山小屋バイトのすゝめ
この夏、とある北アルプスの山小屋で1か月アルバイトをした。
天気が良い、きれいな山の風景を絶対に見たい。それなら山に長くいれればよいのだ!と考え、今年の2月くらいに応募した。とりあえず着替えとヘッドライトなど必要そうなものをリュックに詰め込み、山へ向かった。
大学生だらけだと思っていたら、思いのほか年齢層が高く、驚きもしたが少し安心した。ひと月一緒に生活するのに、大学生ばかりだと人間関係でいざこざがあったり、学生のノリについていけないような気がしていたから。
山での生活は、想像以上に不自由がなかった。賄いがおいしすぎて、食べる量は普通の生活の3倍ほど増えた。早寝早起きの習慣はすぐに身につく。晴れの日は窓を開けると、本当にきれいな空がお出迎え。気持ちの良い1日のスタート。
そして何より小屋で働く人はみんな優しかった。自主的に動けて、仕事熱心で、協力的。仕事とプライベートの境がないような生活でありながら、オンオフの切り替えが素晴らしい方々だった。視野が広く、些細な事にも気づく。「ありがとう」「ごめんね」この言葉たちがたくさんあるだけでコミュニケーションは円滑に、気持ちのよいものとなることを身に染みて感じた。
また普段の登山で山小屋を使用するだけでは絶対に気付かないような山小屋の仕事の大変さを知ることもできた。登山道整備、トイレの施設管理、物資供給など、山小屋の仕事は想像以上にたくさんあった。さらにスタッフとして働いてみることで、登山者に必要なマナーやあるべき姿を客観的に見て感じることができた。今後は山に行った際、山小屋に感謝するだけでなく登山者としてのあるべき振る舞いを心がけたい。
当たり前だが、山の景色は毎日違う。実際に毎日見ていると昨日との違い、今日ならではの良さをどんどん感じられるようになってくる。近くの山へ休日に出かけると、もっとさらに遠くの山に登りたくなってくる。休日、働いている山小屋に帰ってきたときの安心感は大きく、気付けば職場であり大事なホームになっていることに気付く。
1か月という短い期間を過ごしただけでも、人として他者との関わり方やコミュニケ―ションにおいて大切にしたいことをたくさん学ぶことができた。そして意外と普段の生活で必要だと思っていたモノや推しなど、でもそれって本当はなくても生活できるのかもしれないよ、気付くかも。
少しでも山が好きで山小屋バイトに興味のある人は挑戦してみるべきだと思う。
お湯で作るインスタントのコーヒー、カップスープとか持っていくといいよ。
誰かの後押しになれますように。