棗いつき新アルバム ENIGMAの感想(曲編)
初めに
皆さん。いわです。
突然ですが、10月27日に何があったかご存知ですか?
この記事を見ている人の大半が画面越しからウンウンと相槌を打っているのが想像出来ましたが、私からも言わせていただきます。
そうですね! 棗いつきさんの10枚目となるアルバムENIGMAが、M3秋で販売されました!!!
はい、ということで本記事は、""ENIGMA""に脳みそ焼き尽くされたオタクが、クソデカ感情を書きなぐるだけの記事となっております。
本記事を読むに当たって注意事項をいくつか説明させてもらいます。『おk 、了解した』という方は是非楽しんでいただけたら幸いです。
では、注意事項を説明します。
※本記事は、小説版ENIGMAのネタバレを若干含みます。まだだよって方の閲覧はお勧めいたしません。
・ 本記事は、小説版ENIGMAの独自の解釈を含んだ記事となっております。解釈違い等あると思いますか、暖かい目で見ていただけるようお願いします。
・ 今回は、ひたすらオタクがうるせぇだけの記事となっております。
では、本編です。
棗いつき10thアルバム""ENIGMA""
早速ですが、語っていきたいと思います。
特設ページのリンクの方を貼っておきますので、まだ特設ページ見てないぜ!ってオタクの方はそちらの閲覧をオススメします。(そんなオタクなんておらんと思うが)
今回のアルバムも新規の曲6つに加えてinstrumentalバージョンもついています。
offvocalの音源ってことなんですかね?(あんま知らないから話せないのですいません……)
収録曲は、以下の通りとなっております。
Tr.01 虚構性プロローグ
Tr.02 はじまりはDestiny
Tr.03 愛のテロメア
Tr.04 うずまき
Tr.05 Chaotic Birth
Tr.06 幸せの魔法
曲のタイトルから察せられる壮大な冒険譚の幕開けという感じの""虚構性プロローグ""や、もう悪い予感しかない""Chaotic Birth"" というタイトルがありながらも『幸せの魔法』から溢れる勝ち確のハッピーエンド感。
これは素晴らしい物語に間違いなしなので、小説の方も楽しみですね!!(素振り)
そして、事前に公開されていた愛のテロメアもここに収録されたということは、あの続きも読めるかも? という期待に溢れたアルバムとなっております!!
では、各曲の感想に移りたいと思います。
若干、小説のネタバレを含んでいます。
虚構性プロローグ
曲を語る前に申し訳ないのですが、私は音楽について造形が深い訳では無いので素人なりに良かったことをくっちゃべるだけです。
この曲は、名前にもある通り今回のENIGMAというアルバムの物語の始まり……プロローグということで耳に残るメロディーでつい口ずさんでしまうようなリズムでリピート不可避の曲だと思いました。
『記録記憶規則噂だけ』『境界線裂傷散見とうに』の小気味よいリズム感……非常に好きです!!
〈怪異を”物語に閉じ込める”――それが、私の仕事〉
という特設ページの紹介文にもあったような世界観の説明や意識したような歌詞になっており、このENIGMAというアルバムを深く理解することの出来る素晴らしい曲と感じました!!
はじまりはDestiny
XFDを見た時からこの曲は、好きと感じておりました。
特に良かったのは、サビ部分の恋と気づくまでの焦れったい様や気づいてしまった時の勢い任せの気持ちをいつきさんの感情の籠った力強くも可愛らしい歌声で歌う訳ですからそらぁええに決まってます笑
『愛してるとか好きとか わかんないや やっぱちょっと 教えて欲しいんだ』
から連想できる身近にいるのが当たり前になっている男女の友情や信頼の先にある思いに気づき始めた乙女ような甘酸っぱい歌詞が、現代社会で荒んだ心にすぅーと効きますね笑
この曲の解釈ですが、私は""芹生千桜というキャラの胸中を語ったイメージソング""という結論に落ち着きました。
最初は、小説の登場人物でもあるチャコの曲だと思ってたのですが、何回も聞くうちにチャコよりも千桜の方があってるなーと思いました。(虚構化の対象であるチャコが、「忘れないよ」っていうのも変だし)
え、理由ですか? だってこんなラブソングみたいな曲を千桜ちゃんが歌ってたら可愛いじゃないですか???
