【スペースランナーRA】大満足のバス撮影会ツアーに行ってきたおはなし

はじめに

みなさんこんにちは。みなさんはバスは好きですか?
そもそもバスが好きか、バスに少し興味がある方でないと、この記事は読まれないかと思うのですが、どんなバスが好きでしょうか。
今回は、石川県全域で支配的な地位を占めているバス事業者・北陸鉄道グループの北鉄金沢バスが主催するバスツアーに参加してきましたので、その様子をご紹介します。

このバスツアーはなんと、日産ディーゼル「スペースランナーRA」にスポットを当てたもので、かつて存在したコーチビルダーの西日本車体工業(西工)のバスを使った撮影会ツアーでした。

コース概要

金沢駅西口(午前8時)→宇野気駅→高松駅→北鉄能登バス 羽咋営業所→能登千里浜レストハウス(昼食)→羽咋駅→福浦港→富来車庫(ここで撮影会)→道の駅とぎ→高浜バスターミナル→金沢駅西口(18時後半)

北鉄グループに導入された、西工車体のスペースランナーRAは6両あり、年式・車番順に
16-691:北陸鉄道(南部)→北鉄能登バス
16-692:北陸鉄道(南部)→北鉄能登バス
16-693:北陸鉄道(南部)→北鉄白山バス
17-750:北陸鉄道(南部) ※除籍
17-751:北陸鉄道(南部) ※除籍
17-752:北陸鉄道(南部) ※除籍
となっています。なお17-750~17-752はすでに除籍されており、令和5年2月現在で現存しているのは16-691~16-693の3両となっています。
今回は、北鉄白山バスに所属している16-693号車を富来まで走らせて、同時に新製配置され、かつて北陸鉄道 南部支所で同僚だった16-691と16-692に会いに行こう!というツアーなのです。

当日の様子

金沢駅西口から出発

ツアーの添乗員さんはバスがとてもお好きな方なようです。
このスペースランナーRAが積んでいるエンジン、このバスの導入当時は世界一きれい(と言われていた)のですが、それをアピールするステッカーを張りつけていた往年の姿が復刻されていました。
世界一ではなくなったためはがされていたステッカーを、この添乗員さんがマグネットとして復刻させたとのこと。すばらしい…
正面左側の「世界No.1クリーンディーゼル」がそれです。

参加者を乗せ、あいにくの雨模様の中、金沢駅西口を出発。

ツアーでの座席は指定されていましたが、私に充てられた席はこちら。

内心、これで一日過ごすのか…マジか…となりましたが、結論から言うとキツかったです(汗
申込みが少し遅かったのが影響したのかもしれません。

さて、金沢駅西口を出たバスは諸江通りを通って、かつての内灘線(71番系統)のルートに沿って宇野気駅へ。
内灘線、令和4年3月までは上諸江経由でしたが、4月からは県庁前経由に経路が変更されました。ツアーではルート変更前の経路をたどりました。

途中、大根布バス停にいったん停車し、[71]宇野気駅 の行先表示を出しての撮影会が行われました。
16-693号車は北鉄白山バスの所属ですが、大根布バス停を通るのは北鉄金沢バス内灘線のため、普段この車がここを走ることはありません。

宇野気駅

宇野気駅にて

そしてバスはJR宇野気駅へ。宇野気駅は七尾線の駅で、かほく市にあるのですが、北鉄グループのバス路線がかほく市に乗り入れているのは内灘線のみのようです。

※さらに、令和5年3月末で内灘線は内灘駅までとなり、宇野気駅方面への運行が廃止されますので、かほく市から北鉄バスは姿を消すことになります。
路線番号も、現在の71番から08番へと変更のようです。

ツアーのときは、「71番 宇野気駅ゆき」の廃止はお知らせされていませんでしたが、いまから考えると、あのとき宇野気駅に寄ったのは"そういうこと"だったんだろうなと。

宇野気駅にて

悪天候で、みなさん駅舎の屋根の下から撮影されていました。
人があまりおらず、16-693がひっそりとたたずむ姿を見ることができました。
続いて高松駅へ向かいました。かつては高松線というバス路線があったそうです…

高松駅にてバス観察

高松駅で停車中にバスの細部を観察。側面になにやらシールがはがされたあとがありますが、なにが貼られていたのでしょうか?「ICa使えます」「北鉄バス一日フリー乗車券」とかでしょうかね。

また、この車はラッピング施工された経歴があり、車番フォントが登場時のものとは違っている(更新されている)のですが、運転席上には、もとのフォントが残っています。

続いて、北鉄能登バス 羽咋(はくい)営業所にやってきました。富来での撮影会に使う行先表示のデータなどの受け渡しをするための立ち寄りだったそうです。
作業が済むまで、羽咋営業所でも少しばかり撮影会が…。

