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最後にあわてない、後悔しない生き方の、大事なポイント~アリとキリギリス(イソップ物語)
なぜ、期限がきてから、あわてるのか。計画倒れになって後悔するのか。同じ失敗を繰り返している人に、イソップは、次のようにアドバイスしています。
夏です。
太陽が輝いています。
アリたちは、せっせと食料を集めていました。
やがて訪れる、寒い冬に備えて……。
キリギリスは、涼しい所で、バイオリンを弾いて、歌ってばかりいます。
汗を流しながら働いているアリたちを見ると、ばからしく思えてきました。
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「アリさん、どうして、そんなに一生懸命に働くんだい?」
アリは忠告します。
「あなたは、寒い冬が来ても、その調子で遊んでいるつもりなの? 雪が降ったら、食べ物はなくなるのですよ。必ずやってくる冬への備えをしておかないと、大変なことになりますよ」
「冬? そんなこと、分かっているよ。まだ時間があるじゃないか。今日の一日を、楽しく過ごしてから準備するよ」
キリギリスは、笑ってばかりいます。
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月日は、あっという間に過ぎていきました。
鮮やかな緑色だった木の葉も、濃い茶色に変わり、散っていきます。
そして、雪が降り始めました。
ついに冬が来たのです。
一面の銀世界。
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キリギリスは、おなかをすかせ、寒さに震えながら、雪の野原をさまよっていました。
「そうだ、アリさんの家に行って、食べ物を分けてもらおう」
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アリは、玄関に立ったキリギリスに、
「夏の間、遊んでいたら、冬になったらどうなるか、分かっていたはずです。なぜ、必ず起こることへの備えをしなかったのですか」
と言って、扉を閉めてしまいました。
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私たちも、キリギリスと同じように、「分かっている」と言いながら、確実な未来への備えを怠っていないでしょうか。