南インド チェンナイへ行った。
インドへ行くきっかけは
昨年、インド在住の日本人のMさんが一時帰国中に、共通の知り合いを通してお会いした。Mさんは南インドのチェンナイに住んでいて、現地で積極的に文化交流や日本語ボランティアなどの活動をされていた。 その方から「是非インドへ来て水引を紹介してほしい」とお誘いをいただき、今年は2回インドへ行くご縁をいただいた。
今年2月。はじめてのインド。今回は水引の話というよりはインドの話をしたい。
インドと一言で言っても…
インドといえばタージマハルをはじめ観光スポットが多いニューデリー、インド映画の中心地ムンバイ、ヨガの聖地リシケシ、ガンジス川から登る朝日が見れるバラナシ、詩人タゴールが生まれた町コルカタなど、北インドをイメージする人が多いと思う。
南インドは西海岸側はビーチリゾートで有名なゴア、アーユルヴェーダの中心地ケララ、そしてさらに南に下ってインド最南端のカニャークマリはアラビア海、インド洋、ベンガル湾に接し、巡礼者も訪れる聖地やパワースポットと言われている。
そして東海岸のチェンナイには世界で2番目に長いというマリナビーチ。内陸に行けばバンガロールやコインバトールなど、とても広くて紹介しきれないし私はまだ2都市しか行っていないので、いつか訪れるその日が来たらガッツリ書きたいと思う。
北インドへ行って体調不良になったり、街の汚さやインド人のしつこさにウンザリして、もうインドはこりごりという人が多いが、私は幸い入り口が良かったのでインドが大好きになった。
チェンナイへ行って初めて知ったこと
・ベジタリアンが多い。ヒンズー教の人が牛肉を食べないのは知っていたけど、ベジタリアンやビーガンの人が多い。食品のパッケージには必ずベジタリアンかノンベジタリアンを見分けるマークが入っている。(下の写真のパッケージの隅にある緑の日の丸のようなマークがベジフードのマーク)
・チャイも飲むけどコーヒーもよく飲む。コーヒーの生産世界第5位のインド。コーヒー栽培に適した西ガーツ山脈は栽培が盛ん。
・長く住んでいる外国人でもほとんど自分で車を運転はしない。みんなタクシーかお抱えドライバーさんに送迎してもらう。事故ったら最後、全て自己責任なんだそう。(もらい事故でも! 恐ろしい…) ほかのアジア諸国と比べてもずば抜けて交通事情は最悪! 絶対運転したくない! ちなみに路線バスには窓もドアもない。
・1日に5食くらい食べる。おやつが山盛り&甘々でオイリー。
・ナンは食べない。よく日本でインドカレー屋さんに行くとセットで出てくる「ナン」。南インドではチャパティ、ドーサ、パラタ、プーリなど、薄焼きのパンがたくさんある。ほとんどナンは見かけない。そして「ミールス」と呼ばれるたくさんの惣菜が並ぶ定食のようなスタイルで、パラパラのライスと惣菜を混ぜながら手で食べる。アーユルヴェーダでは甘い、辛い、酸っぱい、塩っぱい、苦い、渋いの6つの味覚を大切にする。南インドのミールスはこの6つの味覚のバランスが取れたインドの定食。ローカルのレストランへ行くとバナナの葉の上に惣菜やカレーを少しずつ盛ってくれて、なくなればどんどん追加してくれる。 椀子そば状態。 バナナの葉をたたむと「もうお腹いっぱいです」となる。
・いわゆるインド語ってヒンディー語のことを指すのかと思っていたら、インドの公用語は22種類もある。(その数も曖昧らしい…) 今回は日本語か英語ができる人ばかりだったので助かった!
