育休118日目 エレベーターに書いてある「優先」の意味を考える
15分。
エレベーターに乗ろうとボタンを押して、実際に乗るまでにかかった時間。
僕と息子と娘の3人は、ただ辛抱した。
百貨店のエレベーターはどこも混雑している
なつやすみ。
僕たちはポケモンカードを探す遠足をした。
ウキウキする6歳の息子と、わけが分かっていない0歳の娘。
3人は、百貨店の13階にあるポケモンセンターを目指す。
今日はベビーカーを押しているため、階を上がるためにはエレベーターに乗るしかない。
しかし百貨店のエレベーターはどこも混雑している。
フロアに設置されている全6基のうち、1基が優先エレベーター。
マップを確認し、ターゲットをそこに絞って、目指せ13階。
優先エレベーターに乗れない問題
到着1回目。満員だった。
その瞬間に、既に違和感があった。
明らかに、本当に優先される人が乗っていない。
残念がる息子。次こそ乗りたい。
到着2回目。同じく満員だった。
さきほどと同様の違和感。
ベビーカーを連れた親子が1組いたものの、その他は優先される人ではないような気配。
悔しがる息子。次は絶対に乗ろう。
優先エレベーターを待っている間にも、通常のエレベーターも観察する。
しかしどの箱も満員。
待機していたフロアが6階という中途半端な場所だったのも不運だった。
エレベーターの構造上、最上階と最下階に到着したときが最も空いている。
そんなことは分かっているんだけど、連絡橋の接続上、途中の階で乗るしかない瞬間は結構多い。
次こそ必ず乗るぞ。
しかし到着3回目。またしても満員だった。
同じ違和感が3度も続いたので、流石に苛立ってきた。
僕は知らない人が大勢いる前で、勇気を振り絞って口を開いた。
「乗せてもらえないですか?」
「・・・・・・」
返答はなく、無反応。
というより、沈黙だった。
イヤホンをして聞こえてなかったかもしれない。
日本語がわからない人だったのかもしれない。
しかし、それは無視だった。
明らかに目があった人もいたが、『満員だからしかたないよ~』的なアイコンタクトを返された。
既に半泣きな息子。僕は頭を撫でて、よく辛抱していると褒めた。
もう一度優先エレベーターに乗ろうと思ったが、少し待つと隣のエレベーターが幸い空いていたので乗ることができた。
僕たちは待つためだけに15分を費やした。
13階に到着し、ポケモンカード拡張パックを購入するころには、息子の機嫌はもう回復していた。
安堵の一方、レジに並んでいたとき娘は大発狂し、人込みでも圧倒的な存在感を示してくれた。
ひときわ大きい泣き声で、前に並んでいたご家族に心配されてしまった。
「優先」の意味を考える
話を戻そう。
優先エレベーターなのに、なぜ乗れなかったのか。
そもそも「優先」ってどういう意味だ。
必要とする人のために、先に譲るのが、優先。
しかし結果、だれも降りなかった。
ということは、先に乗っていた人たちは、優先の意味を理解していない可能性がある。
とはいえ、理解していたとしても混雑していたら、誰だって空いている優先エレベーターに乗りたくなる気持ちはめちゃくちゃわかる。
『わかっているんだけど、空いているからまぁいいか~。あ、もう乗ったし降りる所まで行こう、降りればその分エレベーターは空くから。』
こんな思考がよぎったことは、きっと誰もがある。
そうすると、問題は「既に乗っている人」だけではなく、「これから乗りたい人」も含め、両者の認識の違いだ。
お互いの認識を改めよう
両者の認識の違いを埋めるために、理想はこうだ。
■既に乗っている人
・空いていれば優先エレベーターに乗ってもOK
・ただし必要とする人のために降りる覚悟が絶対条件
・そしてすぐに降りてエスカレーターで移動する
■これから乗りたい人
・必要としていることを明確に示す
・既に乗っている人に降りてもらえないか必ず確認する
・降りてくれた人には心から感謝する
これは普通のエレベーターではなく、優先エレベーターの話。
そもそも優先されるべき人がいる以上、お互いの認識を改める必要がある。
いったん局所的でいいから、お互いの立場を尊重してほしい。
この条件に則れば、優先エレベーターは円滑に機能する。
そして優先されるべき人に、多く乗ってもらえるはずだ。
これだけ多様化した現代なんだから、モラルに委ねるのではなく、明確なガイドがそろそろ必要だろう。