選択の温度
はじめに
寒さが身を刺す季節、私は6回目の転機を迎えました。度重なる転職連鎖の背後には、今いる職場に将来性を見いだせない瞬間に仕事への情熱がしばしば冷めてしまうという事実がありました。もちろん、自己改善の余地も自覚しています。
そして新しい世界への飛び込みは、いつも不安に満ちています。しかし、新天地で迎える同行営業のある日、私よりも年齢の若い先輩が優しく寄り添ってくれた瞬間が、今もなお私の心に深く刻まれています。
■選択の温度
忙しい営業の合間、座るゆとりはありませんでしたが、コーヒーを楽しむ余裕はありました。先輩は自動販売機に硬貨を投入し「好きなものを選んでください」と丁寧な口調で声をかけてくれました。
その気遣いに感謝しながら、私は甘えることにし大好きなブラックコーヒーを選びました。しかしそのコーヒーは私の手を温めることなく、冷たい現実へと誘っていきました。
真冬に冷たいコーヒーが売られていることに驚きましたが、私の驚きを見透かした先輩が「それ、私が飲みますから、もう一度温かいのに変えてください」と放った一言にさらに驚きました。
今度はその言葉に甘えることなく、丁重にお断りしました。
すると先輩は「では私もお付き合いさせていただきます」といい、冷たいコーヒーのボタンを押しました。
真冬に飲む冷たいコーヒーは間違いなく冷たかった。それでも心の温かさがその冷たさを和らげてくれました。
転職を繰り返していた私がこの時に感じたことは「どこで働くか」よりも「だれと働くか」がとても大切だなと学ばせてもらいました。
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最後までお読みいただきありがとうございました!また会える日を楽しみにしております!みんなに幸あれ!