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ハマかぶれ日記260〜雨に唄えば

 終日、雨にたたられた昨日は家で過ごす時間が多く、おかげでワールドシリーズ前哨戦の地区優勝決定戦が真っ盛りの大リーグ中継や映画をゆっくりCSテレビで楽しむことができた。
 大リーグの方は注目の大谷選手の所属するドジャースが惜しくも1点差で敗れ、怪力ジャッジ選手のいるヤンキースもいいところなく敗れるなどして、期待通りの結果とはいかなかった。映画の方は、米国の「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」(2015年)、英国の「地中海殺人事件」(1982年)と、観た2本とも味のあるいい作品で満足度も高かった。先日、転倒して壊れたメガネの代わりに新調したおニューを一昨日からかけているのも、いい。場面によって、かけたり外したり角度を変えたり、あたふたしなくても良くなったからだ。
 それはともあれ、2本のうち、とりわけ「トランボ」には深い感銘を受けた。映画史に残るオードリー・ヘップバーン主演の名画「ローマの休日」(1953年)などを手がけた有名な脚本家、ダルトン・トランボ(1905ー1976年)の伝記映画だ。
 第二次大戦後、自由主義か共産主義かの世界的な主導権争いから始まった冷戦時代、米国内で吹き荒れた共産主義者の排斥運動「赤狩り」でターゲットにされ、投獄されたトランボの苦難に満ちた人生と、それを支え続けた家族の絆の強さを史実に基づいてドラマチックに描く。「ローマの休日」などアカデミー賞に輝いた脚本の多くを偽名や他人の名前で発表せざるを得なかったことなど、浅学にしてこれまで知らなかったエピソードが満載で、それだけでも大いに好奇心を掻き立てられ、勉強になった。
 ダルトン役のブライアン・クランストン、妻のクレオ役のダイアン・レインの落ち着いた感情表現も見事。ジョン・ウエインやカーク・ダグラスら往年の大俳優を演じる脇役陣の好サポートと相まって、1940年代後半から60年代あたりまでのハリウッド社会の事件、ありようがつぶさに分かる仕掛けだ。
 クランストンはこの映画でアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたが、惜しくも受賞を逃したとか。映画中、政府側に立ってダルトンらを徹底弾圧したジョン・ウエインや元米大統領のロナルド・レーガンといった大物を散々、悪役として取り上げているから、今も根強いハリウッド社会の保守的な有力層に忖度してのことかも知れないと勘ぐった。
 雨は雨で、そんな風に内面の日常を豊かにする機会を与えてくれるから悪くない。かつて軽妙な歌や踊りで一世を風靡したジーン・ケリーなら、さしづめ「雨に唄えば」といった気分か。🎵What a glorious feelin' I'm happy again(何て素敵な気分、幸せがこみあげる)🎵
 今日は天気は持ち直し、これから羽田に向かう。そして大分へ飛ぶ。かつてお世話になった人の墓参りのためだ。周回遅れのお彼岸ということで許してもらう。大分のあとは福岡に寄り、帰京は13日。この間、わが横浜ベイスターズは12日から甲子園球場で阪神タイガースとCSファーストステージを戦う。東京よりは少し近いところで熱い声援を届けるつもりだ。テレビ越しに、海越しに。

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