
「人生相談」無茶振りへの対処
※今回は人生相談で得たことではなく、人生相談で役立てたことを取り上げます。
私の、これまでの仕事人生を通じて身に着いたスキルには、無茶振りに対処できるようになったことがあります。
そして、過去に人生相談をご利用されたリピーターさんに限られますが、無茶振りの仕事について相談を受けたこともあります。
今回はこの、無茶振りの仕事について取り上げます。
■無茶振りの仕事の定義
無茶振りの仕事を、
(1) 通常業務ではない仕事
(2) 準備時間が十分にとれない仕事
のいずれかと定義し、今回は(2)を対象とします。
例えば私の場合、通常業務で専門学校で学生に教える仕事を担当しています。しかしそれ以外に、高校やシンポジウムなどで講演する仕事を依頼されることもあります。それは、(1)に該当します。
これは、
・付随業務(通常業務と密接不可分な業務、言い換えればセットで行う業務)
・付帯業務(通常業務とは別の周辺的な業務、言い換えれば関連する業務)
のどちらであるかといえば、付帯業務に該当します。
業務内容を限定した派遣契約の場合はともかく、正規雇用では経験年数を積めば付帯業務もできるようになるべきです。
しかし担当者が事故で急に休んだため、代わりに本日の講演に行ってくれ、しかも講演用の資料も自分で作成してくれ、となると(2)になります(あくまでも例えで、実際にそのようなことはありませんでした)。

今回は時間的な余裕がないことを前提にするため、(2)のケースを対象に取り上げます。
※準備時間が十分にとれない仕事など、ときどきあることで無茶振りでない仕事とみなすべきだ、との意見もあると思います。ここでは記事のテーマの関係から、無茶振りの仕事とみなします。
■無茶振りへの三つの方針
私独自のノウハウですが、無茶振りに対処する上で、次の三つの方針を考慮します。
(a)達成すべき目的は何か
(b)流用できる過去の事例はないか
(c)代替案はないか
これを個別に取り上げますが,例として専門学校の教員として、
・高校に行ってIT業界の説明を20分してほしい
・1時間後に出発なのでプロジェクターで映す資料はそれまでに用意してほしい
の2つの条件とします(あくまでも例えで、実際にそのようなことはありませんでした)。
これなら急な顧客へのプレゼンといった、ビジネスの場面にも広く適用できるケースと思います。

□達成すべき目的は何か
高校では進路研究の一環として、各種の業界の説明を学生に行うイベントがあります。
今回はそれに参加しますから、この場合の達成すべきことは、
・高校生にとって進路決定する上で参考になる内容の、IT業界の説明を行う
になります。
これを目的とし、時間がないのでそれに関係する内容のみを準備するように絞ります。
ですから、IT業界にはどんな業種の会社があるのか、IT業界ではどんな職種があるのか、IT業界に入るために勉強することは何か、あたりがメインの説明内容になりますので、その3項目に絞って統計データを収集します。
IT業界の歴史なども説明に盛り込めたら参考になるでしょうが、最低これだけ伝えたら良い、の内容からははずれます。
また私が人に説明するときは、説明後に相手の記憶に残ることを検討して、説明事項を3項目以内に絞るようにしています。
そのため最低これだけ伝えたいという内容に絞ることは、普段の仕事でも取り入れたい作業です。
□流用できる過去の事例はないか
過去にIT業界を説明した資料がある場合、それを流用すれば作成の手間が省けます。
それをいかに早く、検索して見つけ出すかが問われます。
なお流用できる資料が古い場合、それに載っている統計データも古い場合があります。統計データを差し替え、説明文を一部更新することで、資料が短時間に作成できる場合があります。
□代替案はないか
流用できる資料がない場合、一から資料を作る必要があります。
その資料をプロジェクターで映して、資料を読み上げながら補足説明をするのが一般的です。
しかし準備時間が十分とれない場合、代替案として、別の説明スタイルを取る方法もあります。
別の説明スタイルの例として、3つ取り上げます。
(あ) 経済産業省のWebサイトで公開しているPDFファイルの白書がある。それに説明したいことが含まれているので、その白書から抜粋した統計グラフだけが掲載されている資料を作り、それをプロジェクターで映しながら口頭で説明を加える。
(い) 業界団体のWebサイトで公開しているPDFファイルの統計資料がある。それが説明したい内容と重なるので、そのPDFファイル自体をプロジェクターで映して、口頭での説明を加える。
(う) YouTubeで説明したいことを取り上げている動画がある。それをプロジェクターで再生しながら、途中で止めては口頭で説明を入れる形式で進める。
(あ)の場合、統計資料の出典(白書名とページ)を付記します。
(い)の場合も、統計資料の出典(Webサイト名やアドレス)を付記します。
(う)は、その動画が中立的なものであれば使える方法になります。広告が入らないように準備します。
■最後に
人生相談ではこのようなビジネスに関する相談もあり、無茶振りに対処する方法を相談者に合った内容で説明し、わかる範囲で必要な資料(があるWebサイトのアドレス)を提案することがあります。
急ぐ場合にはすぐに回答しますが、私が出かけたりしている時間もありますので、それはできる範囲までということになります。
それはともかく仕事人生で実感したことは、ビジネスでの能力を高めたり広げるには、無茶振りをこなしていくことも大切だと思います。