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一番湯のユウト

銭湯によく行きますのでその話をします。

わたしが脱衣所で着替えていると、隣で同じく着替え中の、親子のらしい会話がふと聞こえてくる。

パパ「これがゆうと(たぶん子供の名前)のきったねえーパンツっと…

子供「なんできたねえっていうのー?悲しいよ…ショックだ…」

パパ「いや面白いと思ったから…ごめんごめん」

…すいません後ろで笑いこらえてました。子供の返しが面白かったです(*^^*)

まずは露天につかってゆったり(#^.^#) 平日の昼間だったので、人もほとんどいない。開放感やばい。

と、さっきの子供(ゆうと)が露天風呂に入ってくる。手には水鉄砲と人形のおもちゃらしいものをもっていて、湯船にとびこむと、その水鉄砲をちゅーちゅーとうちはじめた…

「ぼうや、銭湯で水鉄砲撃っちゃだめだよ」

「だめ?なんでー?」

「他の人にかかるかもしれないでしょ」

「でもほかの人いないよー?」

「これから入ってくるかもしれないでしょ」

「でも人には水かけないよー?」

「遊びに夢中になって、間違えてかかっちゃうかもしれないでしょ。それに他の人がぼうやを見たら、水かけられたらいやだなって不快に思うかもしれないでしょ。自分がこうしないじゃないくて、他の人がそれを見てどう思うかを、考えないといけないんだよ

「じゃあ家のおふろならいいのー?」

「家ならいいよ」

そんなやりとりをしていると、パパさんがあわててやってきて、すいませんと言いながら子供を連れていく。

湯気がもうもうとわき立つ露天に、お湯の流れる音が心地よい、いつもの静けさが戻ってくる。

…この「なんで?」で攻めてくる子供の感覚、なつかしいなあ。こういうよく疑問を持つ子は将来優秀に育つとか、聞いたことがある。

とか思いながら、次はサウナに入る。相変わらず他に人はいない。

するとさっきのゆうとが、トランペットを欲しがる少年みたいに、サウナの窓ガラスにべったり顔をはりつけている。

「パパどこー?パパここにいるー?」

「いやパパいないから…」

そしてゆうとはサウナのドアを押して中にはいろうとしはじめた…

「だめだってはいっちゃ…」

「ぎゃー!あっちいいいい!!」

といって逃げるようにすぐ出ていった。

しかし普段は静かなはずなのに、ずいぶんとにぎやかな一日だ。子供ひとりいるだけでこんなに違うんだから、親の苦労がうかがえる(´・ω・`)

体を洗っていると、偶然かさっきのゆうと親子が隣に。

「さきほどはすみませんでした」

と、パパがわざわざ言ってくれる。

「いえいえ。お子さんいると大変ですよね、自分がゆっくりするヒマもないでしょうし」

「少し目を離すとすぐどっかいっちゃいまして」

とかやりとりしてると、なんかの流れで、ゆうとに背中を流してもらうことになった…

「ぼうやいくつ?小学生?」

「うん、一年生だよ」

「学校楽しい?」

「うーん、めんどくさい」

「ユーチューバーって知ってる?みたことある?」

「んー、知らなーい」

これではじめしゃちょー大好きとかいったらUUUM株買おうと思ったバカはわたしです(;´∀`)まあ旬は過ぎたかなーってかんじですが。ちなみにパパにはすららねっとのことを聞いてしまった…投資脳ですいません。

しかし子供の感性はとても瑞々しく、新鮮だ。そこには大人が失ってしまった大事なものがあるような気がする。

大人になって自分に子供がいないと、子供と接する機会なんてなくなるので、こういう失ってしまった瑞々しい感性を、ときに思い出すことは大事なのだろう。仕事にもプライベートにも、役に立つ部分はいろいろあるはずだ。

ゆうと親子はわたしよりだいぶ先に出ていった。わたしは独り数時間の長風呂を楽しんで、浴場の外に出た。

そして脱衣所には、おおきく「ゆうと」と書かれた真っ白なパンツが落ちてあった…うん、たしかにきれいだ。しみひとつない(´・ω・`)

ゆうとのパンツは汚くない。ここテストにでるからね

#コラム #エッセイ #銭湯 #投資脳

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