とにかく前へ前へ書いていく
文章にこだわっていたら進まない。
文章はしゃべるように書く。
いちど書いたらひっこめない。
戻らない。直さない。
先へ先へと進んでいく。
言い換えるのであれば、そのあとに続ければいい。
色気のない文章を書くように努める。
書くことを特別視しているから、こだわってしまうのだ。
じぶんたちを、職人や芸術家と勘違いしてしまうのだ。
きみたちは職人でも芸術家でもない。
きみたちは商売人である。
そういう意味で、プロフェッショナルである。
一語に何時間も費やすのは詩人に任せればいい。
きみたちは、文章でお金を稼ぐのだ。
対価をもらうに値する文章とは、文章それ自体がうつくしいものではない。
文章が、なにかを示していることだ。
文章によってあらわされる何事かに、読者はお金を払う。
ことばなんて無料なんだから、珍重されないのだ。
とにかく前へ前へ書くことだ。
たくさん書くことだ。
さもないとこぼれ落ちていく。
いろんなものを失っていく。
時間はないのだ。
文章を書くのには時間が必要で、
だというのに、一語一語にこだわっていたら一本だって完成させることはできない。