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いれいすオリ曲考察「Your Queen」第二弾
いれいすオリ曲考察第九弾は第四弾で取り上げたYour Queenの続きです。
あまりにもこの曲が好きすぎて元ネタであろうと思えるものを調べに調べたので是非とも読んでいってください。
はじめに
まずはYour Queenの考察、第一弾のおさらいからです。
こちらの考察では主に、この楽曲のモチーフが楊貴妃であると考える根拠について書きました。そしてYour Queenのモチーフが楊貴妃であることはIRREGULAR BULLETについてのインタビュー記事の方でいふくんから明言されているため確定です。
そのため、今回はYour Queenについてさらに深掘りしていこうと思います。どの歌詞にどのようなエピソードが当てはまるのか、そのあたりを詳しく書いていきます。
長恨歌
どのようにして調べたのかですが、私はまず長恨歌という詩から手をつけようと考えました。現代に伝わる楊貴妃の様々な話の元となる歌だからです。ここから考えれば長恨歌から派生した様々な楊貴妃の物語について知ることができると考えました。
実際、長恨歌からスタートしたおかげで参考となったであろう古い書籍も見つけることも出来ました。長恨歌自体は楊貴妃の心情についてあまり書かれていないのでそれだけ見ると歌詞のように一途に皇帝を思っていたのかはわかりません。最後の方の詩で両想いだったであろうことはわかりますが、皇帝のためなら喜んで死ぬほど愛していたかまではわかりません。ですが長恨歌から書かれた様々な楊貴妃の話を知っていくと、この歌詞にぴったりな物語も出てきました。それが番匠谷栄一という人が書いた『楊貴妃』です。
詳しく解説、考察していきます。
歌詞
Do you really think I'm a bitch?
That can't be true, right?
I'm a bit mean to you but I think you're just fascinated by my beauty
全部アタシのせい?
That's just too much for you
振り回してばっか
Please forgive me for being selfish
最初の歌詞です。私が特に注目したのは「全部アタシのせい?」という歌詞です。楊貴妃はその美しさで皇帝を魅了し、政治をおろそかにさせました。そしてその結果、皇帝に不満を持った人々が安史の乱を起こしました。私はこのことを歌詞では言っているのだと思っていました。
しかし、先ほど紹介した『楊貴妃』が元となっているとそこにもう一つ意味が加わります。この安史の乱には、中心となった安禄山という人物がいます。安史の乱は安禄山の乱とも呼ばれます。『楊貴妃』では安禄山は皇帝と同じように楊貴妃に魅了されます。そして楊貴妃を自らのものにしようとします。この物語の楊貴妃は皇帝を一途に愛しているので、それを拒否しますが。そうなるとこの乱には皇帝への不満だけでなく、安禄山が楊貴妃を自分のものにするためのものという意味も含まれてきます。
Your Queenは楊貴妃視点の曲。そしてこれらの要素があるのならばこの「全部アタシのせい?」という歌詞には国を傾けたという事情以外にもこの安禄山に関するエピソードの意味も含まっているように思いました。
ですが美しさに魅了されて政治をおろそかにした皇帝、勝手に惚れて拒否されて無理やり楊貴妃を自分のものにしようとして乱を起こした安禄山…どちらも楊貴妃が直接悪いことしてるわけじゃないんですよね。だから断言しているわけではなく疑問形なのかもしれません。
貴方が踊れというならいいわ
その身も心も溺れさせてあげる
貴方が命を差し出せというなら
喜んで死にましょう
貴方の為なら
長恨歌にも楊貴妃の舞の描写があります。皇帝の前で踊っているような様子なのでこの歌詞もぴったりです。
ですが大事なのはこの後だと思っています。
「貴方が命を差し出せというなら 喜んで死にましょう」
