働かない(働けない)おじさん問題を考える
いろいろなところでくすぶっているこのテーマについて、渦中の世代のヤマキンが書いてみたいと思います(あ、今年還暦になります(笑))
働かないおじさんって
窓際に座って、終日ボーっとしている人とか、PCに向かって仕事をしているふりをしているけど、実は終日SNSを眺めている人とか、それでいて給料はそこそこ高そうなので職場の若者のひんしゅくを買っている人!!というイメージでしょうか?
実はこの働かないおじさん問題。
私の知る限り20年以上前からありました(笑)。
私が35年くらい前に新卒で最初に入った職場は会社が急成長していたのでそもそもおじさんの年齢の方が少なくて50歳代の人はほとんどいなかったので目立たなかったようです。
次に転職したのはベンチャー上がりの会社。私が入社したのは今から25年くらい前、この会社もやはり急成長していたので、50歳代の人はほとんどいない状態。40歳後半の人が取締役とか部長とかになっていましたが、会社の中枢ポジションに何名か働かないというか働けないおじさんがいたのでとっても大変でした。何が大変かというと判断をかなりの確率で間違ってトラブルを悪化させてしまうんですね。困ったことにこういう人は能力はない(働けない)けどやる気は妙にあったので、なんでもいろいろ口出しするのですけどことごとくトラブルを悪化させてしまいますので本当に迷惑だったことを記憶しております。
3社目の老舗の情報通信メーカーに転職したのは20年くらい前ですが、ここには働かないおじさんがたくさんいました。この会社は恒常的にリストラしていたので働かないおじさんは退職勧奨のターゲットにされていました。当時何人かのその当事者の方とお話しましたが、「昔は、自分たちが若い時に安い給料で働いて会社を儲けさせて、年取ったらご褒美として窓際の席で楽させてもらえるはずだったのに、不公正だ!!」みたいなことを言っていた記憶があります。
あと3年前まで10年間、パラレルワークしていた国立大学には働かないおじさんがたくさん!!これは本当に困りました。実害がありすぎてここでは書くのもはばかれるくらいです(笑)。
働かないのではなく働けないのかも??
という印象も私は持っています。
「働けない」という点で言うと以下の3つがあるように思います。
①集中力が8時間も続かない
50歳過ぎると体力的に集中力を持続させるのがきつくなってきます。昔のように体力勝負で働くことが難しく、特に細かい事務作業については老眼も進んでいるのでかなり厳しくなっているという状況です。
②新しいことに取り組む気力がわかないので新しい仕事の進め方についていけない
IT系の新しいツールについていくのがかなりきつくなります。若い時なら感覚的に習熟できたものになかなかついていけません。ヤマキンは比較的そうしたものについていけている方だと思いますけど、スマホの入力はめっちゃ遅いです。
そうした中でDXなどで新しい仕事の進め方が導入されるとそれについていけずに落ちこぼれかかってしまうことがあります。こういう時に何が何でもついていかねば!とはならずに「もういいや・・」みたいな感じであきらめてしまうことが増えてきます。最初はちょっとしたところで落ちこぼれるのですがこれが積もり積もって、あきらめ癖がついてしますといつの間にか実は完全に落ちこぼれてしまうということになってしまうようです。
③職場で孤立していて仕事が回ってこない
そんな感じでやっていると職場でういてしまい、徐々に重要な仕事から外されて行ってしまいます。そうすると見事に働かないおじさん認定の出来上がりです(笑)
「今日の仕事は楽しみですか?」が炎上するという・・
前に品川駅で下記の広告を載せた会社がめっちゃ炎上しましたけど、
これについてはいろいろな見方、考え方があるのは承知していますけど、炎上するということと働かないおじさんを生み出す社会構造は無関係ではないのではと思っています。
仕事に楽しみが感じられないという・・
「ヤマキンは仕事は好きですか?」と問われると、おそらく「めっちゃ好き!!」ではありません。自分で好きなように会社やっていてそうなのか??と突っ込まれそうですけど、「嫌いじゃない」というのが本音です。
なぜはたらくのか?お金を稼ぐため・・それもあります。お金がないと、生きていけません。なので生きるためには働かないといけないのですけど、じゃあ、生きていけるだけのお金があったら働かないかといわれた場合はどうでしょうか?そこについてはしばらくはNOです。
仕事というか働くことを通じて社会と関われている実感や役に立てているという自己効力感みたいなものはおそらく働くことを通してしか得難い部分があって、それがない人生は過ごすにはまだ早いのではという想いを持っています。
勘違いかもしれませんけど、まだ何かの役に立てているのでは?という想いがあるうちは恐らく働くことを辞めない、というかあきらめないのではと思っています。
いまこうやって書いていて「あきらめない」という言葉が自分の中から出てきたのですが、どうもこのあきらめないという感覚があるから、仕事に向き合えるし、そのために前向きに思考し、行動し、学ぶことができるのではという気がします。
例えば講演を頼まれると、やはりせっかく時間を割いて聞いてくれる人がいるのだから、少しは役に立てるように準備しようと思って資料を整理したり、思考のまとまっていない部分やデータの足りない部分を調べたりするわけですけど、こうやって考えると働くというのは何かの部分で他人の役に立てているよ感じられること(勘違いかもしれないけど)があるから働くことをあきらめられないのかなあということですよね。
働かない、働けないおじさんって
実はこの部分についても誰かの役に立てているという実感が乏しく、それがますます「どうせ自分なんて・・」という自虐モードに拍車をかけているような印象があります。
実は上記の「今日の仕事が楽しみですか?」というコピーが炎上したとき、「えっ??」という印象を受けました。
