時折最高:020 キャプテン・ウルトラ主題歌+宇宙マーチ ~ 冨田勲 (1967)
キャプテンウルトラは、1967年にTBS・東映が制作したカラー特撮番組です。「ウルトラQ」「ウルトラマン」の人気と怪獣ブームに合わせ作られました。まあ番組自体は現在の目で見れば残念ながらかなりちゃちな特撮ですし、特撮ファンの方にしかお勧めしませんが、しかし冨田勲の音楽があまりにも素晴らしいのですよ、これが。
まず主題歌「キャプテンウルトラ」。冒頭のトランペットによるスタッカートによる緊迫感。続く電子音とブラスセクション。ティンパニ。テナーボイスの合唱。スイング感溢れるリズムを刻むエレキギターとドラムス。歌詞のリフレインに重なるマリンバ。少年コーラス。間奏のストリングス。ほんの一分半の曲の、なんと雄大で密度の高いことか。
そして宇宙マーチ。こちらも歌詞と相まって、実にポジティブで、勇壮な、見事なマーチです。
ちなみに、翌1968年に「三百六十五歩のマーチ」が発表されています。
1970年には大阪万博(日本万国博覧会)が開催されました。
高度経済成長時代であり、日本人が自信に満ちていた時期でもあると言えるでしょう。
「キャプテンウルトラ」という番組自体は、歴史的価値しかないと私は思っていますが(笑)、この主題曲の素晴らしさは日本のアニソン・特撮主題歌中でもトップクラスにあることは間違いないでしょう。楽曲の素晴らしさ、歌詞の揺るぎなさとポジティブなパワー、どこをとっても文句なしです。
冨田勲について
60年代の冨田勲と言えば、手塚アニメやTV番組主題曲の作曲家として不動の地位を築いています。ここは番組主題歌ファンの方なら頷いていただけることでしょう。
そしてムーグシンセサイザーとの出会いから、70年代はシンセサイザー奏者としての活躍が始まります。
そして「世界のTomita」になったのです。
配信音源にはほとんど冨田作品はないのですが、かろうじて最初のヒットアルバムの海外版がありました。日本盤タイトルは「月の光」。ジャケット写真の通り、ドビュッシーの音楽をシンセサイザーで演奏したものでした。
まだほとんどの日本人が、シンセサイザーとはなんのことなのか、知らなかった時代です。
他、番組の内容がどうであっても、音楽の出来映えが素晴らしいものをいくつか紹介して本日は終わりとなります。
この「ジャングル大帝」のオープニングを聴く度に、「子供向けのものというのは、大人の食い扶持を削ってでも最良のものを提供すべし」という想いに駆られます。だから打ち込みか、せいぜいロックバンド規模のサウンドばかりの近年のアニメ主題歌にはあまり入れ込めないのですよね・・・。
この特撮番組主題歌もオープニングは実に本格的なオーケストラサウンド。なんて豪華な。
この「空中都市008」は原作が小松左京、音楽が冨田勲。歌っているのは中山千夏です。
円谷プロが「怪奇大作戦」の後に、大人向け特撮に取り組んだ一作。
もともと「ウルトラQ」は企画初期には「アンバランス」というタイトルを想定していたそうです。円谷プロの原案が、子供向け+怪獣で仕上げられたのが「ウルトラQ」、大人向けホラー・サスペンスものとなったのが「恐怖劇場アンバランス」だと言えるでしょう。
一度冨田勲が担当した番組主題歌を追いかけてみて下さい。
びっくりするほどいい曲ばかりですよ。
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