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現場で通用するスキルはいつ身につけるのか?

先日、眺めていたSNSでこんな文章を見ました。

どこかで仕事をこなすスキルを身につけねばなりません。
欧米のジョブ型雇用ではそれが「会社に入る前」であり、日本のメンバーシップ型の雇用では「会社に入った後」です。

とても衝撃を受けました。

投稿のように、日本社会の仕組みとして「会社に入った後」からスキルを身につけるのであれば、鍼灸マッサージの専門学校は国家試験を取得するだけの予備校に成り下がってしまいます。

私自身、大学生は勉強しないものというのは身をもって知っていましたが、一方で専門学校は職業訓練校だとずっと思っていました。
すぐに働けるスキルを身につけるところ、それが専門学校のはず…そしてそこに違和感を覚えていました。

どうして、国家試験に受かることだけを優先するんだろう?
>そりゃそうだよ、合格率100%でなければ学生が集まらないじゃん

どうして早いうちから即戦力となるような技術を教えないのだろう?
>まずは基本を覚えるところから、臨床なんてまだ早い

そんな声を聞いてきました。
とくに徒手療法は、型から入って型を身につける。
型を繰り返し練習することで、自ずから気づくものがあるという古風な慣習があります。

だから、現場に出てからが施術師としてのスタートなんだよ。
という声を数多く聞いてきました。…本当にそうでしょうか?

その一方、企業で施術師の指導をしてきて、現場(とくに売上という数字を任されている責任者)からは、新人はできるだけ早く一人前にして現場に出してほしい。
新人育成に3カ月なんてとんでもない。1カ月?いやいやできれば1週間で仕上げてよ!みたいなプレッシャーを受けてきました。

基本しか教えない専門学校
粗製乱造で現場に出したい企業

徒手療法のレベルが上がるはずもありません。

私見ですが、臨床現場を知らない教育の場と教育に期待していない現場の責任者がマッチしているから、専門学校の学生はスキルを身につけることにノンビリさせられている。そんなふうに思ってしまいます。

鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師は独立開業権がある

この言葉はどこまで現実的でしょうか?
独立開業できるだけのスキルはもちろん、施術すること以外に開業するための知識や経験を専門学校に在籍している間にどれだけ知ることができるでしょうか。

在学時の年齢も関係しますが、多くの1年目の施術師はまず治療院に入るところから進路を考え始めます。

徒手療法を教えることに関わって20年以上が経ちます。
さて、残り10年でやるべきことが見えてきました。私一人ではきっと成しえないことです。
志を同じくする仲間と対話することから始めたいと思います。

physical, mental, spiritual and social well-beingに生きるお手伝いをしています。2020.3に独立開業しました。家族を大切にし、一人ひとりが生き生きと人生を楽しめる社会が訪れるといいなと思いながら綴っています。