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「つみ」の制作裏話
2022年最初のボカロオリジナル曲です。 タイトルは「つみ」で、珍しくネタ曲ではありません。
以下、歌詞です。
昨日より少し削れた月を 今宵は誰と見るの?
雑に閉めたカーテンの隙間から射す光に 照らされて疑いは確信に変わった 名前を呼ぶその時 目蓋の裏には別の顔があるんでしょ知ってる
大袈裟な声で 過剰な吐息で 証を求めて彷徨う どれだけ深く 奥まで来ても あたしはどこにもいない
背伸びしてるみたいで苦手だったコーヒーも 今日だけは飲み干すの 何もかも溶かして 溺れながら手を取って 一緒にイケないのは 弱さゆえかそれとも
止まない雨も 明けない夜も この世にあるってことを知った 今日より少し削れた月を 明日は誰と見るの?
ちょっと早いけど あたし眠るね 最後くらい良い夢見させて 昨日より少し削れた月に 気付くことも無いんでしょ
この曲、実は私が高校生の頃に作った曲の焼き直しです。
高校に入ってマンドリンオーケストラ部でクラシックギターを初め、そこで編曲を担当していた一学年上の先輩に教わってDTMに触れたのが、私の作曲人生の始まりでした。
まだニコニコ動画などのUGCプラットフォームも無い時代ですから、作った曲を聞いてもらえたのは先輩や友人や当時の彼女くらい。
もちろんVOCALOIDも無いので、メロディはシンセサイザー。脳内で複数のアーティストを育てていて、「これは男性バンドの曲」「これは女性ソロシンガーの曲」って感じで妄想していました。今考えると気持ち悪いですね。 作った曲にVOCALOIDが命を吹き込み、ニコニコ動画やyoutubeで世界中に公開できる今の時代は、本当に幸せです。
高校生の時から作った曲のMIDIファイルはほぼ全て移行し続けていて、今でも残っています。今回はその中からお気に入りの曲を引っ張り出してきて、ボカロ向けに手直ししました。
さすがに今と比べると作曲面でも打ち込み面でも拙い部分があったので、ちょいと修正はしています。
手を加えたのは
・ドラムのフィル、ゴーストノート
・ピアノの装飾音やテンションノート、ピアノソロ
・ベースのピッチベンド操作
・メロディラインの細かい修正(ため、音程)
・全パートのベロシティや発音タイミングの修正
などなど。もちろん音源は変えています。あとキーがEだったので、半音下げてE♭にしました。なんか♭キーの方がお洒落な感じがして。
歌詞の方は 「昨日より少し欠けた月を」→「昨日より少し削れた月を」 に変えたのと、音ハメの都合で語尾や助詞を変えたくらいで、基本的にそのままです。 使っている語彙に難しいものが無くやや稚拙な印象を受けますが、下記の通り高校生目線の歌詞なので、あえて修正していません。これはこれでストレートでいいんじゃないでしょうか。
禄でもない男に惚れて遊ばれて絶望してこの世を去る女の子のお話で、女の子の年齢は当時の自分と同じ高校生を想定して書いていたと思います。 たしか、当時一コ上の女の先輩が30代の男と付き合ってるって話を聞いたのがきっかけで書いた歌詞です。ちなみにその先輩は別に死んでないし、いつのまにか(先輩の)同級生と付き合ってました。
ちなみにタイトルは無くて、MIDIファイル名は「ジャズっぽいの」でした。昔からタイトルを付けるの苦手なんですよね。
今回「つみ」とあえて平仮名のタイトルにしたのは「罪」「詰み」をかけているため。
・惚れた相手がクズで現世では愛されない
・(でも相手が好きで)道連れに心中できないのであの世でも一緒になれない「詰み」
・自ら命を絶つ「罪」
みたいな感じです。「詰み」の方は、まだ若くて見えている世界が狭いから「詰んでいるように見える」だけなんですけどね。当事者にとっては詰みなんです。
10代~20代前半に書いた曲は今の感性では作れないものも結構あったりして、今聞くと「昔の自分、いい曲作るやん」と思うことも。 そんな昔の曲をベースにボカロ曲を作るのがとても楽しかったので、また作るかもしれません。
それでは。