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#22 NSCAのマスターコーチ選考を受けた想い
先日、NSCAのマスターコーチの選考を受けまして、認定を頂きました。
今回は、なぜマスターコーチの選考を受けたのか、業界の課題と絡めて記事にしました。
私は現在ラーフオーバーフロー株式会社という会社で執行役員として、中高年向けのパーソナルトレーニング事業の責任者を務めており、業界にはトータルで約18年間関わらせて頂いております。
これまで主に、フィットネスクラブでのパーソナルトレーニングや、現会社で一般の中高年の顧客向けにパーソナルトレーニング指導・スタッフのトレーナーの育成をおこなってきました。
その中で、以前から業界の問題点や課題を2つ感じておりました。
今回マスターコーチの選考を受けたのもこの2つの課題に対し、より影響力と責任感をもち、パーソナルトレーナーとお客様双方の課題解決の手助けができればと考えたからです。
まず1つはパーソナルトレーナーの一般の方々への「指導力」の問題です。
既知の通り今年春、消費者庁からパーソナルトレーニングでの事故や健康被害の報告及び今後の調査についての発表がありましたが、こういった事故はパーソナルトレーナーや店舗が増えている中、今後も増えてくる問題だと懸念しています。
その原因の根本はパーソナルトレーナーの「指導力」かと考えます。
指導力といっても特別な指導力ではなく、NSCAの教本やサイト、一般的な参考書にあるような原理原則に基づいた、基礎的なトレーニングフォームや運動生理学、機能解剖学を含めた、”基本的な指導力”だと私は考えています。
例えば、高齢者に対して、バックスクワット指導をする場合、そもそも正しいといわれるフォーム・理論でパーソナルトレーナーが試技や説明、指導ができるのか?
正直、これまでのフィットネスクラブなどの現場のパーソナルトレーナー、他社のパーソナルトレーナー、SNSでの発信などを見ていると、とても疑問です。NSCAの有資格者のトレーナーでさえできていない事も多々あります。
まずはこの”基本的な指導力”の問題が解決されれば、お客様は安心・安全に運動ができ、パーソナルトレーナーも安心して指導ができると感じております。
ではなぜパーソナルトレーナーの「指導力」が向上しづらいのか。
それは、パーソナルトレーナーの「育成」の機会が少ない事だと考えています。
専門学校や大学、トレーナースクールなどパーソナルトレーナーになるための機会が増えていることは素晴らしいことだと思います。また指導力を学ぶ為のセミナーやスクールもあることも事実です。
しかし、業界的にはフリーランスや業務委託契約のパーソナルトレーナーが多い中、資格を認定された後に一人で活動するパーソナルトレーナーも少なくなく、自身がやってきたトレーニングの方法をそのままお客様にプログラムをしたり、WEBやSNSで得た情報を答え合わせをする場や聞く人がいない中、そのまま正しくない情報を提供したりと、資格を取得してから育成される場や学びの機会が少ない事が、指導力が不足する原因だとも感じています。
特に、中高年などの低体力で運動初心者や、生活習慣病や関節痛などの既往歴をお持ちの一般の方の指導に対するセミナーや学ぶ機会が非常に少なく思います。
なので、学ぶ機会の少ないパーソナルトレーナーは独自の手法で指導をせざるおえなくなり、“基本“とは異なる指導をしてしまう(安全ではなくなる)のだと考えています。
この「指導力」と、指導力をつけるための「育成」の2つの問題が少しでも解決されたら、冒頭に書いたパーソナルトレーナーの過失による事故が少なくなり、結果的に、社会で活躍するパーソナルトレーナーも増え、世の中にトレーニングを通じて健康になる人が増えると確信をしています。
その為に私の場合は会社に属し、店舗やスタッフを増やし、基本的な運動指導ができるトレーナーや、安心安全な指導を受けられる場を顧客に提供しています。
そしてさらに、NSCAのマスターコーチの認定を受けることで、より責任と影響力を持ち、NSCAのセミナーなどのNSCAでの活動を通じて、パーソナルトレーナー達にとって成長の機会をより増やせると思い、選考に応募させていただきました。
今回マスターコーチ認定を受け、継続して学び続け模範になると同時に、私が得意とする一般の方々への運動指導についての基本的な情報を発信し、若手のパーソナルトレーナー達をリードできる存在になりたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。