behringer コンパクトディレイ・リバーブ・コーラス レビュー
共通事項
安い(安かった)わりによくできている
ほとんどの製品が2000年代に出ていた…はず。当時でも3000円程度(600番台は6000円程度)。
現代だとEffects BakeryやRowinやFlammaといったミニチュアサイズの製品が遥かに安くて(さまざまな意味で)クリーンではある。
ほぼ全機種が既存定番機種のクローンコピー
新規に機能や回路をデザインするコストをカットしているのであの安さを実現できていた。
なので安いといっても80年代ビザールエフェクターみたいな壊滅的な音が出ることはなく、むしろよくできたエフェクターとして仕上がっている。
ちょっとしたリファインや機能追加が施されていることも多い。
内部パラメーターの追い込みにはかなり力が入っている
特に600番台。欲しいエフェクトが素直かつあまり主張しすぎない感じで出てくれる。
behringer傘下以降のTC ELECTRONIC製品と中身がほぼ同じ
というのもTC製品を使っていても言われないと気づかれない程度にはよくできている。
600番台はかなり本気で作っている
特にRV600・EM600はLine6の元ネタも相まって評価が高い。
100番台の位置付けはよくわからない
いちおう400番台の廉価版?デジタル機種だと20bit/40kHzというなかなか目にしたことのないスペックになっている。
電子機器としての出来もまあまあ良い
プラスチック筐体系エフェクターにしては設計がこなれている。分解もしやすいし回路も洗練されているようにみえる。電池蓋の開けかたは最悪だけど。
入出力端子のハウジングが割れやすいこと、フットスイッチが弱そうなタクトスイッチであることには注意が必要。
たまにフットスイッチ裏の金属爪=アースがシャーシに落ちていないことによりノイズの出る個体がある。シャーシ側のコーティングを少し引っ掻いて剥ぎ、その上にアルミ箔を貼って導通させると安心。
音が細い
これはベリンガーコンパクト全機種に共通。バッファードバイパスというのを考慮してもドライ音ウェット音ともに細い。アンプでの音作りに困るタイプ。
この細さを活用して、全体としての音数が多くても他を邪魔せずかつエフェクティブに聴かせることができるという活用方法もある。シューゲイザーで活用している人が多いのも納得。
ツマミにクリックがない
MODE切り替えなどの有段階パラメーターでもクリックがない。なので現在どのMODEなのかが定かではない。足元エフェクターを真上からいちいち見て切り替えるのは難儀する。
入出力ジャックが太め想定&入力ジャックに接続で電源が入る
いわゆるフォーンの規格違い問題。behringerコンパクトは特に太めを想定している。なので細めのフォーン(CLASSIC PROの色付きパッチケーブルなど)は刺さっていない判定になって使用できないことが多い。CANAREやNEUTRIKは大丈夫。
リサイクルショップで電源入らないジャンク扱いの場合はほぼ間違いなくこの相性問題。20機種近く買って動作しなかったものはない。
実は生産終了機種が多い
サウンドハウスでの取り扱いはコンパクトエフェクター全体でも20機種程度。ディレイ・リバーブ・コーラスで現在取り扱いがあるのはVD400・DR600・UC200のみ。
中古もあまり流通しなくなってきている気がする。3000円以下で見かけたら即買うべき。
生産終了機種はIRファイルを配布してるのでもしよければ。
behringerの公式サイトがぜんぜんラインナップを網羅していない
その機種が現在ラインナップにあるかどうかも定かではない。生産終了機種なんていっさい記載がないことも。
元ネタ一覧を活用するとよい。
ディレイ
DD400 DIGITAL DELAY
元ネタ: DigiTech XDD Digidelay?BOSS DD-3っぽいような気もする
めちゃくちゃ普通のデジタルディレイ
DD-3ほど初期デジタルという感じはしない
DIR OUTはドライが出るだけ、別にステレオディレイというわけではない
ショートモードにするとなんか謎の音が出やすい
DD600 DIGITAL DELAY
元ネタ : BOSS DD-5
高機能で有用かつ扱いやすいデジタルディレイ
PAN OUTを使うとしっかりステレオディレイになる
