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イビサ島
若い時の感性は魔訶不思議で未完成の独創性がある。音楽でいったら一見バラバラで最終的にはつじつまが合うフリージャズのように。昔々、残していたメモの中からこんな破片が見つかった。
イビサ島
私の言葉はいつも真っ白な空間の中から生れてくる。この間、イビサ島の写真集をみた。真っ青な空ととにかく白い壁に私は強く心惹かれた。いつか、あのぬけるような白い壁の前に立って「自分の影」を映してみたい。
当時たまたま図書館で開いたスペインにある小さな島に興味をもったようだ。遠い異国の地に足を踏み入れる機会は、まだないのだけれど。
また、若い頃、「自分の影」にも興味があったみたいだが、それとはまた別に「植物の影」に興味を持っていた。
夏の暑い日に、のどがカラカラになるくらい一日歩き回り、「植物の影」の写真だけをとり、その後コラージュ(切り貼り)した作品が、スケッチブックの中に収められ、家の古い本棚の中に今でも眠っている。
これらに、後から名目をつけるのは案外簡単なのかもしれない。ただ私の場合、絵であれ文章であれ、ストン、と、どこか抜け落ちている。どこか、クレヨンで描いた子供の絵のようで、かえって厄介なのも自覚している。
新しい風はどこにふいているのだろうか?
若い頃は、風穴は自分であけるものだと思っていた。しかし、私なりに色々な人たちと出会い、様々な経験を積んできた結果、風はやはり、森羅万象の中で感じられればいいと思うようにもなってきた。いわゆる、突破口を開くのが難しい年になったという事かな?と、ドキッとすることもある。
それでも、最近こんな事があった。
深夜のラジオ番組をつけっぱなしにしていた時の事だ。
「発見+驚き=感動」
という表現を使った人がいて、急いでメモを取った。長年悶々としていたことが、一瞬で解決してしまい、目から鱗が落ちるようだった。
浮かんでくる言葉を掬い取るという作業は難しい。しかし、そんな未完成のままの作品さえも愛おしく思う年に私もなったのだ。若い頃にみた思い出も、誰か別の人の夢の扉を叩くようで、そう悪くないように最近思う。
諦めかけてしまうこともあるけれど、過去と現在、そして未来を行ったり来たりしながら、新しい風を模索することをもう少し続けてみたい。