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文化祭をライブ配信する話

学校の備品のみで行った前回の運動会
しかし改善点が多すぎる!!
私物を持ち込めば解決するのに…
  じゃあ持ち込もう^ω^

簡単に配信したい方は前回の運動会、ちょっと本格的に頑張りたい方は今回の文化祭を読んで頂ければと思います。今回は技術の話多めです。実験的内容と思っていただければ。

配信プラットフォーム

前回と同じくZoomです。
その理由等は運動会の話に書いております。
それに加えて、前回と変えないほうが保護者側もスムーズだろうと。

機材構成

今回は2カメ1マイクです。体育館は暗いので、暗所性能の悪い(うちの学校の古い世代の)iPadは今回はカメラとしては使用しません。暗幕全開なら問題無いかと思います。
カメラは2台とも体育館2階通路の後方。ステージから40mと遠いのですが、観客の頭と被るのを避ける為に高さが必要です。また体育館後方に設置されているWi-Fiからなるべく離れたくないという理由もあります。1台は自由カメラ(三脚でカメラワーク)、もう1台は完全に固定(事故ったときの保険)。マイクはステージから20mほど離れたフロアに。

ホスト用PC

運動会に引き続き先生に常時ついてもらい、トラブルが起きないか監視します。

マイク

・iPad 学校の備品
Zoomの設定で「オリジナル音声を有効化」の設定を!言い換えると「人の声だけ通す強力ノイズキャンセリングをオフにする」。これ必ず行ってください。
カメラオフで画面を暗くしておけばバッテリー駆動でも1日大丈夫です。

・指向性のあるエレクトレットコンデンサーマイク
つまり 特定の方向の音を拾う、電源要らずのマイク。単一指向性やガンマイクと表記のあるものが良いですが詳しくは調べてください

イヤホンジャック変換
iPadのイヤホンジャックにマイク出力をそのまま挿しても認識しません。今回は昔自作したものを使用。極性が2種類存在するので、「iPhone対応」や「CTIA規格」と表記のあるものを買うと安心。

・一脚
長い棒ならなんでも。フロアの生徒と同じ高さに置くと私語が入ってしまうので高さを出します。

・三脚+iPadマウント 学校の備品

雑な絵ですがこんなかんじ
ケーブルはたるみ防止で軽く一脚に巻く
床の振動が伝わりそうなら三脚の下に雑巾とか敷く


固定カメラ

 
・たしかこんなやつ
    学校の備品。フル私物だと学校がかわいそうなので採用

・ミニ三脚
   ずっと固定なので安いやつでいいです

・配信用PC

自由カメラ

・Canon HF G20
HDMI出力できるものならなんでも。といっても、事前に試しておきましょう。出力端子は付いていても画面上の表示が載ったままでしか出力できないものもあります。
一眼レフではなくビデオカメラをおすすめします。ズーム操作、録画30分制限、バッテリー持ち時間などで有利なので。

・ビデオ三脚(雲台) Sachtler DV2Ⅱ
これは命。間違っても写真用を選ばないように!動画用は上下左右に動かすと程よく滑らかに抵抗がかかり、綺麗なカメラワークを行えます。3way雲台は写真用、フルード雲台は動画用。動画用は安定性を高めるために重量があります。うちの放送部でも分かっていないようでした。認知度上げたいマジで。
今回は遠くを撮るため高い安定性が求められました。カメラに対してオーバースペックですが少々かまいません。

・HDMIケーブル
miniやmicroなど規格いろいろ。要確認。

・USBビデオキャプチャ
怪しい安いやつでも意外と使えます。高画質を謳うものもありますが、そもそも配信で画質落ちるので…。音声は入らないものがほとんどです。

・USB A-C 変換
パソコンにType-Cしか無かったので用意。

・リモコン(ズームデマンド)
カメラ本体に触れることなくズーム操作。手ブレ防止です。

・配信用PC
県から配られた生徒用パソコン
これにイヤホンを繋いで、配信のモニタリングも兼ねました。たまに聴いてトラブルがないか確かめます。

一眼レフならUSB接続でウェブカメラとして認識するユーティリティが各社配信されており便利です。(例:Canon webcam utility)学校のパソコンは大抵ソフトウェアダウンロードが制限されていますが、それが無ければおすすめです。ただ一点、バッテリー切れには注意。

