見出し画像

【自作キーボードに挑戦】Keyball39を作ってみた話


キーボードへの情熱と課題

僕はキーボードが大好きだ。
おそらく、人生で最も長い時間触る入力デバイス、それがキーボード。
これまで何台ものキーボードを購入しては、打鍵感に酔いしれ、それぞれの魅力に取り憑かれている。

この4年間で結構変わった

でも僕は、そんなキーボードに僕は二つ課題を感じていた。
一つはキーボード筐体の形である。

四角い筐体はコンパクトに収まっていて可愛いんだけど、両手で入力するがゆえに、肩や肘が縮こまってしまい、姿勢が悪くなる。
これは現代病で本当に体に悪く、肩こりや腰痛の原因となってしまう。
そのため、次に購入するキーボードは、"アリス配列"か"分割キーボード"にしようと考えていた。
(※肩こりが改善されるフォームで自然と入力できるキーボード)

そしてもう一つの課題が、キーの配列である。
今まで当たり前だから疑ってこなかったけれども、キーボードの配列は「QWERTY配列」という、すでに固定された既存のものがある。
市場に出回っているキーボードのほとんどは、この配列です。

でもね、どうしてもキーの位置に納得いかないものがある。
例えば、超長音記号(ー)←これ。
操作が難しい右手の小指で押さないといけない上に、とても遠い場所にある。
「ピーポーピーポー」という文字を打つとき、もう右手小指がつるんじゃないかと思う。
(※ちなみにPも僕は大嫌い)
あと同じ右手の小指だけど、EnterやBackspaceもなんであんな遠い場所にあるの?
入力する頻度が多いのにすごく押しづらいとは非合理だ。
だから僕はキーのマッピングを変えることにした。

そんな課題を持っていた時、YouTubeである動画を見つけた。

衝撃的だった。
20年近くYouTube を見てるけど、今まで見た動画の中で、最も俺得な動画だった。
合理化されたキーマッピングは僕にとって最善になるかもしれない。
この「大西配列」に挑戦して、少しでも快適にタイピングできるようになりたい。(※現在 e-typingでようやくB までスコアを伸ばせた)

自作キーボードへの挑戦

以上の2つの課題から、僕は自作キーボードに挑戦することにした。
初心者だからどんな自作キーボードがいいのかわからないけれども、とにかく2つの課題を克服できるものに到着した。
それが、このKeyball39である。

特徴は2つ。
1つは左右分割型のキーボードであり、肩を広げてタイピングすることができる。
もう1つはキーの数が39個とめちゃくちゃ少ないから、小指の可動範囲を必然的に小さくすることができる。
(※キーの数が39個だから入力できる。文字や記号に限界があると思われがちだが、これは問題なく後で触れます)

自作するとなると、価格が高くなるのはもちろん、自分ではんだごてを購入し、はんだ付けをしなければならない。
販売している実店舗に行くと作成もできるが、東京の秋葉原にあるので現実的にそれは難しい。

自分ではんだ付けか…。
かなりハードルの高い挑戦だが、この体験はきっと人生の価値になる。
そう思い、僕はkeyball39をポチった。

ちなみに価格だけど、本体だけで23,000円。えぐい。
それだけにとどまらず、キーキャップやキースイッチ、トラックボールなど、構成するすべての付属品を含めると、価格は40,000円以上。
さらにさらに自作するためには、はんだごてやはんだマット、はんだごて台、ドライバーなども、工具も必要になる。

めっちゃ買った。もう金銭感覚が壊れている。

これらをすべて合わせると、なんと50,000円を超える。
馬鹿げている。
もう正しい金銭感覚なんて、疾うの昔に忘れてしまった。
製作する経験が価値のあるものになると信じ、僕は必要工具もAmazonでポチった。

Keyball39の作成

では、実際に作成に取り掛かる。
まずパーツが多すぎてなんだかよくわからない。

これ終わるんかな、と思うくらいパーツがいっぱい

でもKeyball販売している遊舎工房のホームページからリンクがあり、組み立てるためのビルドガイドが用意されている。
また、キーボールはその業界ではかなり有名らしく、YouTubeにも作成動画や紹介動画が多数アップされている。
これらを眼見しながら、ゆっくりだけどKeyballを作っていった。

