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【あいの風ライナー】【地鉄・快速急行】富山県を走る優等種別に乗ってきた

 みなさんこんにちは。
 今回は、あいの風とやま鉄道で運行されている「あいの風ライナー」と、北陸地方で唯一「快速急行」を名乗る、富山地方鉄道立山線の電車に乗車してきました。普段、筆者は金沢に住んでいるので、まず金沢から富山へ向かうところから記事をスタートします。

 夕方5時すぎ、金沢駅にやってきました。
 というのも、富山地方鉄道立山線の快速急行は、1日1本・早朝のみの運転であることから、富山に前泊しない限り乗車ができないんです。理論上は、最終列車にでも乗って富山にたどり着けばそれでOKなのですが、それも味気ないので、前日夕方に富山入りすることにしました。

 金沢駅から、泊ゆきの「あいの風ライナー1号」に乗車しました。
 JR各社でいう「ホームライナー」と同じで、300円のライナー券を購入して、座席を指定してから乗る列車です。
 ライナー券は、あいの風ライナーの停車駅の窓口で買うことができますが、金沢駅では買えません。そのため金沢から乗る際は、事前に他の駅で買っておくか、車内でとりあえず空いている席に座って車掌が来るのを待つか、のどちらかになります。
 ちなみに私はこの日の朝に、別件の用事で小杉駅まで行っていたので、ライナー券を朝に買っておいたのでした。そのため、すでにライナー券を持った状態で乗り込みました。

 あいの風ライナー号、運行開始当初は「快速」幕で走っていたようですが、現在は独自の種別幕を表示しています。
 金沢から富山までは、普通列車では約1時間ですが、あいの風ライナーでは約45分です。あいの風ライナーでなくても、普通列車が1時間に2本程度あって本数は充実しているのですが、やはり通勤ラッシュの混雑を回避するために払う費用として「運賃+300円」というのは魅力的ですよね。

 富山駅に到着しました。駅前には地鉄バスがずらり。

 北陸・富山といえば海鮮は欠かせません。新鮮な魚を堪能して、富山駅前のビジネスホテルに宿泊しました。そして翌朝…。

 少し早め、4時40分ごろに電鉄富山駅に来ましたが、まだシャッターが閉まっていたので、シャッターが開くまで富山駅で時間をつぶしました。在来線(JR高山線・あいの風とやま鉄道)の改札は5時開始のようで、まだ開いていませんでした。 

 朝5時になり電鉄富山駅へ移動すると、シャッターは開いており、初電(本線・宇奈月温泉ゆき)の改札が始まっていました。今回のお目当ては、立山線の始発電車・5時18分発立山ゆき快速急行です。
 電鉄富山駅を発着する電車自体の本数はそこそこあります。ただし南富山方面の電車が次の駅(稲荷町駅)でさっそく分岐し、滑川・魚津・宇奈月方面の電車が数駅先(寺田駅)で分岐するため、まったく方面が異なる電車が集まっているだけという状態です。立山駅まで行く電車は、5時18分発の次は6時01分発までありません。

 また、5時台の快速急行は、令和6年4月のダイヤ改正から、アルペンルート期間中のみ「特急」(全席自由・特急料金要)に格上げされました。立山黒部アルペンルートで、黒部ダム・扇沢・信濃大町方面へ行けるあいだは特急電車で、立山駅から先に進めない時期のみ「快速急行」のままということで、乗車難易度がさらに高まったわけです。
 というわけで、立山黒部アルペンルートの営業終了から2週間ほど経過した12月13日に行くことにしたのです。

快急の文字が頼もしい!

 電鉄富山駅では列車別改札が導入されており、発車10分前を目安に改札が始まりますが、今回は発車3分前に案内が始まりました。アルペンルートの期間ではないので、観光客の利用は皆無といってよく、早く改札を開ける意味もないのかもしれません。

 ちなみに富山地方鉄道では、富山市内の路面電車を除いて、Suica・ICOCAなどの全国相互利用の交通系ICカードは使えません。富山地方鉄道・富山ライトレール発行のICカード「ecomyca(えこまいか)」および「passca(パスカ)」が使えます。えこまいか・パスカを持っていない場合は現金払いとなります。

 この日使われた電車は、富山地方鉄道の「10030形」でした。もとは京阪電車で3000系として活躍し、いまも京阪特急として活躍している「8000系」の導入によって京阪から引退し、富山にやってきました。
 この10030形には方向幕が装備されており、「快速急行|立山」の幕もあったようですが、「急行|立山」の表示で走るようです。(他の形式には快速急行の幕がない場合もあるため、快速急行の幕がない電車に合わせているのかもしれません)

