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ONE PIECEとイカロスの翼 ~勇気一つを友にして~
今週のワンピース読みましたか?
このところ激動の展開で目が離せませんね。
ときに、1114話のタイトルが「イカロスの翼」でした。
これについて何人かのワンピース系Youtuberの方が「??」となっていました。
どうやらギリシャ神話のイカロスを知らなかったようです。
案の定コメント欄でも「イカロスってそんなに知られていない?」という趣旨のコメントがいくつか付いていました。
これを擁護…でもないんでしょうけど「神話って興味ない人もいるからね」とフォローされているのも印象的です。
私は初めて会った人で職業を教えたくないときには「旅の宗教家」を名乗るくらいですから神話も多少は知っています。
学校で専門的に学んだわけではありませんが、宗教にそれほど興味のない一般的な人からすれば割と知っていると思います。
意外と神話ってみんなの心に根差してないんですね。面白いですよ、神話。
さて、そんな私がイカロスの翼のエピソードと出会ったのは小学生のころ。
4年生くらいだったかと思います。たぶん高学年ではなかったはず。
音楽の授業で「勇気一つを友にして」という歌を歌うことになりました。
内容は神話に沿ったもので、イカロスは蝋で鳥の羽を固めて空を飛ぶというものです。
歌詞だけ見ると書いていないのですが、父親に「太陽に近付きすぎてはいけないよ」と忠告をされます。
翼を蝋で固めているので熱で溶けてしまうと墜落してしまうから気を付けるようにという注意ですね。
当時の私はこのときがイカロス初見だったので、父親の忠告については教科書に説明が書いてあったか、先生から説明を受けたのだと思います。
それを聞いた私は思わず零しました。
「え、じゃあイカロスってただのバカじゃん」
だってそうですよね。
太陽に近付くなと言われているのに近付いて、命を失っているわけですから。
まあ言い方ってもんがあるとは思いますが、小学生の言うことですから。
私の呟きを聞いた音楽の先生は私に対して少し強めに注意しました。
何がどう悪いかを言ってはいなかったと記憶しています。
そんなこと言わないの!ってくらいでしょうか。
この曲の趣旨は「イカロスの勇気を受け継いで強くなるぞ」ってことなので、まあわからんでもないです。
でも当時はすごく不満でした。
だって忠告を聞かないイカロスをバカと言って何が悪いんだ、と。
それから時は下り20年。
ワンピースのおかげで記憶がよみがえって今なら思います。
「え、じゃあイカロスってただのバカじゃん」
そうなんです。
そもそもギリシア神話でのイカロスの逸話はテクノロジー批判のような側面が強いです。
プロメテウスは人間に火を与え技術を進歩させたことで磔刑に処され、生きたまま鳥に内臓を食べられていますし、ギリシア神話は技術の発展を嫌っていたようです。
あるいは傲慢や無謀を諫める意味合いも強く出ています。
こういった訓話のようなものはどの神話にもありますよね。
無根拠な自身で身を亡ぼすというあれですね。
どちらにしても、イカロスを罰することで教訓を伝えようとしているわけです。
無意識とは言え、神話の言わんとするところを物語から汲み取った私の方がどちらかといえば素直な気がするんですよね。
それなのに注意を受けるなんて、どうかと思いますよ私は。
神話の解釈が正しいとか、歌詞のほうが間違っているとかってことを言いたいわけじゃなくて、画一的な受け取り方しかできない教え方があまりよろしくないと思います。
授業中に「バカ」という言葉を使うことがよろしくない、という受け取り方もできますが、それならそれを言葉で指摘すればわかりますし。
こういう細かいことって子どものときに刺さると深いところまで行っちゃうので気を付けたいところです。
ワンピースを読んで思わぬ記憶を掘り起こし、20年越しにパッションが再燃しましたが、こういうのも人生っぽいので嫌いじゃないです。
少なくとも記事のネタにはなりましたし。
来週は休載ですが、ワンピースの今後の展開にも要注目です。
神話も楽しいので興味を持つ人が増えると嬉しいです。
宗教は教養だよ。
ギリシャ神話を知っていると、ワンピースのイカロスの親友がダイダロスなのも面白く感じるよ、死んでるの逆やんけ!ってね。