日曜日の朝の白いフォトフレーム
「おゆずりします。"IKEAのフォトフレーム"ご自由にどうぞ(^^)」
よく晴れた日曜日の朝9時。
心地よい風が吹く玄関先。
表札の前に置いた白いフォトフレームに、セロハンテープで手書きのメモを貼った。
大きさはタテヨコ60センチ程で、8枚の写真を入れられる。
その大きなフォトフレームは、一人目が生まれた時に買った。
わが家のリビングの壁の一等地で、5年間飾った。
だけど5年も経つと好みも変わって、
いつしか別のフォトフレームに代替わり。
白いフォトフレームの居場所は押入れの奥になった。
それから2年。
白いフォトフレームは陽の当たる玄関先にいた。
そうだ、誰かに譲ろう。
捨てるにはもったないもの。
遠慮なく持って行ってもらえるように、
ニコちゃんマークを書いたメモを添えて。
突然インターフォンが鳴った。
メモを貼って30分も経っていない。
宅配便かな?
いつもどおり応答すると、申し訳なさそうに立つ若い男性がカメラに写っていた。
「あの、これ…もらっていいんですか?」
わたしは慌てて玄関先に飛び出した。
1歳くらいの女の子を抱いた20代後半くらいの男性。
後ろには奥さんと思われる女性も立っていた。
散歩の途中だったそうで、男性は白いフォトフレームを持っていた。
もちろん!ぜひ持って行ってください!
こうして白いフォトフレームは、
新しい家族のもとに旅立って行った。
これから先、どんな家族写真を飾るのだろう?
ほんの少し、勇気を出したことで
誰かの役に立てた。
そのことが嬉しくて嬉しくてたまらなくて、
軽くジャンプした。
誰かの役に立ちたいと想う気持ち。
役に立てて嬉しいと想う気持ち。
わたしの喜びはここにある。