背中の電池でアウトプット

いつも通り子どもを寝かしつけ、布団の中で一息ついてSNSを眺める21時。急に、「アウトプットしなきゃ」と思った。疲れた頭と体でなんとか隣の仕事部屋に行き、ノートにメモを書いている。

どうして私は急にアウトプット”しなきゃ”と思ったんだろう。
インプットばかりだから？でもインプットと言っても、普段満足のいくインプットはできていない。だらだらと見流す海外ドラマ、インスタのリールで次々流れてくるショート動画、子どもが家にいるときは延々とパウパトロール……美術館や映画館で作品を観たり、積読している本を読んだり、そういう、じっくり落ち着いて何かを観て、読んで、感じて、脳みそを経由させてから飲み込むようなインプットができていない。それが不満だ。

インプットも満足にできていないことに加えて、アウトプットもできていないことで、さらにフラストレーションが募る。

毎日仕事と家事・育児の繰り返しでくたびれている。その生活の中でだって、いい写真の1枚や2枚撮れそうだけれど、思うような写真が撮れていない。同期や知り合いがしているような、「〇〇をつくりました！」「〇〇に載りました！」という、大々的に告知できるような創作活動もできていない。なんだかよくわからないけれど、とにかくすごく、疲れている。身体がというよりはたぶん、気持ちが。ほんの数年前、独身だった頃と比べると、気持ちにハリがない。しぼんだ風船みたいだ。

ここ最近はずっとなんとなーく、背中のあたりの何かのエネルギーが使われている気がしている。痛いとか苦しいとかの症状があるわけではなく、感覚的なものなんだと思う。この背中の電池、簡単に充電できたらいいのに。

子どもを寝かせたあと、いつもだいたい21時以降は自由な時間のはずだけど、何もできない。何もしていないわけではない。スマホで海外ドラマの、できるだけいっぱい人が死ぬやつ、を流し見しながらマリカーして、インスタのストーリーのミシン目を次々とタップしながら友達の動向を知る。知ったところで「へぇ」となるだけで、とくにリアクションを飛ばすわけではない。iphoneという小さな窓から、友達の今日を文字通り覗き見るようだなと思う。そうして気がつくともう23時を過ぎていて眠くなり、ポケモンスリープのカビゴンにご飯ときのみをあげて寝る。

何かつくらなきゃ、外に出して人に見せなきゃ。と思うのに、子どもを寝かしつけてそのまま、布団から出ることができない。疲れてるなんて甘えだ、本当につくりたい、見せたいと思うなら布団から出て何だってできるはずだ、と言われそうだけど、できない。疲れてるんだもん。だけど何もできないと焦る……という悪循環に、長いことめり込んでいる。

疲れているときは素直に休んだ方がいい、無理にアウトプットしなくていい、というのももちろんわかってはいる。でも何かつくらないと、何か見せないと、活躍している同期や先輩後輩にどんどん置いていかれてしまう。私はダンスとか映像とか写真とか、いわゆる「普通」じゃないことをしているのが自分にとっては普通で、それが取り柄だったのに、そういうことをしない「普通の人」になっていく。それは嫌だ。

もちろん、「普通」がいちばん難しいということだって、わかってはいる。当たり前のことを当たり前にやる、それができる人はすごいと思う。私だって、日常生活は別に普通でいい。むしろ普通がいい。普通のあたたかい家庭を築いて、子どもがまっすぐに育ってくれたらいい。でも私個人は？私個人は「普通じゃない」ことをしていたい。普通じゃないこととは、どういうことだろうか。

私が思う「普通じゃない」というのは、ただ人と違うというのでも、何かを消費するのが得意なのでもなく、生み出すことができる、ということだ。自分の中にあるものを外に出すことで人と関わる。そういう人に私はなりたい。あれ、なんか急に雨ニモ負ケない感じになっちゃったな。笑

そうなりたいということはたしかに、私にとってアウトプットは必要なことだな。自分がなりたい自分になるために、アウトプットをしていきたい。

アニメーションもつくってみたいし、映像も写真も撮りたい。とにかくいろんなことをやりたいという気持ちはあるけれど、今すぐ何かをつくり出すというのは正直むずかしい。今すぐ手に届くのは、紙と鉛筆とパソコンくらい。でもそれなら、こうして自分の考えていることを整理して外に出すことくらい、なんとかできそうだ。だからnoteを始めてみた。

いくら毎日同じような生活と言っても、その中での変化も、考えることも、たくさんある。疲れているのはもしかしたら頭なのかもしれない。これまではダンスなり絵なり、何かしらのかたちで外に出せていたものが、身体や頭の中に溜まってしまっているのかも。

それならやはり、自分の頭の中を整理して代謝を良くするためにも、こんなような考えごとも、どんどん外に出すようにしてみたいと思う。いつもまとまりはないかもしれないけれど。

背中の電池を消費して、アウトプットを続けてみたい。

2024年6月8日(土)夜