三脚とカメラのみ置いたところ。通路が狭すぎるので危ない置き方になってしまいました。ここにPCやケーブルが追加されます。体育館センターラインにきちんと合わせましょう。1m左右にズレただけで映像に違和感が出ます。


学校ではあまり写真を撮れないので自宅に戻りまして、ケーブルはこんなかんじ。電源とリモコンとHDMI。カメラを動かしてもコネクタに負担がかからないように1周まわしています。


HDMIキャプチャ。テレワークが拡大する前は500円強で買えました。オンライン会議をレフ機等で行おうとする人が増えたため、需要と共に価格も上がりました。そういえばレフのwebcam utilityが登場したのもこの頃ですね。


パソコンに挿せばウェブカメラと同じように認識します。つまりUVCで映像を取り込んでいます。


リモコンはこんなかんじ。古い三脚に付属していたものを強奪・改造したものです。可変ズームスピード。接続は2.5mm3極 超ミニプラグ(LANC端子)。

当日までに済ませること

保護者向け文書。これは運動会のときと同じ。ただ、ミュートの図を入れるなどしてより詳しくしました。

私物持ち込みの許可を取りましょう。許可といっても担当教師との口頭確認ぐらいで十分ですが。面倒な先生に「不要物じゃないか没収だ!」と言われたときのための保険です。
壊れたときの責任が〜と言われたら、全て自己責任でかまいません 私物の機材でないと実現できません と押しましょう。と同時に、自己責任の覚悟を決めます。学校は何があるかわかりません。

機材置き場の確保。大量かつ高額な機材を保管する場所は重要です。リハ等で日を跨いで学校に保管する必要が出てくるはずです。おすすめは生徒会室。生徒会室ってどこの学校でも無法地帯で使い放題な気がします。

場所取り。放送部が記録映像を撮るなど、被る可能性があります。事前に確認したり三脚のみ早めに立てておいたりしましょう。
また、コンセントも確認しておきましょう。バッテリー駆動は何かと不安なものです。うちの体育館2階は何故か舞台用のC型コンセントしかありませんでした。1階から延長です。

音声の確認。運動会とは異なり、文化部の発表などで音質も重要になってきます。ステージとカメラが離れている場合はマイクを別の位置に設置するなどしましょう。またカメラとマイクが離れていれば四六時中息を殺してカメラワークを行う必要が無くなるので気が楽です。気軽に「ふぅやれやれ…」などつぶやけます。
ちなみに、学校のライブ配信で流れる音楽の著作権は問題ないと文科省が発表しました。

ひとり機材リハーサル。なるべく早めに行いましょう。自宅で繋いでみるだけでも。なにか追加で購入する必要が出てくるかもしれません。

リハーサル。ステージリハーサルも数回行われるはずなので、その都度立ち会いましょう。毎回カメラを回さずとも、全体の流れを頭に入れておくと当日スムーズです。

zoom配信のミーティングIDとパスワードはコピペできるようにメモアプリに入れておくと便利です。

各担当教師と打ち合わせ。特に部の発表は、ここはこの人にズームインしてほしいなどこだわりがあるかもしれません。部員たちの晴れ舞台ですから、要望はたくさん聞きましょう。

カメラワーク計画作り。ざっくりメモしておくと安心です。アナウンス「それではスタート!」で右入口から仮装した生徒会長が入ってくる…など。
僕の場合は吹奏楽部を完璧に撮りたかったので、こんな進行表を作りました。テープで手すりに貼ると見やすいです。

