カテーテル手術~心筋梗塞既往者(陳旧性心筋梗塞)は金沢マラソンを走れるのか??
1泊2日の検査入院の結果、やはり手術ということになった。
2泊3日の入院である。詰まっている血管を通すために、処置用のカテーテルと検査用のカテーテルの2本使うことをあらかじめ聞いていたのだが、右手首と左手首の両方から通すことになるというのは入院当日に聞いた。
手術も二人の先生が立ち会うということで、副院長先生と若手のカテーテル手術を行う先生のペア。入院した病院は循環器病院なのでこの分野のプロ集団である。
入院して3時間くらい待たされてから手術室に、病室から車椅子に乗せらる。車いすを看護師さんに押してもらうとなんか気持ちが良い。人に尽くしてもらうとはこういうことか・・
手術台に寝かされ、両手首を固定され、しばらくしてから両先生が入場!
ちなみに手術室には先生が見る60インチくらいの大きなモニターと私が見ることができる小型のモニターが設置されていて、手術前に一応画面がちゃんと見えるかどうか確認してくれる(とはいえ、あおむけに寝かされ固定されているので姿勢的にずっとモニターを見ているわけにもいかないのでまあ気休めといえば気休めなのかもしれない)。両手首に麻酔注射!これが結構痛い!そのあとは管を通してカテーテルを通す。左手首は検査用カテーテルなのでスルスル入っていくだが(というか麻酔のせいか入っているという感覚がほとんどない)、右手首のはちょっと太いので動脈入っていく時にぞわぞわする。血管の中にカテーテルの管が動いているのがわかるので、ちょっと気持ちが悪い。
さて両先生は師匠と弟子、もしくは指導教官とゼミ生という感じのペアである。年配の院長先生が、指示確認を行いつつ、若手の先生が術を行うという役割分担である。そのやり取りが聞いていてなかなか面白い。師匠(ここでは便宜上、師匠と弟子と表現を使います)は一方的に指示をするのではなく、確認と投げかけを行うのである。ここについてどう思う?とか、じゃあ次どうしようか?という感じで問いかけ、それに対して弟子が答えるのであるがそれに対しても、「そうだよね~」とか「だとするとこういうことかなあ??」という感じで、弟子の意見も引き出しつつより有効な情報を引き出すという姿勢である。その会話に合わせてカテーテルを動かし、カメラの位置を変え、画像を確認しながら処置を進めていくという感じである。
実際には専門用語のやり取りが中心なので内容を把握できないのであるが、「素晴らしい!!」とか「OKOK!」みたいな発言が師匠から出ていたのでなんかうまくいっている感じは察することができた。おおよその処置が終わったと思われる段階で師匠から
①詰まった血管を復旧させることに成功したこと。
②復旧した血管はしばらく詰まっていたために細くなっている、この状況でステント(管の内側に補強用のテープみたいなものを入れて詰まった血管を広げる処置)を行うと血管が破裂するリスクがあるので経過観察後処置を決定する
③もう1か所、詰まりかかった血管があるがこれは日を改めて処置すべき
という説明があった。もう一度入院して手術が必要ということである。
※冒頭の写真は処置前と処置後の心臓の血管の写真である。黄色で丸を付けた部分が今回の手術でつまりをとった部分。
最後に師匠の「終了」という言葉で手術室にいたスタッフ(医師のほかに看護師やカメラのオペレータなど7-8人がいた)全員で拍手していた。
なんか感激した!!
さて手術室から病室までは再び車いすである。看護師さんが押してくれる。手術中緊張していたのでかなりの疲労感があったので車いすはとてもありがたかった。
ちなみにカテーテルを通した手首の傷は動脈につながっているのでラスチックのリストバンドみたいなものを傷の上からあてて、空気圧で抑えて止血するという道具を使用する。1時間ごとくらいに看護師さんが来て傷口のふさがり具合を見ながら徐々に空気圧を抜いていくという処置を行う。
ここで困った問題が、、
左手首の傷口がかなり痛むのである。というのは今年の3月末にスキーで左手首を骨折しており、骨の接合に左手首にチタンのプレートを埋め込んであるのだがそのプレートを抑えて止血しているのでプレート部分と傷口が当たってそこがしくしく痛むのである。あまりに痛いので最初は飲み薬をもらったがぜん効かない。しょうがないので筋肉注射をしてもらったのだがやはり軽減されず、1時間くらい痛みに耐えていたのだが、空気圧を少し抜いたら嘘のように痛みがなくなった。
手術終わった日は終日、心電図のモニタリング機器と、点滴を入れないといけない(心臓の血管の画像をモニタリングするために造影剤を体内に入れるのだがこれがあまり腎臓に良くないので早めに体外に排出するために点滴を大量に打ち続ける。)のと先述した手首の止血器具をつけていないといけないでちょっと動きづらい状況だが2日目にはすべて取り外されてしまってそうするとほとんど健常者である。とはいえ感染リスクもあるので入院しなくてはならず結構持て余す感じになる。
2日目の午後に手術を担当した先生が病室にきて冒頭の写真を持ってきて簡単に処置内容を説明してくれる。血管は復旧したとは言え、心臓の筋肉は血が通らなくたったダメ―ジを受けている部分もあり、完全にもとには戻らないということである。金沢マラソンの件をおそるおそる聞いてみたが、NGではないような口ぶりであった(これについては別途詳しく書こうと思っている)。
あまりに2日目が暇すぎたので3日は朝一番で退院した。