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【小説】クお白チ 079【第一期】

最初に教室に来たのはおしゃべりだった
「今までありがとね」
「いろいろ迷惑かけちゃってぇーごめんねぇー」
「おまえたちがいなかったら終わってないよ」
「でもぉー天井が落ちそうな時にぃー近くにいなかったしぃー」
「まだそんな事気にしてるのか?」
「あとから考えたらぁーこわかっただろうなーって思ってぇー」
「俺が無事に怪我もせずに生きてるんだからそれでいいじゃん」
「部長としてぇー失格だなーって思ったのぉー」
「おしゃべりが部長じゃなかったら、部員全員が手伝ってくれる事はなかったと思うよ」
「そうかなぁー」
「おしゃべりのくせに俺が話してる時は横から口出ししなかったじゃん」
「それはぁー意識してたのぉー」
「おしゃべりに人徳があるからみんながついてくるんだよ」
「私にぃー人徳なんてぇーないよぉー」
「おまえがみんなを統制してなかったらあんなに上手くはいかなかったよ。部員の誰がなんと言おうと俺は感謝してる」
「私もぉー感謝してるよぉー」
「俺がなにかしたか?」
「1年生とぉー2年生の壁がぁーどうしても取れなかったんだよぉー」
「俺が取ったの?」
「サッちゃんの事でぇー共通の話題が出来たのがぁー大きかったのかもぉー」
「なるほど…」
「途中でぇールールを変えてぇーよかったよぉー」
「そうやって臨機応変に対応できるのがおまえのいいところだね」
「教えてもらった事を使ってぇー頑張るよぉー」
「おしゃべりは統率力が人一倍なんだから平気だよ、部長」
「上手にやれるか分かんないけどぉーやってみるよぉー」
「ムックは気にかけてくれよ」
「ムックちゃんの事もぉー分ってよかったよぉー」
「俺でも役に立ったんだね」
「短い間だったけどぉーたくさんの事をぉー教えてもらったよぉー」
「そんな事ないと思うよ」
「人の使い方とかぁー振り分け方とかぁー人それぞれの個性ののばし方とかぁー」
「おしゃべりもよく見てるからね」
「あとぉーできるか分かんないんだけどぉーしゃべらない子からぁー言葉を引き出すのはぁーやってみたいと思うよぉー」
「それはおまえなら簡単にできると思うよ」
「彼氏のこともぉー聞いてくれてぇーありがとねぇー」
「最後だから正直に言うけど別れた方がいいと思うよ」
「私もぉーそう思ってるよぉー」
「そか、頑張ってね。握手しよう」
「それよりぃー抱きしめてよぉー」
「なに言ってるんだよ。あははっ」
「誰にも言わないからぁー最後に抱きしめてよぉー」
俺の方から歩み寄り、ぎゅーっと抱きしめてやる。顔をちょっと離して、顔を見る。涙目になってる
「心残りはなくなったよぉー」
「おまえキスした経験は?」
「あるよぉー」
「目をつぶれ」
おしゃべりはなにも言わずに目を閉じる。おしゃべりの唇にチュってキスをしたら、おしゃべりの方から唇を押し当ててくる
「ありがとぉーやっぱりぃー彼氏がいない方がぁーよかったなぁー」
「別れてから出会えばよかったね」
「みんながぁーサッちゃんの事好きな理由分ったよぉー」
「あぁそうだ。みんなに言うなよ」
「なぁーにぃー」
「最初に見た時に一番可愛いと思ったのはおしゃべりだよ」
「嬉しいよぉー私もサッちゃんの事ぉー大好きだよぉー…」
涙がこぼれ落ちそうになって、おしゃべりの手に力が入る。俺も力を入れて抱きしめる
「おしゃべりはCカップだ。当っただろ」
「当ったぁー恥ずかしい事言わないでよぉー」
「おまえのバストだけ知らないでお別れになるかと思ってた。あははっ」
「その才能はぁー私にはいらないねぇー」
「いらないね。あははっ」
「いままでほんとにありがとねぇー」
「気がすんだか?」
「また会えるといいねぇー…」
「会えるさ」
「待ってるよぉー」
「おまえと待ち合わせは出来ないからなぁー」
「なんでぇー?」
「寝坊助じゃん」
「最後までぇー失礼な事言うのねぇー」
「それも個性だからいいんじゃん」
「自分でもぉー困ってるんだけどねぇー」
「若いんだから訓練でどうにでもなるよ」
「なるといいなぁー」
「統率力のかわりに、寝坊助という個性が出来ちゃったのかもね」
「またそうやってぇー失礼な事言うしぃー」
「誰にでも欠点はあるさ」
「ありがとーサッちゃんに言われるとぉー勇気がわいてくるよぉー」
「俺にはおしゃべりみたいな人徳はないよ」
「そんな事ないよぉーサッちゃんのリーダーはカッコよかったよぉー」
「仕事の俺はね」
「他は違うのぉー?」
「かなりだらしないよ。特に女にはね」
「えーーだって誰も差別してなかったじゃーん」
「部活内をぶっ壊すのがいやだったからね」
「誰が一番好きなのぉー」
「それは言わないでこの現場からいなくなるよ」
「それの方がぁーいいのかもねぇー…」
「なにか他に言いたい事があるかな?」
「みんなでぇーもう一度会いたいなぁー」
「考えてみるよ」
「本気で考えてねぇー」
「あぁ、分かったよ。みんなのいる教室に戻って次の人を呼んできて」
「分かったぁーいままでありがとうございましたぁー」
丁寧に頭を下げられた
「恐縮しちゃうじゃないか。教室に行っててね」
「はーい」

イメージカラーは大きな力でみんなをあたたかく包み込むピンク

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