昼寝の夢
夢は不思議だ。
そのときこころのどこかで引っかかってとれないものが、現れてきたりする。
さっきの夢もそう。
忘れないうちに書いておきたいので、noteに書きます。
でも、人の夢の内容を聞くのってつまらないですよね。知ってるんですそれは。
でも、今回の夢はとても濃くて。
備忘録として書かせてください。
亡くなった母方のおばあちゃんが家にいる。
お姉ちゃんは離れて暮らしていたけれど、今日は帰ってきてるみたい。
明日は実家から出勤するらしい。
明日の朝食べるもののことで、お母さんとお姉ちゃんが話している。
母「魚フライのパンがあるから」
姉「冷凍してない他のがあるよね。そちらを食べるから魚のはいらない。」
珍しくお姉ちゃんは自分の意思をお母さんの提案断り、自分の希望を伝えている。
翌朝、バタバタしながらお姉ちゃんが朝ごはんを食べようとしている。
母「魚フライのパン、食べるでしょ?解凍しておいたから。」
姉「私はこっちの食べてるからいらないよ。」
私はまだ朝食を食べずに2人のやりとりを見ている。
お母さんは、自分が解凍した魚フライのパンを食べないお姉ちゃんにイライラしている。
母「せっかく出しておいたのに。どうするの。」
私はお姉ちゃんがかわいそうで、お母さんに、
「お母さん、お姉ちゃんは昨日魚のパンはいらないって言ってたよ。食べないことを怒ったらかわいそうじゃない。
お母さんのお姉ちゃんに食べさせたい気持ちも、お姉ちゃんがやっと自分の希望を伝えた大変さも、どちらの気持ちもわかるから、2人を見てるとかわいそうで…。私が食べるから、ね。」
私は続ける。
「お母さんがね、頑張ってくれると、頑張ってくれるほど、辛いんだ。」
我慢してるのに、涙が出てきた。
「なんて言っても、頑張ることをやめるなんて(私たちみたいな気質の人は)できないよね。頑張るのは、悪いことじゃないから…」
お母さんは最初納得いかない様子だった。でもそれ以上、お姉ちゃんに話すのは止めた。
お姉ちゃんが仕事に出掛けた。
そういえば、今週末は親戚で集まってご飯を食べることになっている。
お父ちゃんの側のおじいちゃん・おばあちゃんたちも一緒。お母さん側とお父ちゃん側がそろうなんて、お葬式猪狩かなり珍しい。
でもお父ちゃん側のおばあちゃんは体調があまり良くない。本当に来れるのだろうか。
私はお母さんに
「おばあちゃん、今週末来れるの?」
と聞いてみた。
お母さんは、
「それがさ、まだ連絡してこないのよ。早くしてくれないと困るのに…」
私は「私があとでおばあちゃんに電話してみるよ。」
と言い、その話は一旦済んだ。
お母さんはいつの間にか、車の点検の引き取りに外に行ってしまったようだ。
家には、母方のおばあちゃんと私2人。
おばあちゃんは最近少し言葉がうまく出てこない。というか、人が話す言葉をそのまま「音」として捉え、繰り返すことで会話ができているように見えるけれど、実際には意味はわかっていない感じがする。
相手の言っていることがわからないことに少し申し訳なさを感じているような、そんな自分自身に戸惑っているような、そんな表情をする。切ない。
おばあちゃんは、自分が食べた朝ごはんのお皿を洗っている。
私はいつ朝ごはんを食べようか。
おばあちゃんが、自分の部屋に戻ってからの方がゆっくり食べれそうではある。
おばあちゃんを鬱陶しく感じる気持ちもあるけれど、嫌いなわけじゃない。
皿洗いが終わって、おばあちゃんはリビングの端にある椅子に座った。
気を抜くときつい言葉をかけてしまうので、「意地悪なことは言わない」と自分に言い聞かせてから、おばあちゃんに話しかけることにした。
「この果物洗ってあるけど食べる?おばちゃんがくれたみたいだよ。」
おばちゃんは、
「今はいらないよ。これは〇〇〇〇〇〇?」
と、最近CMで流れているスマホゲームのタイトルを果物の名前と間違えて尋ねてきた。」
私は、おばあちゃんがそのワードを覚えて発したことにびっくりして、そんな新鮮ワードとおばあちゃんのミスマッチが少しかわいいと思いながら、
「それは、ゲーム作品の名前だよ。」
と笑って言った。
おばあちゃんは、うまく聞き取れずに
「か、く、し…」
私「さしすせその、さ、く、ひ、ん」
おばあちゃん「た、く、し、…」
私は諦めた。たとえ音を繰り返せても、もうおばあちゃんに意味は通じないだろう。意味のわからないことを繰り返させられているおばあちゃんが、かわいそうだ。
と思ったとたん、今朝の一連のこと、それよりもっと前の、今までずっとずっと重なって蓄積されてきた感情が、涙で溢れてきた。
涙を抑えるために、いつの間にか白紙の小さなノートを目に当てていた。夢だから、おかしなことが起こる。
嗚咽とともに溢れる涙は、ノートの1ページ1ページに沁み込んでいく。
新しい涙が出れば出るほど、自然と瞳に当てたノートのページがめくられていく。
座っているおばあちゃんの膝に顔をうずめながら、私は泣き続けた。
おばあちゃんは、なぜ私が泣いているのか、見当もつかないだろう。
泣いていることも気づかないかもしれない。
でももし気づいてしまったら、きっとおばあちゃんは心配してくれるだろう。おばあちゃんを困らせてしまう。そんなのかわいそうだ。
でも涙が止まらない。
しばらくするとおばあちゃんは、私の頭に手を当てて、優しくなでてくれた。何も言わずに。
その優しい感触に、さらに涙が溢れた。
涙をおさえるノートのページも、次々とめくられていった。
夢の内容はここまで。