吹奏楽部の配信は本当に力を入れたので別記事にまとめました。

配信におけるカメラワーク

ズームイン・ゆっくり・滑らか

配信では、低画素・低フレームレートになりがちです。これは、大きくズームインしないと配信ではよく見えないこと・速いカメラワークは連続手ブレ写真のようになることを意味します。だからといってズームばかりしていると見る側も疲れますが。ゆっくりと舐め回すように、計算された一筆書きのように、見せたいところを的確に切り取っていくことが大事です。
滑らかなカメラワークを行うことは配信以外でも基本です。

こちらは極限までゆっくりと動かした例。流石にゆっくりすぎました!落ち着いた曲調ですし配信画面越しに我が子の写真を撮れて良かったという声もあったのでヨシとしましょう。

吹奏楽部の記事では実際の動画を多く交えながら解説していますので、ぜひご覧ください。

当日の流れ

朝は体育館が開錠してすぐ現場入りです。前日にある程度セッティングしておけるならベスト。早め早め!

開会30分前には配信を開始しておきましょう。保護者側に余裕を持たせるためでもあります。ネタバレしたら嫌なので、ずっと客席を映しておきました。

あとはリハ通りやるだけです。頑張れ。カメラワークがわけわからなくなったらとりあえずズームアウトして全体を映しとけば大丈夫。まず落ち着こう。慌てて映像が乱れるよりマシ。

撤収まで怠らずに!本当に疲れ切ったら物をよく落とします気をつけて笑

総評

各所からお褒めの言葉を頂きました!密を避けるために1年生は教室でパブリックビューイングという形だったため、全校生徒の3分の1は私の映像を見たということです。そこに保護者も加わり、計600人超えの人に届きました。いや、すごい。
個人的にはまだまだ至らぬ点がありましたが、ひとまず成功と言って良いでしょう。

反省

カメラワークについていろいろ言いましたが、実際私にとって満足のいく結果とはなりませんでした。多少は経験もあり機材も私物をフル投入し自信はあったのですが…。
距離が離れすぎていたのが失敗の一因です。左右20°の範囲でちまちま操作するわけですから、難しいわけです。20°って三角定規のいちばん鋭いところよりも狭い角度です。1/3型CMOSで4.25mmから光学+デジタルズーム40倍まで使用したので、35mm版換算で30mm〜1215mmです。そりゃ難しいわけだ。三脚の構造上のねじれやズームリモコンの僅かな遅延さえも気になるレベルでした。
さらに、可変ズームスピードとはいえ16段階しかないので違和感はありました。民生用の限界。予算が3000万円ぐらいあれば大型雲台に箱レンズを…
そして、テンションが上がるとついついカメラを動かしてしまいます。後から見返すと、忙しすぎてうるさいよと思います。

初めからわかってはいましたが、来年はここまでガチの配信は行えないでしょう。重要な機材は全て私の私物で、来年にはもう卒業しています。自分で言うのもなんですが、ここまで機材に詳しくて楽譜も読めて技術も持ち合わせており行事に全てを捧げられる人は他にいないでしょう。来年も同じようにやりたいなら僕を呼ぶか業者に頼んでください、と先生に言いました。持続可能でないことをやってしまったという後悔は微妙にあります。

やっぱりガチ機材への憧れはあります。もし予算が無限にあるなら…CanonのXF605なんかを8台ぐらい設置して、Ronin2をリモートコントロールして、12G-SDIでATEM Television Studio Pro 4Kに繋いでBlackmagic Web Presenter 4Kで配信…したかったです!
程よく予算があるなら…僕ならこうする、というのをメモ程度に書き残しておきます↓
・配信機材をレンタル(Panda studioさんがおすすめ)
・配信スタッフを生徒から募集する


情熱を詰め込んだ結果、かなり長くなってしまいました。ここまで読んでくださり、ありがとうございます!この奮闘の痕跡が誰かの役に立てたなら幸いです。

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