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横尾忠則展へ行ったよ【感想】

どうも! きーです。

2021年10月中旬、85歳のいまも大人気の日本人美術家・横尾忠則さんの絵を見に行ってきました。

美術展の正式名は『GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?』です。場所は、清澄白河にある東京都現代美術館です。

多くの人が、入口のポスターの前で自撮りしていました。
※ブログで使用した写真は、すべて撮影OKゾーンの絵です。

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エッセイから入った

10年前くらいから横尾さんのエッセイを偶然手に取ることが多く、何冊か読んだ。さらっとした自然体な文章が素敵で、カッコつけてないところがカッコいい。僭越ながら考え方が自分に近く、読んでいると呼吸が整いました。そんなわけで勝手にとっても好感と興味を持っていました。

本を読んでも、横尾さんが超絶有名人であることも知りませんでした。本屋さんで目に入って立ち読みしたら、どのページも共感できる内容だったので購入した。

↓ 写真の真ん中あたりに中年期の横尾さん。長髪だったんだ!どうしたんだろう。

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↑ 横尾さんが飼っていたネコ。名前はタマ。サザエさんと同じだ~。ペットの名前は奇をてらっていない。ネーミングセンスから日常が垣間見れる。

アイドル的存在だったらしい

後日、親に本を紹介すると、「この人私たち世代が若いころ、めっちゃくちゃ人気あって、アイドルみたいにキャーキャー言われてたんだよ。テレビにも出てたし。まだ現役なんだ~、すごいねー」と言われました。

それで初めて「あっこの人そんなに人気だったんだ」と知りました。それまではオノヨーコさんやデヴィッド・ボウイさんをはじめとする時代の寵児と仲が良かった一人の美術家と思っていた。

「あの時代では背が高かったし、当時はかっこいいと言われる顔だったんだよ」と追加情報ももらった。

いまのツイッターのアイコン、今の清野菜名みたいな顔してる。黒目大き目だけどあっさりした印象の色白。

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↑ 偉人の絵+マスク。原色系を入れるだけで現代アート感が漂って、一気にポップな印象だ。アンディ・ウォーホル作「毛沢東」を思い出す。
写真下部の真ん中:スタッフの写真? おそろいのスタッフジャケット?がオシャレすぎる~。

ぼんやり生きてても新情報が入る

それから数年後、ぼんやりと過ごしている私でさえも横尾さんの最新情報はテレビから得られました。それだけメジャーな方なんですね。

NHKの『日曜美術館』や『達×達』にて偶然お目にかかる。

NHKの『日曜美術館』ではダリ展を横尾さんが見て回るという構成。順番とおりではなくて、見たいところに一気に進む。いいんだ、見る側が好きな順番で見て。なんかほっとする。

制作側が絵について解説を求めると、ちょっとイラっとした様子だったのがよかった。「見る側のアイデンティティを守る上でも画家の意図は考えなくてもいい」との考えだった。なんかうれしい。

美大で有名画家の知識を得た人は、画家の生まれ育ちから振り返り、作品自体ではなく書いている人の心境を探ろうとする。でも、それって素人の私から見るとかなりうっとおしい。作品自体を見ればいいだろう。同じ絵でも見た側のコンディションで感想も変わるから、その時々に好きなように感じさせればいいだろと前から思ってた。

そのせいか、今回の横尾展は絵のタイトルがとてもわかりづらく表示されていた。壁が赤なら赤いプレートに、小さな字で目立たないように書かれていた。見る側が自由に受け取れるように配慮されているのだろうか?いい意味でそれさえどうでもいいなと思えてきた。それくらい自由に見ることができた。

そして樹木希林さんブーム中にBSで再放送された昔のドラマ『寺内貫太郎』に俳優として出演されている姿を拝見しました(これかあ、親が言ってたシーンは)。毎回カウンターの端を陣取り、無言で酒を飲んでる居酒屋の常連客の役(←こんな人いやだ。家で飲め~)。ドラマ以外にも映画に主演されたこともあるそうだ。たしかに、アイドル的人気があったんだなあって傍観しました。

また、SNSでも横尾さんに憧れる芸能人たちの写真が見受けられた。みうらじゅんさんいわく、スーパースターだそう。みうらさんって若く見えるけど還暦を超えたとか。親とほぼ同い年。そっか~今60~70代の人にとってはスターやアイドルだったんだな。

美術展に行かなかった理由

エッセイを読む一方で、本業の絵画は直に見たことがなかった。

とはいえ、購入した本の表紙が横尾さんの絵だったり、電通で働いた時に食堂の横尾さん作床タイルは目にしたことがある。ドラえもんが食べるどら焼きにそっくりな宇宙船?が描かれた濃いブルーのタイルが敷き詰めてある。言われないと気が付かなかったが、値段は相当なものだろう。あとは大河ドラマ『いだてん』のオープニングの絵など。

正直、どれもあまり好きではありませんでした。カラフルでガチャガチャしているなという印象。「美術家や芸術家として目立つためには、奇をてらわないといけないのかな?」と素人丸出しの意見を持った程度でした。

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↑ 過去の作品に、マスクをつけた作品一覧。コロナだからマスクをつけたっていう絵?すごい数ですね。

人気の理由を探しに

だけども、横尾氏は若いころから現在に至るまで熱狂的なファンが多いことで有名。それも年代を問わず、というところが驚異的ですよね。

今回の美術展は絵画を中心に、初期のグラフィック・ワークを加えた作品が勢ぞろい。横尾芸術の全貌が明らかになるということで、この機会に行くことにしました。実物を生で見れば、人気の理由を感じ取れるかもしれないと思ったのです。

すごい数でした。大人1人:2,000円にしては、すごい見ごたえ!!

