#072ととのえる
長期的に計画を立てることが苦手で
終着点が見えてからしか本気になって取り組めない。
仕事の締め切りもそうだし
資格試験なんかもそう。
追い込まれてからフルパワーを注ぐタイプ。
それでなんとかなってる。
健康診断の結果が来たのは夏の終わり。
去年と同じ引っかかり方をしたので
同じように胃カメラを予約した。
歳も歳だし、機会があるなら
1年に一回くらいはやっておこう。
そんなところ。
去年と違ったのは検査後の診察。
「気になるところがあったので生検に出します。
2週間後に結果を聞きにきてください」
はっきりは言われなかったが
そうか…、ガンの可能性があるってことか
と察した。
想像していたより冷静なままだった。
はっきりとした結果を聞いてしまったら
パニクってしまうのかな…
そっちが怖くなった。
そうだ、いざというときのために
病院は決めておこう。
次に考えたのはやり残していること。
後悔してしまいそうなこと。
普段は取りたい資格とかいろいろあるし
見ておきたい景色や
食べてみたいものや
会いたい人や
誰かと話したい話題とか
ただ穏やかに過ごす老後とか
キリがないくらいに出てくるのに
こうなってみると不思議なくらい出てこない。
人間って複雑だな。
好きな人がおじいちゃんになった姿は
ちょっと見ておきたかった気もする。笑
以前死を意識したときに購入して
そのままになっているエンディングノートを
書くことにした。
不安なのはただ一つ。
残す子どもの生活だ。
やりたいことを諦める人生にしてはならない。
とりあえずネット上にあって
パッとはわかりにくい資産と
入ってる保険なんかが大事。
葬儀や供養などにいくらかかるかよくわからんが
まぁこれくらいかなって額を見積もり
この後4年分の子どもらの学費をキープして
これは息子にこれは娘に
家のローンもなくなるから住むところは大丈夫
これがあれば卒業までの2人の生活費は
なんとかなるか…
そこまで見通せて心底ホッとした。
葬儀もしなくていいし
お墓もいらない。
危なくなったときに会っておきたい
知り合いも特にいない。
最後連絡をしておいてもらってもいいかな
ってコミュニティがちょっとあるだけ。
逆に家族は困るかな…
そんなことを思いながら
エンディングノートを閉じた。
子どもら2人はここまで
わたしの見える範囲では大きな問題なく育った。
進路も決まった。
お酒も一緒に飲んだ。
頑張れば親がいなくても暮らせるくらいには
大きくなった。
ちょっと早いかもしれないが
このタイミングまできて良かった。
あとはそうだな…
一緒にサッカー観戦をすること
母を含めた女子旅を実現すること
それだけはやっておきたい。
春になったら1番の写真友に
好きな桜が咲く場所で
写真を撮ってもらっておこうか。
ここまで深刻に書いたけど
検査の結果はまだわかっていない。
そうかもしれないし
全然そうじゃないかもしれない。
人はいつ何がおきるかわからない。
そう思いながらもなかなか備えられなかったから
まぁいい機会かな。
追い込まれないとできないタイプだから。