うまく言語化できていないのですけど、自分自身の中には少なからず毎朝、わくわくの気持ちをもって仕事に向かっているような気がして、そういう意味ではそんなに違和感を感じていなかったようです。
自分の会社作って、好きな仕事しかやっていなければそりゃそうでしょうという見方はあるのかもしれませんけど、これって自分の中で仕事を面白くする工夫もしている部分もあると思います。
どうせやらなければならないんだったらこんな風にやってみよう!!みたいな考え方で取り組むとそこにいろいろな工夫を入れる楽しみが生まれ、取り組んだ結果に対する喜びが生まれるのではと思います。やらねばならない仕事にいやいや向き合って働くことが毎日続くとするとそりゃ確かに「楽しみですか?」なんて聞かれるとイラっとすることはわかりますけど、「今日の仕事が楽しみですか?」というコピーを非難する日本の働く人ってなんて不幸なんだろうと思ったりします。
っでこんな感じでやっていたらおそらくできるだけ手を抜いて少しでも楽に働けるようにしか考えなくなってしまうのはある意味当然かもしれません。考えてしまうと「なんで自分がこんなことをやらされるのか?」みたいなもやもやがたくさん出てしまうので何も考えずにただ作業する・・そうすることによってやり方を工夫するというような考える機会もどんどん失われてしまい、結果的には世の中の変化に取り残されてしまう。
気が付けば働けないおじさんの仲間入り・・
仕事が楽しめない
→やらねばならないことをいやいや最低限しかやらない
→能力が高まらないし、経験の幅も広がらない
→働けないおじさん化
→職場でひんしゅくを買いまくり
→リストラ
こんな図式が現在の日本の企業のあちこちで起きているような気がします。
そりゃ、こんな図式の会社で働きたいなんて若者はおもいませんよね!!若いうちはイラっとするし、年取ると邪魔者扱いされて最後は定年前にリストラされるわけですから・・
ということで同世代の人が中心のベンチャー企業やスタートアップ企業に若い人がどんどん流れていって働けないおじさんがいる会社の人気はどんどん下がっていきます。
どうすれば働かないおじさん問題をなくせるのか??
1.イクメンになる。
これは有効なのではと思っています。というか、今のエクゼクティブ層の優秀な人材って女性がどんどん増えているんですけどこれって育児を経験しながら仕事を続けてきているからではと思っています。北陸人材ネットでもワ―ママが何人もいますけど、子育てしながら働くって本当にすごいなあと思っています。優秀な働き手ほど、ロジックとフレームワークで課題をビシバシ解決してビジネスで成果を挙げてきているわけですけど、これらの得意技がほとんど通用しないのが育児なんですよね。自分の得意技を封じられた状況で24時間向き合わねばならないのが育児だとするとこれはある意味ものすごいパラダイムチェンジをしないとどうにもならない状況になっているわけで、その中で柔軟さとしなやかさと、良い意味での割り切りを持てるようになっているのではと思っていて、これらがもともとのハイパーなビジネススキルに加わることでハイパービジネスパーソンになっているのではと思います。
一方今の働かないおじさんは積極的に育児に参加していない世代が中心です(私もそうですけどそもそも子なしでした)。仕事だけしていればOKという価値観の中で、硬直化した思考とスキルが上述した過程で働けないおじさんになってしまっているわけですから、イクメンになってかっつり子育でに参加することでそれは防げるのではないかという気がします。
2.パラレルワーカーになる
これも結構効き目あるのではと思います。副業すると企業文化の異なるところでの経験の幅が増します。一元的な価値観でなく複眼的に物事を見る習慣ができます。これは思考の硬直化を防ぎ、変化に対する柔軟性を高めるうえでとても効果があるのではと思います。副業を長期間、副業先をいくつか変えて続けていくとよい良い結果が生まれるような気がします。
とまあここまで書いていたのですが、個人の防衛策としてこういったことを挙げることはできるのですが、そもそも企業の仕組みに欠陥があるので働かないおじさんがどんどん生まれているのではという気がしていて、企業の人事制度をどのように変えていくべきかについては私自身も有効な解決策を見出すことが現時点では見いだせていません。最近はやりのジョブ型は働かないおじさんの賃金がどんどん高くなることを防ぐしくみとしてはちょっと良い気がしていますけど、役割の固定化という点では若年層からの働かないおじさん化を促進してしまいそうな気もしており、特効薬とは言い難いのではと思っています。
結局は「仕事を楽しく」かなあ??
「夢中は努力を凌駕する」という言葉が私は好きだし、自分もそうやっている方が楽しいし、会社の中で仕事に夢中になれる環境づくりが経営者の仕事だと思っていて、試行錯誤を続けているのですけど、結局は「仕事を楽しく」に尽きるのかなあという気がしています。
別の切り口で整理すると下図のイメージかなあ?
ヤマキン的にはマズローの欲求段階説とハーズバークの2要因理論って下図のように相関関係があるような気がしていて、下位層で仕事している人たちがどうやら働けないおじさんになってしまうのではという気がしています。
この図で置き換えると欲求段階を承認欲求に高めつつ、やりがいの感じられる仕事につくということになるんですけど、こうやって書いてみると気づいたことがあります。
これって人のマネジメントそのものじゃないか!!
ってことですね!!
こうやって考えてみると高度成長期を終え、成果主義という結果のみを重視し、結果を出すためだけのマネジメント(チェック&コントロール)が強化されてきたこの30年くらいの日本の人事制度と働かないおじさん問題がクローズアップされてきた時期が重なっているんですよね。
メンバーのやる気とやりがいを引き出すマネジメントが行われ、皆が「仕事を楽しく」できる職場を増やすことが「働けないおじさん問題」には有効だ!!という事でしょうか??
仕事を楽しく!!
当たり前だけど重要ですよねというお話でした!!