マーク・アンドリーセン - AIが最も影響を与える産業
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ほなね、AIは根本的な変革の瞬間の1つやと確信してまんねん。テクノロジー業界では、こういう変革は数十年に一度しか起こらへんのですけど、今回のAIは間違いなくマイクロプロセッサやコンピュータ、インターネットと同じくらい、もしかしたらそれ以上のインパクトがあるかもしれまへん。
テクノロジー業界にとってこれは非常に深遠で強力な瞬間やと思いますわ。もちろん、既にその効果の多くが現れ始めてますけど、この技術は多くのものを変えていって、とてもワクワクするものになると思いますねん。
ほな、AIやテクノロジー全般に対して根本的に楽観的な見方をされてると思いますが、投資戦略として、AIによって最も恩恵を受ける産業についてどのようなお考えをお持ちですか?
そうですね、いくつかありますわ。まず明らかなのがヘルスケアです。実は最近、タンパク質折りたたみの研究でノーベル化学賞を受賞したデマス・ハサビスさんとランチを共にしたんですわ。
彼と彼の同僚らは、AIを活用して今後の医療開発に劇的なブレークスルーをもたらすと確信している革新的なアプローチを持ってはりますわ。
そして、エンターテインメントも非常にエキサイティングな展開が期待できる分野ですね。既に素晴らしい創造性が発揮され始めてますわ。
最も真面目なものと最も楽しいものという意味で、これら2つを両極端として挙げさせていただきましたが、他にもたくさんありますわ。
現在、私が最も注目しているのはロボティクスですね。社会全体にロボットが浸透して、家庭にロボットがいて、手作業を全部ロボットがやってくれる、例えば皿洗いやスーツケースの荷造り、トイレ掃除なんかもね。手作業から人を解放するという約束は、SF小説の中で120年くらい前から語られてきたことですわ。
最近まではその当時とあまり変わらへんかったんですけど、今は劇的な進展が見えてきてますね。例えば、自律飛行ドローンは今や標準的なものになりましたし、自動運転車も実用化されて上手く機能してますわ。
人型ロボットやその他の形態のロボットも近づいてきてると思いますわ。うちには中国製のロボット犬が2台おりますねん。
これまでボストン・ダイナミクスのデモ動画でロボット犬が走り回ってるのを見た人も多いと思いますが、あれは5万ドルとか10万ドルするもので、実際には市場に出回ることはなかったんです。でも今や中国企業が1500ドルでそういうものを作れるようになってきてますわ。
めっちゃ優秀で、走るのも速いし、人間より速く走れるんですわ。宙返りもできるし、後ろ足で立ったり、階段も上れます。車輪付きのバージョンは時速30マイルで走れて、階段も上れるんです。車輪をロックして問題なく階段を上がれますわ。
人型ロボットも急速に進化していて、最近イーロン・マスクがテスラのオプティマスロボットのデモデイを開催しましたね。まだ完璧やないですけど、今はVRヘッドセットを付けた人が後ろで操作してガイドしてる段階です。でも、人間の動きを観察して学習させることでトレーニングができるんです。
なので、ロボティクスは結構近い将来に実現するかもしれませんね。これは大きなインパクトを持つことになると思いますわ。
この3つの分野が明らかに注目すべき分野として挙げられますね。ロボティクスのタイムラインについてはどう考えてはりますか?イーロンは2万から3万ドルくらいと見積もってますが。
大きなブレークスルーとしては、まず自律飛行ドローンがありましたね。グローバル市場では中国のDJIが主要な企業ですが、アメリカの企業でもさらに優れた技術を持つところが出てきてます。
これらのドローンは木の枝の間を飛んだり、室内を飛行したり、地下トンネルを完全に自律的に飛行できるんです。それから自動運転車も、Waymoの車は素晴らしいし、利用者の評価も高いですね。テスラの自動運転機能もどんどん良くなってきてます。
これらも飛行ロボットや運転ロボットという意味ではロボットなんです。だから歩行ロボットもそれほど突飛なものではないんですわ。
正確な時期については、5年くらいかなと思いますが、2年かもしれないし8年かもしれません。楽観的に見て3、4年といったところでしょうか。
人型ロボットの素晴らしい点は、物理的な世界の多くが人間の存在を前提に設計されているということです。組立ライン、車の運転、トラクターの運転、畑での収穫作業など、人間の形をしたロボットを作れば、理論的にはそういった作業全てを代替できるわけですわ。
これは非常に大きな市場になるはずで、人々も受け入れやすいと思います。通常の社会にうまく溶け込めるはずですわ。もちろん、他の形態のロボットもたくさん出てくるでしょう。
では、まだ克服すべき課題は何でしょうか?なぜ3、4年、あるいは8年かかるのでしょう?
