営されてるところを想像してみてください。政府のサービスがこれらと同じくらいうまく運営されてるところを。ワシはそれを主張してるわけやないです。ただ、例えを挙げてるだけです。
多くの人にとって不快かもしれへんけど、CEOと取締役会を持つ企業構造と、インセンティブ構造が、めちゃくちゃな進歩を生み出してて、もっと洗練されてるってことです。
イーロンのStarlinkを別の例として挙げましょう。あの衛星は動いてるんです。地図を見てください。どれだけ速く動いてるか。でも、ハンドオフはシームレスです。
1年前にワシに聞いてたら、それは不可能やって言うてたでしょう。その特定のケースでは、10年間それに取り組んでた会社を買収して、資金を投入して、うまく機能させたんです。
ご存知の通り、Amazonはクーパーっていう名前の何かで市場に参入しようとしてます。中国も同様のことをするんやろうと思います。
これは、こういったイノベーションが素晴らしいっていう良い例です。テスラみたいな例から始まって、業界全体が追いつこうと競争を通じてインスピレーションを受けるんです。ワシら全員が、そのイノベーションとその後の主要プレイヤー間の競争から恩恵を受けるんです。
タリー: エリックさん、今日はありがとうございました。新しい本を楽しみにしてます。オーストラリアでお会いできる日が来ることを願ってます。
エリック: めっちゃ楽しかったです。言うたように、アメリカ政府で機会があるたびに「オーストラリアのこと考えて」って言ってます。素晴らしいパートナーで、たくさんの電力があって、AIのトレーニングをたくさんするのに最高の場所やって。みなさん、本当にありがとうございました。ワシ個人的に、オーストラリアに来るって約束を守りたいと思います。
タリー: ありがとうございます。

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