リバースモードが特に秀逸、くどくなくて飽和感をコントロールしやすい
本体のみでのタップテンポはできない
フィードバックは比較的弱めで発振しづらい
最近はPA用途でもたまに使っている
EM600 ECHO MACHINE
元ネタ : LINE6 Echo Park
実は持っていない…元ネタより好きという人もけっこういるらしい
たまに中古で見かけても元ネタ並みの値段がついている
VD400 ANALOG DELAY
元ネタ : BOSS DM-3
3205/3102系BBDユニットを使った正真正銘のアナログディレイ
とてつもなく高域が削れた、アナログディレイっぽさのとても強い音
あまりにももっさりしているためDry/Wetでの調整がなかなか難しい
フィードバックが強く発振しやすい
独特すぎる音ゆえにけっこう人気がある
ARION SAD-3とかはもっと古いけどこんなもっさりしていない
グラフィックEQとループ接続すると謎の音を出す機械になる
リバーブ
DR400 DIGITAL REVERB / DELAY
元ネタ : BOSS RV-3
音自体は一昔前のリバーブ/ディレイという感じ
DDシリーズと異なり本体だけでタップテンポが可能 ただしストロークが長くバネが強いのでタップはしづらい
フットスイッチのハンダ部分から外部フットスイッチ端子を増設することも可能 プラスチック筐体なので加工しやすい
現在でもタップテンポ可能なディレイは意外と根が張るのでとりあえずデジタルディレイとして持っておくのもいいかも
DR600 DIGITAL REVERB
元ネタ : BOSS RV-5
持ってるけど印象が薄いサウンド…2000年代のとりあえず一旦完成をみた無難なデジタルリバーブという感じ
これの新品買うぐらいならRV600の中古を探したほうがよい
RV600 REVERB MACHINE
元ネタ : LINE6 Verbzilla
これをおすすめしたいがためにこの記事を書いている
EM600ほどではないが中古相場まあまあ高い(6000円程度)
入出力ステレオ、トレイル切り替え機能あり、全MODEでPre Delay調整可能…という高機能っぷり
仄暗い青さの筐体がとてもいい
特にシマー[SPACE]モードが秀逸
のちのstrymonの系譜とはまったく異なる、細くて華やかなサウンド
でも超高域まで伸びまくっているわけでもない 不思議な音
始祖であるEventideに近いがそれともまたちょっと違う細さ
シマーの煌めきを足したいが他の音を邪魔したくない、という用途ならどんなハイエンド機を差し置いてもこれ
ミックスダウン仕事でもEventideやSoundtoysで悩むよりこれ通すことがけっこうある
他のモードも独特の暗さを持っていて好き
これの内部パラメーターを設定した人、絶対に楽しかったろうなあ
TRAILSをONにするとDry/Wetの挙動が若干怪しくなる
これ一台あればなんでも、という機種ではないが、センドリターンで組み込む選択肢としてぜひ
コーラス
CC300 CHORUS SPACE-C
元ネタ : BOSS DC-2 = Roland SDD-320
いわゆるディメンションコーラス
なんとなくステレオに拡げたいときに役立つ
非600番台にしては相場高め
ほぼ中身が同じであろうTCの現行機種はモノラル
BOSS DC-2無印と異なり同時押しもできる
よってボタンオンリーというUIでもサウンドの選択肢はかなり多い
ボタンのバネが強くてたまに飛んでいくので注意
エフェクトチェインの最終出力がモノラルになってしまうときに入れておいてボタンをいろいろ試すのがおすすめ
俺もどのボタンがどういう効果なのかはあまり把握していない
アンビエントやるなら特に役立つはず
たまに高騰するので見かけたらすぐに買ったほうがいい
CO600 CHORUS ORCHESTRA
元ネタ : BOSS CE-5
中身はアナログ BBDは3207/3102ユニット
回路としてはCE-3やCE-2Wのほうが近い CE-5(ピンク)は3007/3101
あまりコーラス感のない不思議な筐体色
中古相場高め、そもそもあまり出回っていない
CE-5やCH-1のアナログモデルが買えてしまう金額
普通に使いやすいアナログコーラス
BOSS CH-1の爽やかさとは明らかに違う、かといってCE-5そのままというわけでもない、ややもったりめの音
CE-2Wと比較してみたいな