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Velocity Based Training (VBT)がパフォーマンスに及ぼす影響について

以前使っていたブログからの移転もそろそろ終わりそうです。
今回は近年注目を集めているVelocity Based Trainingに関する論文の要約文の紹介です。

VBTとは?

Velocity Based Trainingとはその名のとおり”リフト中の速度にフォーカスして行われるトレーニング法”です。基本的な動作などは普通のトレーニングと同じですが、一般的なトレーニングではリフトの際に持ち上げるスピードは人それぞれでしょう。ウェイトが上がれば上がるほど持ち上げるスピードも自然と遅くなります。

持ち上げる時間がかかればかかるほど筋疲労も蓄積しやすいのが一般的です。一昔前はストップウォッチでリフトの動作時間を測っていましたが、最近ではテクノロジーの進歩で動作スピードを測りやすくなったためこのトレーニング法が普及してきたようです。

MLB球団でも注目される理由

ほぼ毎日試合があるMLBでは、選手の疲労をいかに抑えて回復させるかがすごく大事なので、多くのチームがこのVBTに注目しています。市販のデバイスのほとんどは手持ちのタブレットとリンクできるので、リフトしている本人がその日の目標速度と実際の動作速度を同時進行で確認できるという点は個人的にもすごく良い点だと思います。

3つのグループで検証

Rodriguez氏らの研究では、フルスクワット中の動作速度の減速度が10%、30%、45%になった場合の垂直跳びへの影響の関係を調査しました。男性30人をランダムに3つのグループに分けて、同じトレーニング(スクワット、負荷;55~70%1RM、頻度;週2回、セット数;3セット、インターバル;4分)を8週間行った後、各グループの20mダッシュ、垂直跳び、1RM、筋持久力、スクワット中の筋電活動を計測・比較しました。

その結果、全てのグループで筋力&筋持久力の向上が見られました。特に減速度が10%のグループの垂直跳びと20mダッシュタイムの向上は他のグループよりも顕著に現れました。今回の研究ではスクワット中の筋電活動にはあまり目立った変化は見られませんでした。

研究グループはトレーニング中10%の減速度がこれらのパフォーマンスを向上させるのに一番効率的だと結論づけましたが、個人的には普通にトレーニングしたグループとの身体的疲労度の測定&比較にも興味があります。

まとめ

一つ課題点を出すとすれば、マイナーリーグのような人材も資金も限られたチームでVBT器具を使える人材の用意と、さらに選手個人のプログラムの作成とそのメンテナンスに一体どれほどの時間の労力がかかるか分からないということです。やっぱり人を増やすしかないですかね(笑)

要約文を載せておくので興味のある方はどうぞ。
<参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33829679/>



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