基本的に3つの大きな分野があります。まず物理的な制御、つまり実際の身体とその制御能力ですね。イーロンの最近のデモを見ても、その進歩の速さが分かりますわ。他の企業の進展を見ても、どんどん良くなってきてます。
次にバッテリーの問題があります。充電や電池交換なしでどれくらい稼働できるかという点がまだ基本的な制限になってます。バッテリーの進歩は難しいですが、多くの人が取り組んでますわ。
そして最大の課題はソフトウェアですね。これは私たちが特に関わっている分野です。ロボットにはセンサーがあって、視覚センサーやライダー(光バージョンのレーダー)といったものが搭載されてます。これはWaymoの車にも使われている技術ですわ。
センサーで周囲の入力を集められるんです。実は人間よりも優れた点があって、360度見渡せたり、人間にはできない方法で深度を感知したりできます。
でも、そのデータを処理して、世界のモデルを形成し、行動計画を立て、その結果を理解する必要があるんです。例えば、コーヒーをテーブルに置く時、誰かの手の上には置けませんし、手の近くには置けても手の上には置けない。傾けると誰かを火傷させる可能性がある。
そして、コーヒーを置いている間に人が動くかもしれません。それに適応しないといけないんです。群衆の中を歩く時も同じで、人にぶつかることはできませんから。
パーティーでロボットが人々と交流している様子を見ましたが、ロボットには「好かれる」という基本的な目標があるんでしょうか?人々と知り合って魅力的に振る舞うような計画があるんですか?
一般的に企業は完全に無害であることを求めますわ。これは利益の動機とも一致するんです。フレンドリーで親しみやすく、人々を幸せにし、快適にする製品を目指します。脅威や威圧的な印象を与えたり、人を傷つけたりしないものですね。
環境に溶け込むことを重視し、人間を傷つけることを絶対に避けることに重点を置きます。例えば、誰かの命を救うためなら、喜んで交通の中に飛び込むようなロボットを目指すわけです。
親しみやすく、安全で、無害で、フレンドリーというのが、よく使われる言葉ですね。
昔は、これらをどうやって制御するか、どうやってコミュニケーションを取るかが大きな課題でした。スター・ウォーズでは電子音で、スタートレックのデータ司令官は英語で話しますよね。2年前までは電子音になると思われてましたが、今や大規模言語モデルと音声AIインターフェースがあります。
OpenAIが最近リリースした高度な音声モードは、スタートレックの宇宙船のコンピュータや人間と話すような感じです。突然、ロボットに声を与えられるようになり、会話ができ、量子物理学を説明したり、子守唄を歌ったり、大統領選の予測だってできるようになったんです。
数年前、ボストン・ダイナミクスが面白いデモをしてて、初期の言語モデルをロボット犬に接続して、イギリスの執事のような上品な声を与えたんです。機械的なロボット犬が歩き回りながら、まるでブルース・ウェインに話しかけるアルフレッドのように話すんです。「素晴らしい岩の山が見えますね」なんて上品に話すわけです。
これからは創造性が爆発的に広がると思います。例えば、レッドウッドシティにあるCuoというスタートアップは、私たちは投資してませんが、いい会社だと思いますわ。彼らは子供向けのぬいぐるみを作ってて、音声UIと大規模言語モデルを搭載してます。動きはしませんが、子供とジョークを言い合ったり、学びたいことを教えたり、心にあることを話し合ったりできるんです。
親がおもちゃの会話トピックを制御できるように巧みに設計されてて、科学は話していいけど政治はダメとか設定できます。また、子供が寝室でおもちゃと話している会話の内容をリアルタイムで親が確認できるんです。
面白いのは、小さな子供たちがこれを全く自然なことだと思ってることですね。私の9歳の息子の話ですが、2年前にChatGPTが出た時、7歳だった息子のラップトップにChatGPTを設定しました。
私は誇らしい気持ちで、まるで山から火を持ち帰ってくるような感じで、彼の人生に寄り添う素晴らしいテクノロジーの贈り物をしたと思ったんです。どんな質問にも答えてくれて、勉強も手伝ってくれる最高のテクノロジーをね。
ChatGPTを見せて、「どんな質問でも入力したら答えてくれるんだよ」と言ったら、息子は「それで?」って言うんです。私は「これは80年かけて開発してきた画期的なブレークスルーなんだよ」って説明したら、「コンピュータって他に何に使うの?」って。
明らかに質問に答えてくれるのは当たり前だと思ってたんですね。子供たちは信じられないくらい早くこういうものを受け入れて、すぐに普通のことになっていくと思います。
長くなりましたが、要するに私たちには、できる限りフレンドリーで、役立つ、適応力があって、サポーティブなテクノロジーをデザインするチャンスがあるんです。商業製品は間違いなくそういう方向で作られていくと思いますわ。
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