こちらのフレーズ、私が番匠谷栄一の『楊貴妃』の要素が使われていると考えた一番の理由です。この『楊貴妃』では楊貴妃が死ぬ直前、「喜んで死にます」というセリフがあります。状況としては追い詰められ、もう負けるという時。自分の死は皇帝のために必要だと楊貴妃は言います。自分がいたら安禄山はやる気に溢れて戦いをし続ける。敵に囲まれたら楊貴妃が力で勝つことなんてできない。自分が死ねば状況はまだましになる。楊貴妃の死を知れば国民も忠義の心を起こして戦ってくれる。全てが皇帝のためになる。だから喜んで死ぬ。
このワードがあまりにYour Queenと重なりすぎているため、参考になっているんじゃないかなと考えました。
貴方好みじゃなきゃ嫌なのねえお願い
こんなんじゃ足りない
Ah, ah ねえ早く頂戴
二番サビ前のこの歌詞と、
振りむいてほしかっただけ
私だけ見てほしかっただけ
これが貴方の為だというなら
貴方の為なら
ラスサビ前のこの歌詞は似た状況を指していると考えます。
『楊貴妃』にて安史の乱が始まる前、梅妃という妃が皇帝のもとに訪れ、楊貴妃に勝って皇帝の愛を受けることはできないから自分は故郷に帰ると別れを告げにきました。その時、丁度楊貴妃も皇帝を訪ねてきました。皇帝の部下が足止めをしてくれたので楊貴妃と梅妃が鉢合わせることはありませんでしたが、楊貴妃に皇帝のもとに他の女が来たことがバレてしまいます。皇帝は、先ほどのは別れの挨拶だし楊貴妃が知らなくてもいいだろうと隠そうとしたけれど。そして楊貴妃は皇帝の愛が梅妃に行っていると思い悲しみます。
要するにすれ違いが起きたということです。それも楊貴妃が一方的に悲しんでいるような状況です。
その後皇帝から詳しいことを説明されて仲直りします。
「貴方好みじゃなきゃ嫌なの」や「私だけ見てほしかっただけ」という歌詞は皇帝に沢山妃がいるのが普通なこの時代に少し他の妃と会っただけで悲しむ楊貴妃にぴったり合っているように思いました。
貴方が唄えというならいいわ
身も耳も溺れさせてあげる
貴方が私を奪うというなら
喜んでいきましょう
貴方の為なら
こちらはYour Queen考察第一弾で紹介したものとあまり変わりません。
ですが、楊貴妃はどうしてここまで皇帝のことを愛しているのでしょう。この状況で「喜んでいきましょう」だなんて中々言えることだとは思えません。ですが今までの歌詞考察からも、この歌詞に楊貴妃の嘘の気持ちが入っているとは思えません。
ここに関しては私の解釈が合っているか本当に不安な部分なのであまり真に受けずに見て欲しい部分です。どうして楊貴妃がここまで皇帝を愛しているか、ですが、楊貴妃には寧王という人と浮気をしているという噂がありました。ですがみんながそれを信じる中、皇帝だけは楊貴妃を信じてくれて楊貴妃はそれにとても感謝したようです。
『楊貴妃』が難しすぎて時系列がどうとかも違うかもしれませんが、読んで考えてなんとか納得した解釈です。ですがこのような事情があるのであれば楊貴妃がここまで皇帝を愛している理由に納得がいきます。
貴方が踊れというならいいわ
その身も心も溺れさせてあげる
貴方が命を差し出せというなら
喜んで死にましょう
貴方の為なら
そして最後です。一番サビと変わりませんが。
私はこの曲、楊貴妃が死ぬ直前の気持ちを歌ったものだと思っています。今までのことを走馬灯のように思い出して、最後の最後、「貴方の為なら」。楊貴妃の覚悟を歌ったものにも聴こえます。
最後に
死ぬほど難しかったです!!!!!!
詳しく調べようとか軽く考えた自分を祟りました。有り得ないくらい難しかったです。特に『楊貴妃』何言ってるんだ?ってなってました。そのためいつも以上に勘違いが起きている可能性が高いです!間違ってるところたくさんあります!頑張りましたが…まあこんな見方もあるんだ程度に見てください。
まだある疑問はいくつかあります。例えばタイトル。楊貴妃は中国の人物です。ですがタイトルはYour Queenで英語です。歌詞にも英語の部分があります。英語の部分と日本語の部分の違いはなんなのか…歌詞に関しては目星がついていますがまた調べるのが大変そうです。
いつか完全解剖したいところです。