英語表記は一切なし。渋いデザイン
10030形の車内

 5時18分に電鉄富山駅を発車しましたが、私と知人以外はだれも乗っておらず、途中駅でも乗降はゼロでした。やはり、立山駅から先に進めないのに早朝に電車に乗る必要はないですからね…。
 電鉄富山を発車するといきなり6駅を通過して寺田、その先は五百石岩峅寺(いわくらじ)・千垣有峰口本宮の順に停車しました。岩峅寺までは、真っ暗な富山平野をひたすらまっすぐ走りますが、そこから先は立山に向けて、ゆっくり着実に歩むような走りでした。

 特に最後のひと区間、本宮駅~立山駅では、約5kmの距離を12分ほどかけて、急な上り坂とカーブを慎重にくぐっていきました。外は真っ暗なので景色を写真に撮ったり眺めたりすることはまったくできませんでしたが、車内でもわかるレベルの上り勾配をじわじわ進む様子は、箱根登山鉄道を彷彿とさせる感じで非常によかったです。

 電鉄富山駅から約50分で立山駅に到着しました。電鉄富山駅から34.0km、運賃は現金払いで1,230円ICカードで1,110円です。(地鉄電車では令和7年に運賃改定が予定されているそうなので、実際に行かれる場合は、あらかじめご自身で運賃をご確認ください。)

 また、立山駅には朝の8時まで駅員がいないため、快速急行に乗車した場合の運賃は車内精算です。進行方向一番前のドアだけが開くので、車内の運賃箱にお金を入れて下車します。(電鉄富山駅には券売機があるので、電鉄富山駅から乗車の場合はきっぷを運賃箱に投入)

 観光シーズン(4月中旬~11月)は大勢の人でにぎわう立山駅も、かなりひっそりとした雰囲気が漂っていました。なんといっても朝の6時10分ですからね。

 立山駅から帰る電鉄富山ゆきの電車は、おおむね1時間に1本ありますので、本数は充実していると言えます。6時10分に到着した電車は、すぐ6時16分発の普通電車として折り返していくので、あまりに寒い日や雪深い日は、それで帰ってしまうのもいいでしょう。
 私は、その次の7時21分発に乗って帰ることにして、立山駅で時間をつぶすことにしました。

【快速急行に乗ってみたい!という方へ】
早朝の立山駅は、駅舎内の暖房は稼働していません。また、お手洗い・自販機くらいしか使える施設はありませんので、暖かい服装で訪問することをおすすめします。

 令和6年のシーズンで、立山トンネルトロリーバスが廃止になったことは記憶に新しいですが、筆者はずっと乗りに行きたいと思いつつも(さまざまな事情から運賃がかなり高いので)なかなか行く勇気が出ず、ついに乗ることなく廃止になってしまいました。
 電気バスにはあまり興味がなく「トロリーバス」だからこそ乗ってみたかったんですが、多少財布には厳しい出費でも乗りに行けばよかったと、いまになって後悔しています。

30分ほど待つと空が明るくなってきたので、駅舎の外に出てみました。

 駅前には、除雪に使うとおぼしき車両が2台と、それにはさまれるようにして立山高原バスの車両が2台いました。北陸地方は、12月11日から5日間ほど大雪との予報でしたが、結果的にほとんど雪は降っておらず、積もっているわけでもありませんでした。

 そして7時10分に、電鉄富山駅から普通電車がやってきました。21分発で折り返しますので、これに乗って帰ります。

 帰りの電車では、ちょうど通学ラッシュの時間だったため、大勢の高校生が(山を下りたあとの区間で)乗ってきました。
 山を下りきる前の山間部には、本宮・有峰口・千垣・横江と、小さな駅が続きますが、1人、2人と少しずつお客さんが乗ってくるあたり、地鉄電車も(アルペンルートだけではなく)そこまでの途中に住む住民の足として大切に使われていることを実感しました。

 また、7時すぎに立山駅に到着した電車からは、立山駅周辺にある施設やケーブルカーの保守?物資輸送?など、立山で働いている人たちが一定数下りてきました。

 観光客の姿がなくなると、かなりひっそりとした山あいの様相を呈する立山駅周辺と地鉄立山線ですが、公共交通を使う人は確実に存在していて、パッと行く私のようなよそ者でも便利に使えることのありがたみを感じる、そんな、当たり前のようで尊い環境をかみしめた、富山地方鉄道の快速急行でした。

 電鉄富山駅の改札前には、ヘッドマークが並べられています。

 「快急|電鉄富山⇔立山」のヘッドマークが渋くていいデザインですね。電鉄富山駅に売店があり、これと同じデザインの缶バッジを売っていましたので、快速急行の乗車記念に買い求めてから帰りました。