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遠隔授業について Ⅰ

 遠隔授業について、考えてみたことのまとめです。Facebookページでは、「友達」にしか公開していなかったので、こちらでも。ⅠからⅣまでで、全部で10000字くらいあります。


 実際に私が試すことができていない段階での思考実験というところがあり、十分練れていない/各種アプリに関して勘違いなどもあるかと思います。お気づきの点がございましたら、ご指摘頂ければありがたいです。

 遠隔授業の方式は、三つのタイプ(さらにAは二つ)に大きく分けることができるのかなと思います。三つのタイプとは、

A講義をする
 A1. ライブで放送する
 A2. 録音・録画したものを使用する

B 学生とアクティブラーニング(議論・質疑応答・発表など)を行う

C 課題提出型

です。
 
 まずA1ですが、それぞれ、さらにいくつかのパターンが考えられます。まずA1.の一般的なメリットとデメリットを挙げておきます。

A1. ライブで放送する

【メリット】
・実際の授業に近い体験が可能になる。
・ある程度、学生の反応を見ながら、講義することが可能になる。

【デメリット】
・学生のインターネット環境によっては、(部分的に)視聴できないなどが想定される。
・長時間のライブを集中力を保ったまま聞くことは難しい。
・聞き逃した学生は、フォローが困難に。

 つまり、授業の臨場感を再現しやすいですが、遠隔授業という形式では、完全に再現しきれないため、そこに不十分さが生じやすいといえます。以下では、ライブで放送するといっても、さらに様々な形が考えられますので、それぞれを検討してみます。様々な形として考えられるのは、

A1-1 実際の授業を中継する
A1-2 Skypeのような形(顔だけ出す)で中継する
A1-3 Zoomなどでスライドを映して中継する
A1-4 声だけを中継する

などです。順番に、検討していきましょう。

A1-1 実際の授業を中継する
〈概要〉教室で授業する姿を撮影し、それを配信する

【メリット】
・実際の授業に近い体験(黒板を使っての説明など)が可能になる。
・(学生からのコメントや意見を反映することで)ある程度、学生の反応を見ながら、講義することが可能になる。
 ・事前の準備は、実際の授業と同程度でよい

【デメリット】
・通信容量が増えるために、学生のインターネット環境によっては、(部分的に)視聴できないなどが想定される
・その時に接続できない、聞くことができない学生のフォローが困難に
・大学の授業設備・支援体制によっては、そもそもできないことが想定される。

A1-2 Skypeのような形(顔だけ出す)で中継する
〈概要〉実際の授業を中継するのではなく、パソコンの前で話す姿を中継する

【メリット】
・録画と比べれば、教員が実際に話すという点で、実際の授業に近い。
・(教員の顔を見れると)学生が安心する?
・(学生からのコメントや意見を反映することで)ある程度、学生の反応を見ながら、講義することが可能になる。

【デメリット】
・A1-1と比べると、黒板を使用しての説明ができないなどの点で、実際の授業とは異なるため、不十分な授業となる
・学生のインターネット環境によっては、(部分的に)視聴できないなどが想定される
・その時に接続できない、聞くことができない学生のフォローが困難に。
・板書・パフォーマンスでの情報伝達が生かされない
⇒デメリットを補完するような工夫が必要となる

A1-3 Zoomなどでスライドを映して中継する
〈概要〉実際の授業を中継するのではなく、Zoomなどでパワーポイントのスライドを映して、それを講義する

【メリット】
・録画と比べれば、教員が実際に話すという点で、実際の授業に近い。
・(学生からのコメントや意見を反映することで)ある程度、学生の反応を見ながら、講義することが可能になる。

【デメリット】
・A1-1と比べると、黒板を使用しての説明ができないなどの点で、実際の授業とは異なるため、不十分な授業となる
・学生のインターネット環境によっては、(部分的に)視聴できないなどが想定される
・その時に接続できない、聞くことができない学生のフォローが困難に。
・板書・パフォーマンスでの情報伝達がされない
⇒デメリットを補完するような工夫が必要となる

A1-4 声だけを中継する
〈概要〉実際の授業を中継するのではなく、パソコンの前で話す。SkypeやZoomの音声会話のみを使用する。

【メリット】
・録画と比べれば、教員が実際に話すという点で、実際の授業に近い。
・(学生からのコメントや意見を反映することで)ある程度、学生の反応を見ながら、講義することが可能になる。
・A1-1, A1-2より軽い(通信容量の負担の少ない)形での授業が可能になる。

【デメリット】
・視覚情報がないため、実際の授業と比較して、不十分な授業となる。
・学生のインターネット環境によっては、(部分的に)視聴できないなどが想定される(ただし、A1-1, A1-2, A1-4よりかは通信容量が低いので、まだましなはず)
・その時に接続できない、聞くことができない学生のフォローが困難に
・板書、パフォーマンスでの情報伝達が生かされない
⇒デメリットを補完するような工夫が必要となる

 総じて、A1-1のような実際の授業に近く情報量が多い授業のほうが、学修としてはより良いといえるが、大学側の設備、学生側の設備のコスト・ハードルが高くなるといえます。A1-2、A1-3、A1-4にいくにつれて、そのコスト・ハードルは下がりますが、その分同じ授業内容であっても、学生への伝わり方は悪くなりますので、それをフォローする工夫が必要となるでしょう。
 以上のデメリットを補完する工夫をいくつか挙げておきます。

【学生に伝えるための工夫】
 事前にスライドやプリントを配布し(必要があれば学生に印刷してもらっておき)、それを見ながら講義を聞いてもらうという形が考えられます。たとえば、スライドを配布し、そのページを示しながら、その内容について講義するという形です。
 問題なのは、すべての学生がパソコンを有していない場合、スマートフォンでスライドを見ながら、講義を聞く、(場合によってはプリントも見る)というような三つのソフトを同時に使用することができるのかということや、また、スマートフォンの画面でそれぞれを適宜参照することは学生にとって過度の負担となるため、講義内容の理解の妨げになることが危惧されることです。ただし、この問題はスライドあるいはプリントを事前に印刷しておくことを指示しておくことで解決可能かもしれません。

【見逃した学生をフォローする工夫】
 ライブ映像を録画しておき、一定期間それを視聴できるようにする。


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