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JR久留里線一部区間廃止に思うこと

廃止区間の概要

JR東日本は2024年11月27日に千葉県を走る久留里線の一部区間を廃止すると表明しました。
ほんの数日前に私はnoteに[千葉・房総半島の真ん中ら辺はどんなとこ?]という記事をアップしたところでしたので、ついにこの時がきてしまったか、と思いました。

JR久留里線
拡大図

JR久留里線は木更津駅〜上総亀山駅まで32.2km14駅あり、
廃止区間は久留里駅〜上総亀山駅まで9.6km3駅となります。

運行本数は木更津駅〜久留里駅は17往復、
廃止区間の久留里駅〜上総亀山駅は7.5往復です。

廃止区間の営業係数(100円の収入を得るのにかかる費用)は13,580、
赤字額は2億3500万円でした。(2023年)

以前から地域の過疎化、乗客減少により列車本数の減便が行われ、今後の地域交通のあり方について議論が重ねられました。
そうした中での結論なので一部区間廃止は残念ですがやむを得ないと言えるでしょう。

廃止となる久留里〜上総亀山は、
私も実際に乗車しましたが乗車人数は数えるほどであり、廃止も近いのではと感じていました。

JR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議の検討結果報告書

JR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議の検討結果報告書が令和6年10月28日に千葉県総合企画部交通計画課から発表されています。
5回にわたり検討会議が行われ、住民生活に不可欠な交通をどのようにするのか、JR東日本と千葉県および君津市と住民が意見を述べ合いました。

下記の検討資料を見ますと詳細がご覧いただけます。
55ページに渡る報告書で、人口動態、地理的特性、観光、住民の移動方法や住民意見など様々な角度から検討がなされていました。

廃止に至った理由

この検討結果報告書の資料をかいつまんでご紹介します。
上総地区とは廃止になる久留里〜上総亀山間の地区になります。

1.沿線人口の急激な減少

特に15歳以下の年少人口の減少が顕著です。
高齢化率は君津市全体では32.5%ですが、沿線は51.4%で今後も高齢化率が高くなると見込まれます。

2.久留里線利用者人数の減少

廃止区間の久留里〜上総亀山間は2023年は64人/日で、
JR発足の1987年から9割も減少しました。

沿線人口減少率よりも速いスピードで乗車人員が減少しています。

3.自家用車利用の増加

下記の資料は君津市全体の交通手段分担率です。
廃止沿線地区はこの数字以上に自家用車の分担率が上昇していると考えられ、70〜80%を占めています。

自家用車の分担率が上昇した背景は、以下の理由が考えられます。
・自家用車1人1台の時代になった
・列車本数が少ないので好きな時に移動できる自家用車を利用する
・バイパス等の整備が進み車での移動時間が短縮された

廃止後の交通手段の検討

鉄道以外の現状の交通手段

JR東日本はバス転換を視野に地元自治体に協議を打診しました。
バスに限らず新たな交通体系へのモードチェンジが必要になってくるでしょう。
今後ますます高齢化が進み、自動車の運転ができない人が増えてゆきます。
家族等の送迎などは時間的にも家族の負担となります。
ですので交通整備は行わなければなりません。

現在当地区には高速バスが運行されています。
東京〜鴨川、千葉〜鴨川の高速バスが運行されていますが、
当地区内相互の乗降はできません。

路線バスは現在は運行されていません。
君津市運営のデマンドタクシーが運行されており1日30人くらいの利用があります。
一般のタクシーの営業台数は2台です。

以上を踏まえた今後の交通手段について私の考え

朝夕の通学需要、買い物や通院の移動に対応する必要があります。
人口減少と自家用車の普及により一般路線バスの運行は厳しい状況でしょう。

高速バスは現在、久留里駅、平山駅、上総松丘駅付近にバス停があり、上総亀山駅は笹バス停まで約2km離れています。
現在は鴨川方面行きは下車のみ、東京・千葉方面行きは乗車のみとなっています。
久留里〜笹のみ乗降可能にシステム変更を行えば地区の交通は確保できますが、運行バス会社との調整が必要になります。
高速バスを地域交通に活用するには細かい需要を拾うためにバス停の増設が望まれます。

デマンドタクシーですが住民のための低料金での運行を現在実施しています。
引き続き継続することが望まれます。

駅から徒歩20分以上の居住者の移動需要が一定数あるため、高速バスの活用よりもデマンドタクシーの活用が必要と考えます
検討結果報告書の資料によると移動需要の詳細が記載されており、6時から22時頃まで移動需要があり、駅から徒歩20分以上の居住者は移動需要全体の50%以上にのぼります。

以上のことから、デマンドタクシーは現在3台ですが1台増備して移動需要に対応するのが望ましいでしょう。

鉄道よりもデマンドタクシーの方が家の近くまで来てくれて利便性は格段に上がります。
高齢化が今後ますます進み、通院や買い物を考えると一番適した公共交通といえます。
このように時代に合わせた交通モードのチェンジが求められ、他の地域においても同様のケースがあると思います。

これには自治体の負担が伴います。
しかし、人が生き生きと過ごすには移動が必要になります。
鉄道廃止は地域にとって移動手段を失うという大問題です。
デマンドタクシーは令和5年データでは収支は年間約−3600万円です。
収支はマイナスですが地域公共交通は確保されるべきであり、上総地域の公共交通はデマンドタクシーが最適であると思います。

ポテンシャルのある地域

上総地区には豊富な水、地酒、亀山湖のレジャー、ゴルフ場など観光のポテンシャルもあります。
のどかな田園風景、地元で採れた美味しい野菜、本当にいいところなのでまたのんびりと過ごしに行きたいなと思っております。

このポテンシャルをどう活かすか、住民の定着による人口減少を少しでも食い止めるなどの政策も必要になります。
人口減少が最大の問題となりますがこの解決策は極めて難しいといえます。

この地区の住民でもなく知人もいないのですが、全国では高齢化と過疎化が進んでいる状況の地域が大変多くなってきています。

久留里線の廃止区間にあたる上総地区の居住者の方々が自由に移動できる環境が整うことを切に願います。

ご覧いただきありがとうございました。

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