靴下
足の指の形は、親指が一番長いエジプト型、人差し指が一番長いギリシャ型、親指から中指までほぼ同じ長さのスクエア型と大きく分かれているらしい。わたしは典型的なエジプト型で、親指から小指まで大きい順にきれいに斜めに並んでいる。
中学校の校則で
「靴下は白。ライン・柄入り不可。ワンポイントは可」
というやつがあった。
白いソックスで、片側にポイントが1個ついているのはOKで、両側に2個ついているのはダメという、片方についても良いマークが両方についていてはいけない理由がよくわからない、なんだか意味不明なものだった。
足の親指がいちばん大きいと、靴下の親指部分がすれて穴が空きやすい。東北地方で言う「おはよう靴下」がよく発生する。
靴下を左右入れ替えて履くと、親指があたる回数が減り、穴が空くのが少し遅くなる。校則のワンポイント靴下は、常識的にはマークが外側になるよう靴下を左右固定して履かなきゃならないので、親指があたる部分も固定され穴が空きやすい。両側にマークがついていれば、左右入れ替え可能だ。
何かのきっかけでその話題になり、当時別の中学に通っていた友達も親指大きいタイプのために靴下の穴に困り,先生に両側ポイントの靴下も認めてほしいと談判に行ったそうだ。同じ気持ちの生徒が大勢いたこともあり、結果、靴下の校則が変わったそうだ。ひとりの生徒から校則を変える働きかけができるのだ。素晴らしい。
そのころのわたしはといえば、穴が空くのがイヤで、マークが外側になろうと内側にこようと構わず、左右入れ替えて履いていた。しばしば級友から、
「靴下の左右が違ってるよ」
と指摘され,
「わざとだよ」
と答えていた。
人間って中学生のときすでに物事に対する姿勢がもう決まっているもんだなと思った。