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4カ月で技術士筆記試験(衛生工学)を通過した話(第7回/全12話)
氷河期世代。なんの取り柄もないので手に職をつけようと重機オペレーターになった男が数年後、なぜか技術士二次試験の筆記試験を通過したノウハウを公開します。再現論文の販売、論文添削も受けつけています。
理系は技術士二次試験に不利だという事実
~心構え編~
1.技術士には文系が合格し理系が落第する
第5回、6回から引っ張ってきた結論を書きましょう。
おそらく理系のひとは技術士二次試験にむいていないんだと思います。理系の資格なのに理系がむいていないというのもおかしな話ですよね。ただこれは技術士試験の一面を言い表していると思います。
逆に文系は技術士試験への親和性が高いです。彼らは社内のネゴのために報告書やパワポをつくり、理不尽な客先とわがままな生産部門とを取り持ち、会議は都合のよいデータと口八丁で乗り切ります。これってコンピテンシーのなかの調整型リーダーシップそのものですよね。
こうした政治的配慮のなかで鍛えられた人文科学という数値に表せない力が筆記試験で活きてくるのです。
2.正解を決めるのは試験官である
これまで理系のあなたが受けた試験問題にはかならず「正解」がありました。そして正解は一問につきひとつだけです。あなたは幼いころからテストで正解を当て続け、正解以外はまちがいだという価値観で生きてきたと思います。あなただけではありません。受験を勝ち抜いてきたひとはみんな同じ認識のはずです。
しかし技術士二次試験は違います。質問はひとつですが正解は無限にあります。合格者が50人いたとして同じ答えを書いているひとは誰もいません。そういう試験です。正解は暗記するものではありません。試験の当日、問題用紙を開いてから、その場であなたが考えるのです。
3.合格するひとが理解している唯一のこと
そしてここからが重要です。
あなたが書いたものはまだ正解ではありません。正解かどうか決めるのは試験官です。この点がいままであなたが受けてきた試験と異なる点なのです。たとえば内容が正しくても試験官が読んで「なに言ってんだこいつ」と思えばそれは不正解なのです。ましてや目が滑る文章では即座にC判定となります。
ではどうすべきかというと、試験官が読める文章で説得力のある解答論文を書けばいいのです。試験官が採点をする姿を想像しましょう。知識自慢、ピントのボケたズレた解答、ありとあらゆる乱文・悪文が続くなか、スッと読める解答論文があるとそれは輝いて見えるはずです。例えるなら英語の論文集のなかに日本語の論文がまじっていたようなものでしょうか。
それほど知識は重要ではありません。ひとりで何部門も合格するひとはそこを理解しているのです。
4.理系は技術士二次試験に不利だ(と思います)
普段から、理系のひとは文章がヘタだなあと感じることが多いです。これには多くのひとが賛同してくれるでしょう。筆記試験ではその文章がヘタなひとたちが論述をさせられるのですから、落第して当然です。技術士は理系の資格なのに、そもそも試験自体に理系のひとは向いていないのです。
私はすでに解答論文の添削を受け付け、2件の添削依頼を受注しています。送られてきた論文を読むと、2人とも知識はあるのに日本語が書けていないという印象です。これから添削文を返却するので、赤字で訂正された内容を読んで、彼らがどういう反応をみせるのか楽しみです。書いている内容を読みこんで、指摘を自分のものにして成長してもらいたいものです。
このnote を読んでいるあなたもご自分が理系だと思われるのなら試験の過酷さを覚悟しましょう。設問から出題意図を読み取り、適切に論述するというのは想像するよりも難しいです。