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【小説】クお白チ 059【第一期】

5時までに2階11灯。残り7灯。明日ちょっと飛ばして、1階も全部終わらせよう。コンセントは頑張っても2時間じゃ13~14ヶ所だな。一人残ったチビがむくれてる
「どうしたんですか?チビさん?」
「サッちゃん酷いよ…」
「香に話したの?」
「香ちゃんにまで誘導されたんだよ…」
「チビが引っかかりやすいんだからしょうがないだろ」
「明日、みんなに聞かれると思うとドキドキだよ」
「小鳥が説明してたから平気じゃないかな」
「恥ずかしくて死んじゃいそうだよ…」
「俺に挑戦したのが悪いんじゃん」
「まさか5分で見抜かれると思ってなかったんだよ…」
「そんなに気にする事ないよ。ラブと白にもふっといたから」
「ラブちゃんと白ちゃんにも意地悪したの?」
「うん。チビに集中しないようにね」
「独占じゃないじゃんさ!」
「俺の優しさが分らないんだよなぁ…」
「優しくしてくれたの?」
「だから、集中しないようにラブと白をいじめたんじゃん」
「そか。それも愛情なの?」
「かもね」
「かもねってなによ!」
「いいじゃん。好かれてるんだから」
「そうか。そうだよね。えへへっ♪」
「31日暇かな?」
「予定はなにもないよ」
「デートしようか?」
「ほんと?」
「何時頃帰れば平気?」
「9時に家につければ平気だよ♪」
「ずいぶん遅くても平気なんだね」
「おかあさん遅いし、彼氏と出かけるって言うから平気だよ」
「そか。疲れてるから近場でくつろげるとこだよ」
「サッちゃんと二人ならどこでもいいよ♪」
「プレゼントも買ってあげたいんだよなぁ…5円玉じゃしょぼいしなぁ…」
「ほんと!」
「いやならいいよ」
「いやじゃないよぉー嬉しいよぉー」
「なにが欲しい?」
「サッちゃんがくれるならなんでもいいんだよ♪」
「ちょっとだけでも欲しいもの考えておいてくれよ」
「サッちゃんが選んでよぉー」
「ここの現場が終わったら、頭が空っぽになると思う」
「あぁ…そっかぁ…」
「○○○に10時に来られる?」
「8時でもいいよ♪」
「ちょっとは寝かせてくれよぉ」
「あぁ、そうだね」
「チビは俺の事ぜんぜん考えてくれないんだよ…悲しくなってきたよ…」
「あぁーごめんよぉーゆるしてよぉー」
「ゆるさない」
「あやまってるじゃんさ…」
「好きだからゆるせない」
「朝、私が言ってた事だ!」
「さすがに分かったか。あははっ」
「そうやってバカにしてー!」
「愛情だろ」
「分かんないんだよ!」
「みんなが気がつく位の愛情を分かってくれないんだよ…悲しいよ…」
「悲しくならないでよ…私もサッちゃん好きだよ…」
「あぁーそうだ!言っておいた方がいいな」
「なに?」
「1日はクッキーと白と三人でデートするんだよ」
「なによそれ!ブーー!」
「チビと約束する前から決まってたんだよ」
「ずるいよ…」
「チビとのデートを先にしたいから31日にしたんじゃないか」
「31日と1日は休みなの?」
「親方がくれた。クッキーと白は31日が休みだってのは知らないよ」
「二人を送るのは駅までにして、お願いします」
「なんで?」
「家まで送る途中でキスできるじゃんさ…」
「あぁ、なるほどね。分かったよ」
「じゃー許す♪」
「許す?」
「だって、彼女そっちのけで女の子二人とデートなんでしょ?」
「チビっていつ俺の彼女になったの?」
「えっ!私彼女じゃないの?」
「そんな事一言も言った事ないと思うけどねぇ」
「えーそんな事言わないでよぉ…彼女になりたいよぉ…」
「考えておく」
「またドキドキじゃんよぉー死んじゃうよぉー」
「チビに彼氏がいないって知ったのは25日だよ?今日は27日だよ?」
「それがなにさ!」
「じゃ、チビはやめてラブにする!」
「ラブちゃんの事が好きなの?」
「ラブは最初から俺の事が好きだって知ってたしね。対象外だったチビとは大違い」
「えー!またドキドキの原因が増えたじゃんさ!」
「考えておくからそれでいいじゃん」
「ラブちゃんになっちゃうかもしれないじゃん!」
「可能性はあるね」
「死んじゃうよ…」
「対象外だったチビが25日から急浮上したのは変わりない事だろ」
「なんで、白ちゃんじゃなくラブちゃんになったの?」
「からかってても話してても楽しいから。緊張しないし」
「なんでも言う事きくから、私にしてよぉー」
「ラブもなんでも言う事きくって言ったよ」
「条件一緒じゃんよ!」
「ラブとはキスしてないし、プレゼントもあげてないし、デートの約束もしてないよ。一緒じゃないだろ?」
「キスだってプレゼントだってデートだってできるじゃんさ!」
「じゃ31日はラブとデートしてプレゼントあげてキスする!」
「あぁ…それはやだよぉ…31日まで我慢するよぉ…」
「そういう素直ないい子が俺は好きだな」
「えへへっ♪」
「明日から8時でいいよ」
「やだよ!」
「弁当のおかずもう一品ふやしてくれよ」
「なにがいいのさ?」
「キンピラゴボウが好物なんだよ。美味かったな。もう明日、明後日しかないしね」
「そか、分ったよ。キンピラなら30分で出来るんだよ♪」
「そういう素直な奥さんが俺はほしいな」

答えは決まってる。俺はどこまで意地悪なんだろう…

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