2種類の熟成発酵。
秋冬作のだいこんを地下タンクに漬け込み、最低2~3ヶ月以上の歳月をかけて熟成発酵させています。
その熟成発酵にも2種類の方法があります。
漬ける容器はどちらも地下タンクと呼ばれる。地下に2mほど掘り下げて四方をコンクリートで固めたものです。
※あらかじめ周りにビニールシートを巻いて底にはシートを敷いてから漬け込みます。
大きさにより、一つあたりに入る量は5t~10tくらいです。干し大根の本数で計算すると15,000~30,000本くらい入ります。
漬け込みの方法はこちら
1つ目は「常温熟成発酵」。
その名の通り、地下タンクに漬けてそのままじっと熟成を待つ発酵方法です。旨みのもととなる乳酸菌は嫌気性の乳酸菌なので外気から遮断されて密閉される方が好きなのです。「常温」と名の付くとおり、地上ほどではないですが、地下タンクも、夏になれば気温が上昇し、冬になると気温が下がったりと変化します。
重しと塩で脱水するため、だいこんから滲み出てくる乳酸発酵水の温度は夏場には20℃近くにもなります。そのため、夏場は発酵がすすみやすくなるため、漬け込む際には塩の量に注意が必要です。
この方法は主に
・夏前までに出荷する商品
・熟成発酵を促す商品
に用いています。特に熟成発酵を促すほうは基本1~3年という長期熟成させますので、だいこんの乾燥具合に合わせて塩の量を加減する必要があります。
もう一つは「低温熟成発酵」です。
漬け込みの方法は常温のものと基本同じなのですが、あらかじめ地下タンクの底に、穴のあいたパイプが敷き、そのパイプを地上につながるように配置しています。そのパイプの先は、冷蔵設備で、またそこから地下タンクへホースでつないでいます。
そのパイプの中に通すのは、だいこんから滲み出てきた乳酸発酵水です。
1.地下タンクの底から電動モーターを使って乳酸発酵水を汲み上げる
2.汲み上げた乳酸発酵水を冷蔵設備で冷やす
3.冷やした乳酸発酵水を地下タンク上部へ戻す
この繰り返しを24時間365日行うことで一年中冷たい乳酸発酵水が循環して地下タンク全体を低温(4~7℃)に保つことができます。
そのため、ゆっくり熟成発酵がすすみますので夏前ころから翌年の新ものが熟成するまでの状態を一定に保つことができます。
地下タンクからでているパイプから右の方にある冷蔵設備へホースが伸びています。
「百聞は一見にしかず」なので、興味のある方はぜひ工場へ見に来てください。
では、またあした。