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沖縄の屋根ってなんで赤いの?
首里城復興を見に沖縄へ行ってきました
先日、屋根屋さん達と一緒に沖縄に行ってきました。目的は5年前に焼失した首里城の復興工事を見学すること。
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沖縄の屋根が赤い理由、知ってますか?
沖縄に来た時に感じる「沖縄だ!」というあの感じ。あれを生み出すものの一つは、青空に映える鮮やかな赤瓦だと思います。
でも、なぜ赤いのか考えたことありますか?
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1. あれは、土に含まれるサンゴの鉄分の赤さ
沖縄の赤瓦は「クチャ」というサンゴを含んだ泥岩が原料です。この土には鉄分が多く含まれていて、焼くと酸化鉄の赤色が出てきます。赤錆びとかと一緒ですね。
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2. 赤瓦は安い。沖縄の気候にも適している。
赤瓦は比較的低い温度で焼けるため、燃料の消費が少なく、生産コストが抑えられるのが特徴です。
また、(意外かもですが)瓦には水を吸う性質があります。焼成温度が低いほど吸水性が高まり、暑い沖縄で"打ち水"のような効果を発揮します。
例えば、スコールのように雨が降って晴れたとき、赤瓦は一度雨水を吸い、それが蒸発します。このときの気化熱が屋根裏の温度を下げてくれるんです。
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一方で、吸水性が高い瓦には「凍害」というリスクがあります。氷点下になると瓦が吸った水分が凍り、体積が増して瓦を割ってしまうのです。
黒瓦の街並みが有名な北陸は寒いので、高温で焼成して吸水性を低くした瓦が使われています。(※黒いのは釉薬の影響もあります)
写真がなかったので、無印の記事↓
3. 赤瓦は庶民の憧れだった?
実は首里城は、これまでにも何回か焼失しています。しかも最初は黒い瓦だったそうで(!)、何回目かの消失の際に赤瓦で再建されたようです。
理由の諸説が、バラバラすぎる(それどころか矛盾してる)。
王朝が財政難だったので、安価な赤瓦を使った
人口増加で薪が不足していたので、少ない薪で作れる赤瓦を使った
赤は高貴な色だったが、赤瓦を作るには当時の最先端技術が必要で、赤瓦は貴重だった
首里城の赤瓦化の理由はさておき、明治時代に入るまでは庶民が赤瓦を使うことは禁じられていたようです。
機能的かつ美しい赤瓦は、庶民の憧れだったのかもしれません。
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沖縄は赤瓦と同じくらい、「漆喰」がすごい
首里城の復興現場を見学して「これ、左官工事じゃん!」って思いました。
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本土の瓦屋根にも漆喰は使われてますが、沖縄は漆喰が"もりもり"です。
沖縄のあの景観は、赤瓦と同じくらい、「もりもりの漆喰」によってできていると思います。
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本土の漆喰の役割は、美観のためと言ってしまってよいです。
一方で沖縄の漆喰は、赤瓦と赤瓦の隙間を埋めて、強風や雨から家を守ってくれる役割が強いそうです。
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竹富島で感じた「観光資源を守る力」
仕事にかこつけて、竹富島にも行ってきました。
竹富島には「沖縄の原風景が残っている」と言われます。実際に竹富島を歩いてみると、赤瓦の家々が美しい景観になっていました。
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これは、竹富島憲章というルールがあることが大きいようです。憲章の中で、家を建てるときは伝統的な建築様式を守ることが義務付けられています。
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さらに、赤瓦で家を建てると竹富島がある石垣市から補助金が出るそうです。
市や島が、家そのものを観光資源と捉え、家の外装(屋根・壁)を守っているんです。
外装は街並みをつくり、街並みは観光資源になる
沖縄に来た瞬間に感じる「沖縄らしさ」。それは、赤い瓦と白い漆喰の、街並みなんだと思います。
そしてこの街並みは、ただ変わった建材を使っているというわけではなく、気候や文化、歴史そのものです。
いまある家を守り、伝統的な建築様式を守ることは、その裏側にある歴史や文化を守り、街並みや観光資源を作ることだと感じました。
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