北鉄能登バス 羽咋営業所

羽咋営業所では、グループ会社の北鉄加賀バスで期間限定運行された、温泉地シャトル快速便の「温泉快速かえでぃー号」の表示が登場。
羽咋営業所の次は能登千里浜レストハウスへ、昼食のため移動しました。

能登千里浜レストハウス

能登千里浜レストハウスでは、貝めし御膳が昼食として提供されました。
非常に上品なお味で、貝が苦手な私でも難なく平らげることができました。ごちそうさまでした。

能登千里浜レストハウスでの滞在時間は長くなく、駆け足気味でした。というのも、羽咋駅で富来急行線(急行 富来ゆき)の撮影が予定されていたためです。

羽咋駅

羽咋駅では、予定どおり富来(とぎ)急行線の撮影会が行われました。
富来急行線は、数年前まで門前急行線と呼ばれていましたが、門前への運行が廃止となり富来までに短縮されたという路線です。

※また、先日発表された北陸鉄道グループのダイヤ改正で、富来急行線は高浜までに短縮され、路線名が「高浜急行線」になるとのことで、富来ゆきは見納めとなってしまうようです。また、午前中の1往復は廃止になり、定期観光バスの返却回送を一部営業便とした、夕方の急行 高浜ゆきのみになります。

金沢から来た富来急行線の急行 富来ゆき

この日の急行 富来ゆきには31-912が登場。

福浦

羽咋駅を、富来急行線を追いかけるように出発し、志賀町の福浦へ。
志加浦線の終点・福浦で撮影会が行われました。

北鉄能登バス 富来車庫

福浦をあとにして、次に向かったのは富来車庫です。
以前は富来営業所でしたが、営業所としての機能は羽咋営業所に統合されており、富来は車庫として使用しています。

富来車庫では、富来急行線などに使用するバスが2台、横並びで駐車していました。左にいる車両は31-912で、先ほど富来急行線で富来まで来た車です。われわれのツアー客よりも先に富来まで来ていたようです。

また、車庫内にいた西工の仲間、16-651の撮影会が始まりました。
16-651号車は平成17年度(平成18年2月)の導入で、中型のノンステップバスです。北陸鉄道 金沢営業所に在籍しており、令和元年北鉄能登バスへ転属しました。

北鉄能登バス 16-651 (日産ディーゼル PK-JP360NAN)

続いて、富来車庫に配置されている、16-69116-692、また、わたしたちが乗ってきた16-693を並べる準備が進められ…
かと思いきや、16-651も含めた、西工の4台並びが実現しました!

西工の車両自体が、北陸鉄道グループでは比較的希少なこともあり、4台が横並びになる機会は今後ほとんどないと思われます。要するにすごい光景です。
さて、今度は、すでに横並びになっていますが、16-691・16-692・16-693の横並びの撮影です。同時に北陸鉄道に新製配置され、現在は金沢と能登で活躍の場が離れた元同僚の再会です。

北鉄能登バス 16-691 (日産ディーゼル PKG-RA274PAN)
16-692と同様、富来車庫の所属です


北鉄能登バス 16-692 (日産ディーゼル PKG-RA274PAN)

左から16-691・16-692・16-693

ツアーの際、参加者の間で話題になったのが、車番のみならずナンバーも連番だという点。たしかに3台とも、北陸鉄道 南部支所から北鉄能登バスや北鉄白山バスに転属したため、金沢ナンバーの登録経験がなく、ずっと石川ナンバーなんですよね~

ここでも16-693の車内を観察。

16-691~693の3台のうち16-693だけにあるのが、ICa車載器です。おそらく金沢地区在籍時は3台すべてにあったと思うのですが、能登に転属した691と692にはICa車載器はありません。

※なお、ICa(アイカ)とは、金沢地区の北陸鉄道(バス・電車)で利用できるICカードの名称です。SuicaやICOCAなどの全国交通系ICカードとの共通利用のものではないものの、金沢地区で地元利用客を中心に幅広く使われています。