・日本では想像できないような富豪が本当にいる。
滞在させてもらったMさん宅の裏にモスクのような建物があるなーと思っていたら、それは個人宅だった!メイド、コック、ドライバーがいるのは当たり前。車を回すロータリーもあって、めちゃくちゃ大きいお屋敷だった。 そしてホテルにランチ行けば、品のいい装いのインド人達がお食事をしてる。 でも事実、カーストの名残も色濃く残っていて、教育の機会に恵まれない人や職業が選べない人も多い。一言で言えば「上を見れば天井知らず、下を見れば底がない」。
下の写真はチェンナイで指折りのホテル「ITC Grand Chola」のロビー。この日はちょうどバレンタインだったのでフラワーアレンジメントがハート。しかも全部生花。翌日にはまた別のアレンジメントに早変わり。
・外資系企業が進出しづらい。
マクドナルドもKFCもない。もちろんコンビニもない。自国で自給自足を美徳とするインドでは外資系の企業がガンガン入ってくることはあまり良しとされないようで、特に飲食業界は顕著だと感じた。そりゃ牛肉を食べない国に牛肉ステーキ屋さんは無理だろうけど、全般的に障壁を感じる。
他にもあげればキリがないのだけれど、私が今まで行ったアジアのどの国とも全く違う異世界だった。それだけにカルチャーショックも多かったけど、感動も多かった。
Tara Books (タラブックス)
時間がない中で「せっかくチェンナイへ来たのだから」とMさんがいろんな所へ連れて行ってくださった中で、私がとてもワクワクした場所はTara Books 。
タラブックスは1994年に設立されたハンドメイド絵本の出版社。
インドの民俗画家による絵を手刷りで印刷し、職人が糸で製本した工芸品のような贅沢な絵本。
日本にもファンが多く、度々展示会が開催されている。大型書店へ行くと日本語版のタラブックスの絵本を取り扱っているところもある。子供向けの絵本コーナーより美術書などのコーナーに置かれていることが多い。気になった方は本屋へ行った時に手にとって見てほしい。鮮やかな色使いと独創的で型にはまらない本の形、手刷りに適した厚みのある紙、手縫いで製本した温かみのあるなんとも言えない絵本は一度見たら忘れられないと思う。
チェンナイにあるこのタラブックスの建物はギャラリースペース、編集、ミーティングスペース、絵本作家たちのレジデンススペースからなる建物で、製本はまた別の場所で行なっているとのこと。訪れた時、ちょうどスタッフがいて隅々まで案内してもらえた。
Mehndi (メヘンディ)
そしてもう一つインドに行ったらやりたかったこと、「メヘンディ」。
メヘンディとはヒンディー語で「ヘナを使い肌に模様を描く」「肌の表面を染めていく」という意味なんだとか。インドが発祥と言われているが、ネパールやインドなどの西アジアから中東や北アフリカまで広い地域で用いられている。
お祝いの席、特に結婚式で花嫁が施すことが多く、花嫁が嫁ぎ先で幸せに暮らせますようにと、願いを込めて両手両足にびっしりメヘンディを施すのだそう。
私も両手にびっしりのメヘンディに憧れてトライ!
しかも at the salon ではなく、 on the street で!
結婚式の前にはメヘンディ屋さんに自宅まで来てもらい両手両足に描いてもらうのが普通だそうで、同席の親族も一緒に描いてもらうことも多いらしい。
メヘンディのお兄さんは「どんなのにする?どこまでやる?」と写真を見せてくれて、「こんな感じで」と選ぶとフリーハンドで一気に描く。両腕表裏でトータル20分程度。スゴイ…。
両手にびっしり描いてもらった後に「なるほど、これは家でやるのが1番だな」と思った。 ヘナはすぐには乾かない。乾くまでひたすら動かずに待たないといけないのだ。施術が終わって料金を払うにも財布を自分で開けることもできず、タクシーのドアも開けられず、Mさんの助けを借りながら帰宅した。 乾くとポロポロと剥がれ落ち色素が肌に残る。体温が高い場所ほど濃く色素が入る。
ヘナが剥がれ落ちてすぐは上の写真のようにオレンジがかった茶色で、2〜3日で濃い茶色になり、だいたい2週間から10日で消える。インドにいる間どこに行っても「綺麗なメヘンディですね!」って声をかけられて嬉しかった。また行く機会があったらやりたいと思う。
Parry’s corner (パリーズコーナー)
現地に知り合いがいないとなかなか行けない場所に行くことほど楽しいことはない。 パリーズコーナーはジュエリーショップやビーズショップ、結婚式の招待状専門店やギフトパッケージ専門店などが軒を連ねる問屋街。
目印になるものを覚えていないと同じお店に戻れなくなるほど、様々なジャンルのお店が続く。暑いし埃っぽいし、インドに来たなー!って感じで私はテンション上がったが、好き嫌い分かれる場所かもしれない。
インドの結婚式
これはなかなか見る機会がないと思うので紹介しておきたい。
日本語学校に訪れた際に若い先生が「来週結婚式があるので是非いらしてください」とご招待状をいただいた。表紙は言わずと知れたガネーシャ。
そして中は神様のオンパレード。
そしてページをめくっていくとやっと結婚式のご案内。
派手で豪華なこの招待状はインドでは結婚証明書になるらしく、仰々しく立派な方が良しとされるらしい。今回見せていただいたものはかなりクラシカルなタイプで、もっとウェスタンスタイルなものもある。インドも広いので地域によってスタイルが違ったり、お家柄によっても違うようだ。そして結婚式の招待客は500人とか800人はざらで、1000人規模も珍しくない。
いわゆる日本で言う披露宴のようなタイムスケジュールはない。招待客は各々好きな時間に来てひな壇の上の新郎新婦にお祝いの挨拶をしたり、写真などを撮ったりする。会場も自ずと広い場所になり、だいたい体育館みたいな感じ。
そして派手。下の写真は出席された方からお借りした。
会場が混んでいる時の時間つぶしにアクティビティも用意される。メヘンディ、似顔絵、バルーンアートなどがあるそうだ。
そして好きな席に座り食事をして食べ終われば帰る。
実はインドにも結婚式でご祝儀を渡す文化がある。その話はそのうちまとめて書く。
全く水引とは関係のない「インド楽しかった」の日記になってしまったが、せっかくご縁あって訪れた魅惑の地インドのことを記しておきたかったので書いた。
次こそは文化交流の水引インド旅の様子を書こうと思う。
最後までお読みいただきありがとうございます。