やたら強かった爺さん
今回は、私の祖父の話です。
母親が産休明けにすぐ働き始めたこともあり、日中私は近所の祖父母に育ててもらいました。
乳母車をひいていたのは、主に祖父だったそうです。
祖父は、明治生まれで身長178㎝と大柄でした。とにかく元気で、私を育ててくれた期間中に病気になったことはありませんでした。
ただし、外でお酒を飲みすぎて、知らない人に家まで連れて帰ってきてもらったり、警察のご厄介になったり、ひどいときはリアカーに乗せられて帰ってきたりと、かなりいろいろとやらかしていました。
なぜ、祖父がそれほど元気だったかといえば、無意識に体の手入れを一生懸命していたことが大きな理由だと思います。
私を育てるようになった60代後半の時から、自分も元気でいなければいけないと思い立ち、手足の指もみと全身をさするといった手入れを毎日1時間くらいしていました。
その内容は、誰から教えられるともなく、自然と思いついてやっていたそうです。
非常に動物的です。。。
私が気功の本に出合ったのは中学2年で、その本に書かれていた「万病に効く方法」がありました。
その内容は、まさに祖父がやっていた指もみと体をさするという方法でした。
当時は、なんで私の祖父が気功を知っているのかと不思議に思っていました。
私が覚えているのは、小学校低学年の頃、祖父がよく私の手足の指をもんでくれたことです。とても気持ちよくて、いつの間にか寝てしまうことがよくありました。
そんな祖父ですが、一度だけ脳梗塞になって危険な時がありました。
私が就職で東京に住み始めた一年目のある日、夜21時ごろに父親から電話がかかってきました。
「おじいちゃんが脳梗塞で意識不明になっている。医者は、今夜が山だと言ってるけど、お前は明日の朝でも帰ってくるか?」
祖父は、すでに脳梗塞で発作が出て暴れている状態。高齢で手術はできないため、経過観察。
すでに夜21時を過ぎているので、新幹線で帰ることもできません。
普通なら、始発で大阪まで帰るのでしょうが、すでに気功を何年もやっていた私は、祖父の脳梗塞を治せないかと考えました。
その場で、祖父を思い浮かべて祖父の頭の中を手で探ってみました。すると、左脳側にはっきりとした違和感を感じました。
「あ、これが脳梗塞の部分だ。」
と直感的にわかりました。
そこで、父親にこう言いました。
「今、じいちゃんの頭の中に違和感があるのがわかったから、これから気功で取り除いてみるよ。脳の他の場所はすっきりしてるから、その部分だけ取れたら脳梗塞治ると思う。」
「あ、そうか。じゃあやってみて、駄目だったら明日始発で帰ってきたらいいよ。」
父親も気功をしていたので、私の言っている意味をすぐに理解してくれました。
電話を切った後、早速祖父の頭の違和感を取るために、気功を始めました。
気功は目の前に人がいなくても、相手の状態を把握できれば治療ができるという、なんというか、リモートワークの先駆けみたいなことができます。
最初、祖父に気を送り始めた時は、目の前に壁があって押し返されるような感覚がありました。しかし、10分、20分と気功を続けていくと、突然フッと目の前にある障害物が取れて、すっきりと通り抜けていく感覚が出てきました。
30分立つ頃には、祖父の頭の中にあった違和感は完全に無くなっていました。
祖父の状態が良くなったと確信できたので、父親に電話で状況を伝えました。
「頭の違和感取れたから、じいちゃんはもう大丈夫だと思うよ。明日の朝、意識戻らないなら大阪帰るけど、そうじゃなければ会社行くよ。」
「おー、そうか。良かった。じゃあ、意識戻らなかったら連絡するから。」
ということで、私はいつもの時間に寝ました。
次の日、早朝に父親から電話がありました。
「おじいちゃん、意識戻ったから。なんの後遺症もないから、帰ってこなくていいよ。」
「あ、よかったよかった。ちゃんと気功が効いたね。じゃあ、会社行くよ。」
脳梗塞の次の日、祖父は病院で普通に目を覚まし開口一番
「お前ら、何でおんねん?」
と、集まった家族を見て不思議そうにつぶやいたそうです。
そろそろ、亡くなったかと思ってやってきた医師は、祖父がなんの後遺症もなく普段通りなのを見て、
「元気なおじいさんですな。意識戻りましたね。」
と、動揺しながら話して、すぐにいなくなったそうです。
ちなみに、祖父は脳梗塞になっている間、意識はありませんが暴れていたそうです。看護婦さん3人がかりでも抑えきれなかったので、拘束服を着せられてベッドにくくりつけられていたそうです。
通常、脳梗塞から回復しても、数日は言語障害や体が動きにくいといった後遺症があるそうですが、祖父は一切何もありませんでした。
私と父親は、その後時間があれば祖父に気功をするようにしたこともあり、祖父は検査入院することはあっても、何の病気も見つかりませんでした。
検査入院中に暇だという理由で病院を抜け出して、家に帰ってお酒を飲んでまた病院に戻ってあまりの酒臭さに怒られたり、自転車を飲酒運転して側溝に落ちて怪我をするなど、色々とやらかしましたが、何の病気をすることもなく、97歳の時に老衰で亡くなりました。
ちょうど亡くなる前日に祖父のお見舞いに行くと、数日前から声が出なくなり起き上がれなかったのですが、手を出した私たち家族にかなり強い力でハイタッチをして、にこにこ笑っていました。
次の日の早朝に亡くなったのですが、病院で亡くなる数時間前に父親の枕元に立って、
「そろそろ行くから。」
と挨拶しに来たそうです。
生前、祖父に私が気功で気を送ると
「お前がそれをしてくれると、わしは勇気が湧いてくる。なんでや?」
と不思議そうな顔をしていました。
明治生まれの祖父に、気功という概念は無かったのですが、気を感じる力だけはあったようです。
こういった家族への気功を通じて、私は気功で病気を治したり、健康を維持できるという確信をもつようになりました。
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