・型式「PKG-RA274P」
・製造年月「H18-10」
決して古くはないものの、金沢地区の北鉄グループでは古参の部類に入る車両ですね。。。

世界No.1クリーンディーゼルのステッカー?マグネット?は車内にも掲出されています。こちらはツアー以前からずーっとあるものです

運賃箱の裏側を少し観察。ICaの積み増しをするときはアレを押すんだなーなどと思ったり。

道の駅とぎ

富来車庫近くの道の駅にて撮影会が行われました。ツアーのときは道の駅が休館日で、人も車もほとんどおらず、ゆったり撮影を楽しむことができました。


また、こんな小ネタも。

寺地経由 香林坊ゆき・通勤快速 金沢東高校ゆきです。北鉄バスで途中から種別が変わる便が設定された例は少なく、香林坊から通勤快速の文字は非常に新鮮です。

加茂循環線リバイバル

富来からは金沢に帰る行程なのですが、16-693号車を使用して、加茂循環線のリバイバル運行をしながらの帰路となりました。
コースの途中、秘境っぽくなったところで少しばかりの撮影を。

高浜バスターミナル

高浜でも撮影会が行われました。高浜では16-651との2度目の共演も。

金沢地区・能登地区の行先がバランスよく入れられており、楽しく撮影することができました。
同僚として登場した16-692は北鉄奥能登バスに在籍していたこともあるため、もしかしたら珠洲方面の特急・快速・一部快速に運用入りしたのかもしれません。

珠洲宇出津特急の、穴水~珠洲の区間便の行先表示も見ることができました。令和5年3月末で、穴水駅前発の特急 すずなり館前ゆき・すずなり館前発の特急 穴水駅前ゆきが廃止になるようです。

志賀町のコミュニティバス「しかばす」の停留所とコラボ(?)

そういえば16-693号車には、数か月前から金沢市内線(路面電車)の写真が掲示されています。
路面電車の3番系統は、小立野から香林坊を通って野町駅へ向かう、現在の錦町野々市線のような経路をたどる系統でした。また、よく見ると、手前の電車は交差点を左折しているように見えます。
そのため、これはおそらく、香林坊交差点から広坂通りを撮ったものと思われます。

金沢駅西口へ帰着・解散

そして金沢駅西口に到着しました。予定より遅れての到着となりましたが、大満足でバスを降りました。

おわりに

当日のおみやげ

当日は、バスコレクションの北鉄能登バスバージョン・北陸鉄道カレンダーなどがおみやげとして配布されました。ありがとうございます。

感想

今回は、北陸鉄道のあすなろツアーへは初参加となったわけですが、添乗員さんの技量に非常に驚きました。
これまでも、北鉄の「バスファン向けツアー」はいくつも催行されていたのですが、マニア(いわゆるオタク)がわいわい群がる光景が苦手で、どちらかというと一人でのんびり撮りたい派だったので、その空気感を忌避して、参加する気が起こりませんでした。

今回は知り合いの方からのお誘いもあり、参加することにしたのですが(単純に16-693が好きというのもありました)、バスが大変お好きな添乗員さんの案内は非常に楽しいものでした。添乗員さんご自身がバスマニアで、なおかつ、バスファン向けの企画だからこそ、愛好者がどんな情報を知りたがっているかを熟知されており、路線や歴史についての、添乗員さんの膨大な知識量を活用されたお話を楽しめました。

金沢駅西口にて。解散後、車庫へ戻る回送車

また、ツアー参加者のマナーは(私の想像よりも)よく、参加費をそれなりに出しているからこその環境というものも、少なからずあっただろうと推察します。
また、参加費は15,000円(全国旅行支援を適用して12,000円)でしたが、おみやげの代金を考えると、実質9,000円ほどで移動+撮影+食事を楽しめたことになります。かなりお得に16-693を楽しむことができました。

また、16-69116-692は同じ所属先(富来)にいるため、今後もこの2台がそろう機会はあるかと思いますが、16-693は金沢地区で稼働しているため、3台が並ぶという機会は(よほどのことがない限り)ないのではないか、と思います。貴重な3台の並びを見ることができ、大変満足しました。

16-693の運転席まわり

コーチビルダーの「西工」こと西日本車体工業さんはすでに解散しており、現在はバスの製造を行っていません。ですが西工のバスは全国各地でまだまだたくさん走っており、北鉄にも少しばかり在籍車がいます。筆者の地元の神戸周辺でもたくさん見かけます。

ですが、私が地元で乗ったことのなかった「RAの長尺ワンステップ車」に長時間乗車し、元気な走りを堪能する機会に恵まれたことは幸運であったと感じます。
また、ツアーでなくとも、大学進学によって初めて住むことになった街で、たまに動いている姿を見ることができるのも大変喜ばしいことです。今後もできる限り、北鉄グループの西工のバスが活躍してくれるように祈りつつ、今回の記事を終えたいと思います。ありがとうございました。

神戸市バスのRA。
令和4年9月、金沢駅にて。