年頃の乙女が異性に悶々としている様や素直になれずに悩む様子を気が強い娘が歌ってる様を想像してください。そそられるものがありますよね?
ちなみに私は気が強い女性は好みです。
……はい、真面目に言いますとDestinyは運命という意味ですし、作中2人は何度もお互いを『運命共同体』と言っていたので曲名のDestinyの部分と合致する点です。
まさに2人は出会うべくして出会った運命共同体……Destinyって言う訳ですね!!
そんな、芹生千桜というキャラの一面を垣間見る曲だと感じました。
愛のテロメア
こちらは、事前に公開されていた曲ですね。
余談ですが、テロメアはざっくり言うと細胞分裂に関わるもので、細胞分裂する度に短くなっていずれは分裂できなくなるそうです。
私の頭では低レベルの説明しかできませんので、この辺は各自お調べ下さい……すいません。
この曲は、他のENIGMA収録曲と違って物語がこの曲だけで完結してるのが特徴だと思いました。
小説と漫画版もありますし、この作品の主な2人の登場人物である須和或深(Arumi)と羽代瞑(つむりん)の関係性……というより羽代瞑の心境を歌った曲ですね。
曲の前半部分は、瞑の或深に対しての未練や後悔、そして羨望の眼差しとも言える憧れが歌われているように感じました。
例を1つ挙げますと
『エンドロールの後に続いていく日常は 主役のいない映画 からっぽの日々を愛せなくて』
という歌詞は、高校時代に或深という主役が去ったあとに続いていく日常は、瞑にとってからっぽであり、日々の生活に満足出来ていない様子をまとめている歌詞と感じられました。
画面越しでArumiを見続け、一緒にバンドをしている輝いていたあの頃を振り返っても戻りはしない現実を、無理やり受け止めるような歌詞があり、最後には『いいんだこれがきっと 正しい結末だから』と自身に言い聞かせて前半は終わりました。
この時点でかなりストーリーがあってボリューム満点ですね……しゅごい。
曲の中盤部分に現在の自分がいる立場と現状を鮮明に描いているように感じられました。
例を1つ挙げますと
『お仕着せの理想で すれ違っていく温度さえ 「おかしいのはお前だ」 後ろ指をさす嗤い声』
という歌詞は、バーチャルが主流になったこの世界でも、生のパフォーマンスを届けたい! という理想で音楽を続けている瞑に対して、生かどうかよりも安定したクオリティの維持を第1に考え、ファンを満足させたいという神原るるの理念というすれ違いとも言えるお互いの信念を""温度""と表現しており、『おかしいのはお前だ』と自信満々な指摘から神原るるがどういうキャラなのかも一発でわかる素晴らしい歌詞と感じました。
曲の後半部分は、この""愛のテロメア""の最大の魅力とも言える成り代わりの過程と結果を描いていると感じました。
瞑自身が、或深に抱いている押し付けとも言える歪んだ理想の「本物」になるために自らArumi……もとい須和或深という存在を自らの手で壊し、「本物」へと変わっていく……そんな終わり方をしていくように感じました。
曲調もロックな雰囲気でテンション上がりますし、歌詞の意味を考えなくても最高に良い曲でした!
イントロの「ハハッ」という口から漏れだしたかのような声は、""事後""の後の瞑の声なのか最初に或深の歌声を聞いた瞑の声なのか……私は、こんな解釈をしましたが、皆さんはどう思いました?
ENIGMAの中では独立したストーリーにも関わらず、アルバム曲のとして無くてはならない素晴らしい曲でした!!
例えるのであれば、この曲はENIGMAという物語の挿入歌ですかね?
第3章の前日譚とも言えるエピソードですし、愛のテロメアと特典小説を読んでこそこの曲の理解が深まると言えます!
