暖冬

あぁ、なんて寒い夜なんだ。
暖冬だっていうのに、暖かさを感じているのは
一部の人間ばかりじゃないか？
私は部屋で凍えている。

雰囲気だけは出したくて間接照明と好きな香りを焚いた部屋でペットを愛でながら紡いでいる。

焚いた香りも元々好きだった男の影響。
今となっては名前も思い出せない男。
いや、思い出したくもない。

やけに大きく8畳の部屋には似合わない大きささのテレビをつけいる、見てもないのに。
　
なぜ冬は孤独と結びつけられるのだろう。
寂しくなんて　ないはずなのだ。
求めたくなんて　ないはずなのだ。　

でも寂しくて、求めてしまうのだ。
冬だから。

何度目か分からぬ再放送の連続ドラマを
見ながらペットを愛でる。

それが私の冬である。おやすみなさい。