それだけでも行ってよかった。今までいろんな美術館に行ったけど、休憩を2回挟まないと見れないほど疲れたことはありませんでした。最高です。絵からエネルギーが滝のように出ていて、見る側もエネルギーがないと受け止められないんだなとわかりました。

エネルギーっていうのは、一方的にもらうものではないんですね。今回においては、お互いに出し合ってぶつけ合うものでした。初めての体験でした。だまし絵のような、間違い探しのような絵も多くて一緒に行った夫とそれを探しあうのも楽しかったです。今回はやっぱり一人で行かなくてよかった。

個人や企業が所有している絵も見せてくださり、貴重でした。あと滝のはがきを一面に張った部屋がありました。テレビ朝日『じゅん散歩』ですでに見ていたので、地面がガラス張りになっていても怖くなかったです。

しかし、アーティストって物を捨てずに、きれいに保管する能力がすごいと前々から思っていました。滝のはがきを何千枚と何十年もかけて集めて、それを断捨離もせずに何十年も手元に置いていたことに恐怖を感じました。と同時に拍手を送りました。汚らしく保管したり、断捨離するのがアーティストと一般人の差なのかもしれない。

結局、人気の理由はよくわかりませんでした。カラフルで斬新だから?いや、やっぱり横尾忠則さんという人間の魅力が人を惹きつけているような気がしてなりません。少なくとも私はそうです。エッセイが面白いからそれほど好みではない絵を見に行きたくなりました。そしてエネルギーを肌で感じました。量産する絵。描くエネルギー。そこがすごいな。

来場者を観察

横尾さんのSNS展開やコラボ商品(AGGスニーカーなど)を見るにつけ、若者っぽいなという印象でした。「きっと若くて優秀なスタッフが多い=その時代の若者に人気なのかな」と、何も知らない私は想像しました。

20~30代

案の定、美術展は平日だというのに様々な年代の方が来場していました。20代は全体の2~3割くらい。尖ったファッションの男女もちらほら。カップルできたり、親子できたり、一人できたり。意外と多いのが女性二人組。
やっぱり、カラフルな色味を取り入れている人が多かったです。10月といっても地球温暖化により夏日も多かったが、無理して毛玉だらけのパステルグリーンの毛糸のカーディガンを羽織っている女性もいた。どうしてもその色を主役にしたかったのだろう。

みんな入口のポスターの前で記念撮影をしていた。神社仏閣巡りの際、どこの神社に来たかわかるように、社名?の前で撮る感じだろうか。私もそうした。わかりやすさが一番。

30後半~40代

40代前後の方で多かったのは、以外にも男性一人でじっくりと見ている方。本当に興味があるか、好きなんだろうなあという絵の見方だった。

ファッションは、トレンドを抑えた中庸なかんじ。ユニクロってわけでもなく一癖あるデザインがあったり、眼鏡にはお金をかけてますというポイントにこだわりを感じさせた。

そしてやっぱり、全身フルカラー。歩くカラフルパレットというファッションの男性もいた。でも一人くらいかな。

絵に顔を近づけると、アルバイトの女性店員さんがすかさず近づいてきて、「絵に触らないでください!」と言った。
触るわけないと思いむっとしたが、この人は時給以上の仕事をしているな。こんなに客の動きに敏感に動く人はなかなかいない。

100人に1人くらいいないのかな。
調子に乗って絵の中に体ごとぶつかる様な人。一人もいないことが奇跡に感じてきた。子供とか動物的な人とか、やっちまいそうなのに。

80代

横尾さんと同世代の80代に見える人はちらほらでした。その世代が着る、上品な服装の方が多かった。ウッディ・アレンが好むツイードのジャケットにコンパクトな黒革の斜め掛けというトラディショナルなスタイル。サイズ感がジャストなので、テーラーメイドなのかも。背伸びした感じもなく、自分が本当に好きな心地よいものを選ばれているように見えて素敵だ。
孫娘と一緒に見に来た、小柄でスリムなおばあさんもいた。孫の半分強といった身長。80代で見に来ている人は心も元気なんだろうなあ、きっと。

50後半~60代

一番多いのは、平日の日中ということもあるのか、時間に融通の利く50~60代かな。その世代が着る雰囲気の服だが、派手めの色を選びましたという感じ。

またはスポーツカジュアルだが、ブランドものかつ原色や蛍光色を取り入れていた。みんな「よーし、今日は横尾さんの絵を見るからそれに合わせた服装にするぞ!」と気合いを入れているように見えた。

意外と自然体って難しいよなあ。オシャレに見せようとするとどこかドンくさく見えたり、服の強さに人間が負けていたり。

欧米人から見るアジア人(中国・韓国・日本)はみんな同じに見えるというが、なにげに50~60代も同じに見える。意外と年齢がわかりづらい世代なんじゃないか?若いころは娯楽全盛で楽しんできただろうし、現在も体が自由に動く世代。楽しむことに前向きな人が多いのかな?

私はユニクロミックスでブラックのフレアパンツと大好きなhokaoneoneのスニーカーでシンプルにまとめた。

派手色は避けてて、リラックスできる服装にしました。そのせいか、ぼ~っと絵画を見れてよかったです。

まとめ

来場者は会場内を自由に行き来していた。作品の量が膨大なので、休憩している人も多かった。椅子に座って絵の余韻に浸っているというよりは、目頭を押さえて目を閉じたり、首や腕を回したりと本気で疲れているかんじだった。

いままで平日の美術館には幅広い年代のいる会場はあまりなかったので、楽しかったです!ふつうは60代以上の人だらけ。何のために来ているんだろうと思ったこともあるけど、時間とお金が自由に使えるようになってうれしいのかなと想像した。

また気が向いたら美術館にいってみま~す。

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canari
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