恋愛小説 ⑮
LINEを交換した後、僕と麗奈はソファに腰を掛けながら、まったりと会話を楽しんだ。
その会話の中で、お互いの大学進学の話になり、僕が福岡の大学、麗奈が鹿児島の大学に行くことを知った。
「えー。入れ違いじゃん。」
この事実にちょっとだけ口を尖らせ、嘆く麗奈。
「せっかく一緒の県に住めると思ったのに。」
その言葉にはさすがの僕もちょっとだけ責任を感じた。
「でさ、」
麗奈が僕の瞳を見つめながら少し上目遣い気味で声を掛けてきた。
「ど、どした。」
「あのさ、お返事書いてくれる?」
人を少し馬鹿にするような、甘く媚びるような口調で話す麗奈。
「か、書くよ。」
「ほんとに!」
「だから書くよ。だけど、ほんのちょっとだけ時間をくれない?」
「なんでよ!」
「だから、返事がまだまとまってないんだ。ちゃんと真剣に考えたいからさ。」
「しょうがないな。」
渋々許可を得た後、麗奈から住所をもらい、そこに手紙を書いて送ることとなった。
「今度は逃げるなよ。今度逃げちゃったら、岡崎のお母さんに、あの引き出しの中身の存在、全てバラしちゃおうかな。」
麗奈に脅しとも取れる釘を刺され、僕は何の抵抗もできなかった。
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