他人の心が読めて、不幸になった人
私の気功セミナーや治療に来られる方の中には、特殊な能力を持った人がいます。
その能力について話してしまうと、
「この人は、おかしいのではないか?」
と思われてしまうため、他人に言えずに過ごしてきたそうです。
今回お話しするのは、
「他人の心が読めてしまう人」
です。
「他人の心が読めたら、人生で得をするのではないか?」
そう思われるかもしれません。
しかし、人に心の中を読まれることは、あまり気持ちのいいことではありません。
また、人の心を読んで行動することで、相手をダメにしてしまうことがあります。
Aさんは、東北地方で三姉妹の次女として生まれました。
父親が早くに亡くなり、母子家庭で育ちました。
母親が炭鉱で働く姿を見て、母親に迷惑になってはいけないと、子供ながらに思っていたそうです。
Aさんによると、小学校高学年くらいから、人の顔を見ると、その人が次に話すことがわかったそうです。
「こういうことを、すればいいんだよね。」
と相手がこれから話すことを、自然と先に話していたそうです。
大人に対して、こんな風に話していると
「子供らしくない、可愛げがないね。」
と、気持ち悪がられたそうです。
学校を出た後、すぐに食堂で働き始めました。
食堂では、ウェイトレスとレジ打ちをしていました。
レジでお客さんを見ると、伝票を見なくても、お会計の金額がわかります。
その人の顔を見ると、金額が浮かんでくるのです。
Aさんは、注文をとった時点でお客さんの顔と注文内容を無意識に覚えていたそうです。
そのうち、お客さんから
「伝票見なくても、金額がわかるの?」
と、不思議がられるようになり、その能力を使わなくなったそうです。
民宿で働いていた時は、お客さんから何を頼まれるか、顔を見たらわかったそうです。
また、女将さんからの仕事の指示も、1を聞いた時点で10までわかって行動すると、
「どうしてそこまでわかるんだよ。気持ち悪い子だね。」
と、厄介者扱いされたそうです。
そういった経験から、Aさんは自分の能力を使ってはいけないと強く思うようになったそうです。
Aさんは、とても素晴らしい能力があったのですが、不幸なことにそれを認めてくれる人がいませんでした。
その後、Aさんは結婚したのですが、旦那さんの心を読んで食事の用意から、お茶出しなど、先回りして行ったそうです。
実は、これが夫婦関係を悪化させる原因になってしまいました。
旦那さんは長男で、大切に育てられてきました。
そのため、家事や家の用事など一切したことがありません。
Aさんがなんでもやってしまうため、
・旦那さんは何もしないことが当然
という状態になってしまいました。
Aさんの体が動く時は良いのですが、Aさんが怪我をして動けなくなると、旦那さんは何をしていいのかが全くわかりません。
また、旦那さんはお茶を台所から持ってくることすらしていなかったので、お茶を台所から持ってくるだけで
・Aさんを手伝ってやった
と、思うようになっていました。
Aさんが80歳を迎えて、体に不自由なところが出てくると、旦那さんからの要求に不満が溜まるようになってきました。
しかし、残念ながら旦那さんは、何もしないことが当然の状態で何十年も過ごしてきたので、Aさんの不満が理解できません。
Aさんは、シェディング被害で数ヶ月寝込んだことがありましたが、旦那さんはお水を持ってくることすら、しなかったそうです。
旦那さんに悪気はありませんが、今まで人を気遣ったことがないので、それすら気づかなかったようです。
旦那さんに落ち度はあるのですが、Aさんは自分の能力を間違った方向に使ってしまい、旦那さんを何もしない人に育ててしまいました。
今は、旦那さんもAさんの手伝いをしないと大変だと気づき始め、台所に来るようになったそうです。
Aさんは、良い経営者に出会い、接客業をしていたら、とても優秀な社員として出世していたと思います。
しかし、残念なことに周りの人間に恵まれず、能力を良い方向に発揮することができませんでした。
Aさんに限らず、人より優れた能力があるのに、使い方を間違えてしまうことがあります。
とても勿体無い話です。
Aさんは私とお話しする中で、いろいろなことに気づかれたようです。今は、どうすればご主人がAさんを手伝えるようになるか、考えているそうです。
写真は、愛犬菜々(シェリーから改名しました)。私が抱っこすると、菜々が笑うというので、奥さんに撮ってもらいました。
確かに、笑ったような顔をしています。