旅だ inプラハ ②
成田から搭乗したKLM航空のジャンボ機に比べて
おもちゃのように小さな飛行機に乗り、
アムステルダムからプラハへ向かう。
機内放送が間もなくの到着を告げる頃、
窓の外は真っ暗になっていた。
上空からプラハ国際空港が見えてくると、
周辺の街の灯りが煌めいていて
すでにチェコアニメの物語の中に入り込んだような
幻想的な景色を見ることができた。
プラハは空から見ても美しいのだ。
東京の上空からの景色は、
LED!という感じの、青白くてとても明るく
「光る都市」というイメージだが、
プラハのそれは、
古いクリスマスツリーが儚く点滅しているような
美しくも密やかな感じでとてもいい。
プラハの入国審査を今回はあっさりクリアして
(夫は学び、手にしっかと必要書類を握っていた)
無事に荷物も受け取り、ロータリーへ出る。
到着が夜になる便だったので、
宿への送迎をお願いしてあった。
プラハでは、「民宿桐渕」に滞在する。
桐渕さん一家は、日本からプラハへ移住して
民宿を経営している。
*
この宿を知ったきっかけは、
わたしがチェコに興味を持ったとき
チャルカという素敵な東欧雑貨のお店を知り、
大阪にあるのか…遠くて行けない、と思っていたら
お店の雑貨を買い付けしている2人が出版された
「チャルカの東欧雑貨買いつけ旅日記」という、
読むだけでチェコを楽しめる素敵な本を知った。
その中で、おすすめの宿として「民宿桐渕」が
紹介されていたのだ。
現在は、わたしたちが滞在したところから
築300年の古民家にお引越しをされ、
建物が古く変わったようで、こちらも興味深い。
これからプラハに行く予定がある方は、
桐渕さんの宿はおすすめです。
わたしたちがこの旅をしているのは、極寒の2月。
でも暖房がしっかりきいている海外の宿。
時差ぼけもなく、チェコと日本食が合わさった
ありがたい朝食をいただき、さあ街へ繰り出そう!と
バス停までの道を歩いていると、
ダイヤモンドダストが煌めいていた。
生まれて初めて見たので、キラキラしてキレイ、雪?
と話していたが、舞っている様子が雪とは違い、
澄んだ空気と光の中を歩いている。
息を吸ったら光の粒まで吸ってしまいそう。
プラハは朝も美しい。
*
バスを降り、カレル橋のたもとまで来ると、
ザ・プラハである。
本で何度も見た美しい景色が目の前にあり、
本では知り得ない現状も見ることになる。
記念撮影をしている観光客の間のそこここで
冷たい地べたに座り込み
ボロを着た施しを乞う人たちがいるのだ。
日本ではなかなか見られない程度の
ギョッとするほどのボロだ。
美しい景色との対比が大きすぎて、
そこだけ真っ黒の影が落ちているようだった。
歴史の流れ、国の体制などを窺わせる。
高揚していた気持ちが、引き締まる思いだ。
ここは日本ではなく、東欧の国なのだ。
*
カレル橋を渡って、時計台や
行きたかったマリオネットのお店、
プラハ城を見て周り、歩いて歩いて街並みを楽しむ。
ブルタバ川沿いのカフェ・スラヴィアで、
美味しいカプチーノとケーキを食べる。
このスラヴィアは、
プラハ滞在中にもう一度入ったお気に入りだ。
コーヒーが美味しくてインテリアが秀逸、
さらにウェイターの対応がスマートで惚れ惚れした。
歩き疲れて、トラムに乗り込み、
夕暮れの街を眺めながら宿まで帰る。
明日はあの駅で降りて散策しようか、と相談しながら
ああ、この人と結婚したんだな、と実感する。
この日は結婚記念日だった。
バス停から宿までの道に、
スーパーマーケットがある。
海外のスーパーは、異文化が満載で楽しい。
いろいろと欲しくなる気持ちを抑えて、
夕飯に食べるパンやサラダ、水、お菓子、
お楽しみのデザートを買う。
チェコは食べものがさほどおいしくないが
(個人の感想です)
珍しいものばかりでおもしろい。
そして、レジの店員さん(女性)が
びっくりするくらい無愛想で怖い。
怒られてるレベルの金銭のやり取りを終え、
宿までブラブラと帰った。
つづく。
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