息子や娘が起きている間は気が散って作業に集中できないので、制作はすべて早朝に行った。
午前3時や4時に起床し、家族が起きるまでの間、約3時間、自室にこもりひたすらパーツを組み合わせていく。

はんだ付けなんて中学校の技術の授業以来だったけど、はんだや潤滑剤のフラックスが焦げる匂いはとても懐かしく、思春期だったあの頃の一番痛い記憶を蘇らせてくれた。

黙々と作業を進めていっても、なかなかキーボードの形にはたどり着けない。
それでもひたすらはんだ付けを行った。

パーツが細かいんです、ほんまに。肩こり必須だわ。

もちろんトラブルもあった。
うまくはんだ付けできていないところは電気が流れず、LEDが光らなかったり、キースイッチが反応しなかったり、何度も何度も繰り返しはんだづけをやり直しをした。
そしてトラブルが解消され、キーボードがうまく反応したときは、両手を大きく振って小さい声で「よっしゃー」と言ったものだ。

(修正前) 22番のLEDが赤に光り、23番と24番が光っていない  (修正後) すべて青色に光る 

そして作業は5日目。
全てのパーツを組み合わせて、ついに自作キーボードが完成した。
これがKeyball39。

TRRSケーブルがピンクだったのでLIGHTINGも画面もピンクで。

う…、言葉にできない…。
かっこいい。かっこよすぎる。
そしてキーを押すと、本当に反応する。
ヤバい!なんだこの快感は!
もう脳汁が止まらなく、早朝からテンションがブチ上がる!
快楽を感じ、ものづくりの醍醐味をたっぷり堪能した。

Keyball39の特徴

Keyball39の機能を少し紹介します。
分割キーボードであり、自分の腕の形に合わせて広げたり傾けたりすることができる。
そしてマッピング機能が豊富なので、自分の好みのキー配置が可能になる。
余談だけど、キーの数が39しかないから、文字や記号が39個しか打てるわけではなく、レイヤー機能を使えば、複数の文字や記号を同じボタンから入力することができる。
例えば、シフトキーを押していると、アルファベットの小文字が大文字に変換するように、特定のボタンを押しているときだけ、別の文字や記号が現れるあの現象(レイヤー機能)が備わっている。
レイヤーは最大3層まであり、何も押していない状態を含めると4つのレイヤー機能が存在する。

要するに、一つのボタンに4つの機能まで割り振りできるってこと。

これから何時間もかけて、次は操作に慣れていきたいと思う。

自作する価値

自作キーボードを初めて作って感じたことは、作ることに価値があるということでした。
この時代、キーボードなんてAmazonや楽天やAliExpressに行けば、いくらでも安いものが手に入る。
自分の好みのキーボードを安価に簡単に手に入る時代だ。

でも自作キーボードは、あえて高額なキーボードである。
そこには自分の位置から作り出すという経験に本当に価値があると思った。

どんなデザインにしようか。
どんなキー配列にしようか。
LEDでどんな色に光らせようか。

自分のデザインにしたいキーボードのすべてが自作キーボードには詰まっている。
そしてそのデザインを最初の基盤から作り上げることができる。

これを例えるなら、菜園と料理。
おいしい料理を作りたいけど、その食材をいつから自分で育て、収穫し、調理して料理を作り出すようなものだ。
スーパーに行けば食材なんて簡単に手に入るし、コンビニに行けば調理された料理が食べられる。
でもそうじゃなくて、自ら食材を一から育てるということに菜園の魅力があるだろう。

また、キーボードを作成しているあの時間も、とても楽しかった。
作業中は無になれるので、ストレスを発散することができた。
人間は適度な集中があると、その瞬間はストレス解消になるそうだ。
お金もかかったし、時間もかかったけれども、面白い体験をすることができた。
今回はキーボードだったけど、次はキーボード周辺のケーブルも自作してみたいな。

【補足】トラックボール評価されすぎ問題

以前、「トラックボールが評価されすぎてマジ意味不明」みたいな記事を書いたけれど、結局僕もトラックボールを使うことになってしまった。
だって、マウス機能が付いているキーボードを作ることで、デスクの物をひとつ減らすことができるじゃん!
あれだけトラックボールに懐疑的だったけど、まぁちょっと使わせてよ。


いいなと思ったら応援しよう!