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売り手市場か買い手市場か
就職活動に影響する要素の一つとして、就活学生にとって有利な売り手市場であるか、採用企業にとって有利な買い手市場であるか、があります。
これは世の中の情勢に影響されます。
この世の中の情勢ですが、経済政策、イベント、学生数、が要因としてあります。
あと外的要因(海外の状況)などもありますが、今回はこの3要因を取り上げて、新卒の就職活動の状況を見ていきます。
経済政策、イベント、学生数
□経済政策
経済学を専攻していない学生でも、経済の基礎は知っておくべきです。
そのため、現在の経済状況に影響を与えた経済政策として、アベノミクスを取り上げます。
アベノミクスは、安倍晋三首相(当時)が打ち出した経済政策です。安倍首相の苗字とエコノミクス(経済)とを合わせた造語で、2013年に発表され実施されました。
1980年代にアメリカのレーガン大統領(当時)が打ち出した経済政策を、レーガノミクスと呼んでいたのにちなんだものとされています。
アベノミクスの基本方針ですが、
(1)金融政策(大胆な金融政策によるデフレからインフレへの移行)
(2)財政政策(機動的な財政政策による好景気の実現)
(3)成長戦略(雇用の創出や金融緩和による経済成長の実現)
を3本の矢にたとえて、統合して実施するものです。
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出典:『アベノミクス「3本の矢」』(首相官邸)
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/seichosenryaku/sanbonnoya.html
アベノミクスの実施以前から、金融政策、財政政策、成長戦略は実施されてきました。ただ、従来はバラバラに実施されていました。
このバラバラに実施されていた経済政策を、一つの戦略のもとに相乗効果が出るように統合して実施したものがアベノミクスだと、私は学生に説明してきました。
あと、従来に比べて大規模で機動的な経済政策であるのも特徴です。
□イベント
期間限定の要因です。ここ10年での大きなものとして、東京オリンピック景気がありました。
これは東京オリンピック開催で生じた大量の建築需要であり、私が勤務していた学校でも、東京勤務の電気工事士の求人数が大幅に増えました。
2024年の今ですと、2025年の関西万博開催で生じている関西万博景気でしょう。
あと再開発事業も、期間限定であるためイベントに含まれます。
大阪では、地下鉄の新線建設や大阪駅前の再開発があります。これにより、建設関係の求人は求人難の状況が続いています。
□学生数
出生率の低下による学生数の減少も、就職市場における需要と供給の関係に、供給不足として影響しています。
求人数と相関関係がある指標
では求人数はどうなっているのかということですが、新卒の求人数は、完全失業率及び有効求人倍率と相関関係(因果関係ではなく)があります。
下図は、独立行政法人労働政策・研修機構で掲載されているグラフです。
![](https://assets.st-note.com/img/1723935677927-9EXOfrDex1.jpg?width=1200)
出典:「図1 完全失業率、有効求人倍率」(独立行政法人労働政策・研修機構)
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0301.html
このグラフで2010年以降(グラフの右側)をみてほしいのですが、2010年あたりがピークだった完全失業率が下がり、その後は2.5%あたりで安定しています。
有効求人倍率も2010年あたりを底として上昇し、変動はあるものの過去75年間の中で高水準を保っています。
工業系の専門学校は、景気の影響を受けにくいです。世の中がいくら不景気になろうが電気設備や電子機器の点検整備・入れ替えは生じますし、技術が進歩する限り情報システムの更新は生じるからです。
ただ求人数は、この完全失業率と反比例、有効求人倍率と正比例する傾向があります。
業種によって事情が異なるでしょうが、総じて今の新卒就職市場は、学生にとって有利な状況といえます。