うずまき
……はい、曲名と世界観を見た時に真っ先に思い浮かんだのがこれでした。
この曲の最大の特徴は、歌詞カードですね。
恐らく、世の中の全歌詞カードの中でも上位に位置する読みづらさでしょう笑
和風っぽいテイストの曲で、京都という舞台に相応しい落ち着いていながらもどこか神秘的な曲と感じました。
最初に聞いて感じたのは、曲名の""うずまき""とはどういう意味か? です。
この曲の解釈は、『はじまりはDestiny』と同じくらい悩みました。
ENIGMAのアルバム内で異端と言えるほど妙に記憶に残る曲名で、どういう意味なのか、悩みに悩んで出した答えが主人公狛騎のこれまでと今やるべき事の決意の表れを歌った曲です。
小説だと丁度第4章〜5章という物語も佳境に入ってラストスパートに差しかかる辺りですね。
ここでは詳しく書きませんが、 狛騎の生涯はかなり壮絶なもので母親の目的のために生かされている人生でして、前半は当時の状況を描いたような歌詞と感じました。
後半は、今やるべき事はこれで良いのか?この状況を変える切り札たる自分なのか? うずまきとは、そんな狛騎のうずまく心境を描いている曲と感じました。
Chaotic Birth
この記事を読んで『おっしゃ、エニグマ買って聞いてみんべ』となった方へ。
この曲は、絶対に小説を見てから聞いて欲しいです。
単体でももちろんかっこよくていい曲なのですが、何故なら他の曲にない小説を見たあとにしかできない表現があるからです。
出だしから溢れ出る禍々しさ、カオスな雰囲気のある電子音のような音が、もう最高に最凶でカッコ良いです!!
曲名は、ざっくり訳すと『混沌の誕生』という意味になります。
この曲ですが、小説のラスボスでもある獅子門 才禍(ししかど さいか)のイメージソングという解釈を私はしました。
作中に彼は「生きとし生けるもの、誰にも縛られることなく生を謳歌しなくては」という発言しており、『嗚呼! 自由こそ狂気』という歌詞は、存在そのものがカオスでありイレギュラーである彼の本心とも言える歌詞であると感じました。
獅子門才禍という人物の危険な思想の中に入り乱れるカオスを歌ったような曲です。
幸せの魔法
この曲は涙が枯れた私の目に、再び涙を流させてくれた曲です。本当にありがとうございました。
多分、聴く前と聞いた後、小説を見る前と見たあとで解釈と意味が大きく変わる曲だと思います。
このENIGMAというアルバムの最後というもあり、エンディングに相応しいバラードで、壮大な物語の終わりという雰囲気が実に最高です。
小説込みですと本アルバムで、1番好きです。
曲名である幸せの魔法とはうわはらに、喪失感のある歌詞や決して明るいとは言えない淡々とした曲調がこの曲最大の魅力です。
歌詞に至る所から連想できる大事な人を失った消失感、それすら受け止めて進んでいく精神の成長、魔法よりも偉大で強い物を貰った感謝というのが伝わってきます。
特に『いま 今!』と力強く上がっていく声に鳥肌が立ちました!!
幸せの形とは何なのか? 歌詞にある『幸せの魔法なんてね 初めからなかったけれど』の意味とは?
そんな悲しみの中にもどこか温かみのある感謝が伝わってくるENIGMAの〆を飾る素晴らしい曲でした!!
この曲の解釈ですが、とある理由で居なくなった主人公狛騎に千桜が捧げる感謝の曲だと思います。
先程、出会うべくして出会った運命共同体と私は表現しましたが、小説を見るとあながち間違いじゃないと思うんですよ。
そんな当たり前だった物が無くなった様を歌ったのが『歩いている 今 一人きりで』や『立ち止まる 今 振り返っては あなたの影を探した』など1人でいることを強調する歌詞が多くありながらも『泣かないよ 泣かないよ』『失くさないよ 失くさないよ』と言ったように千桜の決心が描かれた歌詞があり、現実を受け止めて進む勇気を感じられます。
そして、『記憶(あなた)と生きていく』という狛騎を絶対に忘れないためにこれからも生きるという想いを込めた最後で、この2人の物語はハッピーエンドで迎えたというのが分かります。
曲単体でも小説を聞いてからでも別々の良さがある。そんな曲でした。
曲だけで長くなりましたので、小説の感想は後日あげたいと思います。
ではまた次の記事でお会いしましょう。
いわでした。