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就職課と経営コンサルタント

 就職課は業務として、学生が志望する会社に問題がないか、調べて評価します。この場合、学生が安心して働ける会社かどうかを見ています。

 世の中には経営コンサルタント会社があり、依頼された顧客の会社を調べて、改善箇所など依頼事項への回答をまとめて報告書を出します。ですから、問題意識をもって会社を見ています。

 したがって、就職課と経営コンサルタント会社では目的が異なります。その結果として学校では、その会社の財務状況よりも経営者や組織を見て評価しています。

 今回は就職課が、学生が志望する会社のどのような点を見ているのかについて説明します。


会社の分析ポイント

経営者の役割分担

経営者には、
・事業について陣頭指揮をとる経営者
・会社全体に目を配り、組織をまとめる経営者
の2名が最低必要です。

 まず、この役割の異なる2名がいるかどうかと、その2名の影響力を見ます。片方だけですと、何かあったときが恐いからです。

 なおそれらの役割は、経営者の写真を見るとだいたいわかってきますし、実際に会う機会があると明確にわかります。

各部門のリーダーの能力

 次に、
・各部門のリーダー
の能力をおおざっぱに見ます。

 陣頭指揮をとる経営者がいくら優れていても、現場のリーダーがそれに応えるレベルでないと、会社は発展しにくいです。

 これは、各種の資料から見えてくることが多いです。

業務内容のバランス

 世の中の会社を、業務への取り組みのバランスで分類すると、
 (1)新規事業に進出する
 (2)既存の事業で稼ぎつつ、新規事業に進出する
 (3)既存の事業を続けていく
に分けられます。

 (1)は設立して数年以内の若い会社が該当します。

 (2)はある程度大きくなり、伸び盛りの会社が該当します

 (3)は、(1)と(2)以外の会社が該当します。

 (1)は新興の会社なので、前記の経営者の役割分担と、各部門のリーダーの能力がシビアに問われます。成長するか失速するかが、それらにかかっているからです。

 (2)は、既存の事業(手堅く稼ぐ事業)と、新規事業との割合が評価する内容になります。手堅く稼ぐ事業の割合が大きいほど会社の業績は安定的になります。その反面、新規事業による業績拡大や、何かあって手堅く稼ぐ事業がだめになった場合のリスク対策が、あまり見込めなくなります。

 (3)は、どれだけ社会基盤に近いレベルの事業をしているか、またどれだけ複数の取引先とつながりがあるかが、評価する内容になります。

 よりインフラ(社会基盤)に近いレベルの事業をしていると、景気不景気や技術革新の影響をより受けにくくなります。

 もし取引先が一つであった場合、その取引先の会社の業績が傾いたら、連動して傾きます。そのため取引先は複数で多方面にわたっているほうが望ましいです。

経営計画に見られる積極性

 多くの会社で経営計画を立てており、それをもとに各種の戦術や短期の経営計画を決めています。

 この経営計画が会社によって千差万別ですが、それに積極性が見られるどうかが評価項目となります。

 積極性が見られる経営計画だと本気度が高く、達成の可能性も高くなります。


外部環境について

外部環境は重視しない

 外部環境とは、その会社が属する業界の状況のことです。例えば家電メーカーなら、家電業界の状況が外部環境になります。

 この外部環境を分析する手法としてSWOT分析があります。SWOT分析とは、内部環境として自社の強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部環境のプラス要素(Opportunity)とマイナス要素、脅威(Threat)として調査し分析する手法です。

 また、外部環境をレッドオーシャン/ブルーオーシャンで分ける手法もあります。レッドオーシャンとは競争が激しい市場、ブルーオーシャン競争が激しくない市場を意味します。

 私の場合、外部環境はあまり評価していません。

生き抜いたり成長していく組織であること

 これは私の経験上、組織がまとまっており、経営計画に積極性が見られる会社なら、レッドオーシャンでも生き抜いているからです。

 つまり、業界に追い風が吹いていようが向かい風が吹いていようが、それに合わせて生き抜いたり成長していく組織であるかどうかを、評価で重視しているということです。

 生き抜いたり成長していく組織であるかどうかですが、創業の古い会社ですと風雪に耐えてきたので、組織の体質でわかります。また若い会社ですと、経営者の考えでわかります。

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