【映画🎞】未来の終着点、「死」へ向かっていくこと【映画『メッセージ』評】
音律不たしかな響きが仄暗い底を這うように流れ、それに続くように吐き出されるあぶくのような旋律が寄るべなくさまよう。それらはわれわれの現実空間までもを不穏な空気に浸してゆく。世界各地十二箇所に突如あらわれた「殻」とよばれる未知の飛行物体は、黒の漆を奥まで染み込ませたように無彩色な姿をしていた。その「殻」の中に存在する未確認生物ヘプタポッドたちと会うために、軍から要請を受けた言語学者ルイーズと物理学者イアンを含む数名が内部へと足を踏み入れる。「殻」のなかに潜った途端、平生の重力感覚は全く奪われ、その先には不気味なほどに白くひかる無機質で冷たさを感覚させる部屋が続いていた。
「あなたたちはなぜ地球に来たのか。」
この問いの答えをヘプタポッドたちから聞き出すために何度も彼らと対面をするルイーズたち。彼女は「殻」の主の言語を次第に理解しコミュニケーションが取れるようになっていくと同時に、まだ生まれていないはずのわが娘と過ごす日々を幻視するようになる。そんな中、協力して研究を進めていた各国はヘプタポッドの示したある言葉をきっかけにバラバラに対立しはじめ、ついに軍事的緊張感が広がってゆく。
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